「小林信彦プレゼンツ これが日本の喜劇人だ!」
「エノケンの頑張り戦術」1939年 東宝 監督:中川信夫
防弾チョッキ製造会社の社員同士で隣に住む二人が何でも張り合う様子をドタバタ仕上げで描くナンセンス・コメディ。仕事、旅行、そしてトマトの発音(「踊らんかな」のパロディ?)。モダンなオフィスやハリウッドからの影響などセンスあふれるエノケンの代表作で、強い影響を受けた坪島孝監督は、植木等と谷敬主演で「クレージーだよ天下無敵」としてリメイクしている。
歌い出すエノケン。走り出すエノケン。
場面を変えても終始強情の張り合い。
特に海水浴場でのドタバタ楽し。
40年近く前に読んだ小林信彦「日本の喜劇人」は喜劇教則本として、ずっと手許にあるが、新稿加えた決定版が刊行されるんだ。スゲエな。
エノケンの章を読み直してみたが本作の記述は無し。飲んだ帰りに60キロの自動車を使ったアクション芸のエピソードが出てくる。まさに終盤の列車ドタバタシーンだ。
ライバル社員は如月寛多。
エノケンの奥さんは宏川光子、課長の愛人は音羽久米子。古き良き美人。
「エノケンの面白さはこんなもんじゃ無えぞっ」て言ってくれる爺ぃはとっくに居なくなっちゃってる。