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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「脅迫(おどし)」

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「世紀の大怪優2 西村晃MAGIC」

「脅迫(おどし)」1966年 東映 監督:深作欣二

家族のために、また自分の小さな幸福のために、ひたすら上役にゴマをすり、出世に身を削っていた一流広告代理店「共報堂」の営業部長三沢の家に、ある日癌の権威者坂田博士の孫を誘拐した兇悪脱獄囚川西とサブが逃げこんできた。彼らは三沢を利用して高とびするための身代金一千万円をまきあげようとする。ある日突然、犯罪の罠に突き落とされた男の四十八時間をスリリングに描くサスペンス・ドラマ。

ついに待望の西村晃特集。始まってます。
スケジュール都合や懐具合でもって、今回、既に鑑賞済みの物はパスするけど、本当は再度見ておきたい作品が沢山。

本作は西村晃も凄いが若き日の三国連太郎が素晴らしかったですね。
良き家庭のパパでもある有能なサラリーマン三沢(三国連太郎)だが、その小市民的生き方は同僚から陰口をたたかれていたりもする。
未決死刑囚の川西(西村晃)が弟分のサブ(室田日出夫)を連れ脱獄。郊外の三沢家に押し入る。
息子と入浴中にバスルームのドアにバタンと押しつけられた妻(春川ますみ)に対してシャンプー沢山乗せて「どうしたの?」と素っ頓狂な声を出す三国連太郎さんが可愛い。

息子役は「お前ヘゾねぇじゃないか」でお馴染みの子役保積ペペ。
お父さんが脱獄囚の言いなりになているのが弱虫に感じるようですが、この子がなかなか、テレビの見すぎで知的凶悪犯川西にして「末恐ろしいガキ」と言わせる。確かに末恐ろしいが、西村晃さんも、40数年後、この子がウルトラゾーンで総理大臣役をやるとは思わなかったでしょうな。

さて、パパの方は家族の安全を守るために仕方なくいいなりとなり、誘拐犯の片棒を担がされる。
川西も三沢も戦争に行った世代だが、三沢は川西に「人も殺した事ないだろう、強姦した事も無いだろう」と利用するには格好の人材であると踏んでいる。
三沢はあろう事か、一瞬、妻子を置いて1人だけ逃げようとする考えが浮かぶ、。しかし、上野駅で貧しい父子の姿を見て我に帰る。
ここからのパパさんは人が変ったようにカッコ良くなる。
サブにボコボコに殴られようが、まるで無視するように平穏な態度を保ち、赤児をあやす。これにはサブも後ずさり・・・

一度失敗していながら、再度身代金を奪おうというのも大胆だが、漸く身代金奪取に成功。
新宿南口で見せる三沢の不穏な動きに焦る川西とサブ。この場面サスペンスの山場として見どころ充分です。

春川ますみも気が強い面を見せながら、パパを尊敬する母親という役がGOOD!
「殺すなら殺しなさいよ!」って、強いよね。

さて、西村晃は知的な悪役という十八番の役どころをソツなくこなしているものの、三国連太郎のキャラに押され気味で今まで見た怪優ぶりにはいま一つのキャラのようにも感じたのですが、やっぱりただじゃ終わりませんね。
警察にあっさり捕まってしまうサブとは違って実に西村晃の役らしい最期がやってくるんです。私も一気にご機嫌になっちゃいました。

それと、この映画脇役陣がすごい贅沢。
田中邦衛の巡査。内田良平の浮浪者。中原早苗が誘拐された子の母親。
皆さん、ほんのチョイ役なんですもの。



ラピュタ阿佐ヶ谷

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