「蔵出し!松竹レアもの祭」
「女弥次喜多 タッチ旅行」1963年 松竹大船 監督:上村力
弘田三枝子、岩本多代、牧紀子の三人組が、知り合いを次々に訪ねる「タッチ旅行」で東北へ。弘田のパンチのある歌声、渥美清、三木のり平、由利徹などの喜劇人、場面転換のミュージカルやアニメなど、楽しさ一杯の快作コメディ。
「BGはお茶汲みでは無い!」勇気を持って断るもその場の緊張で泣き出してしまう岩本多代。屋上で岩本多代を慰めている牧紀子、弘田三枝子の若いBGに労働組合婦人部リダー・高橋とよから「あなたたちいっそ休暇を取りなさい。そして旅行に行ってきなさい」と指示。この物語展開、ちょっと意味不明ですけど、何はともあれ路銀少なくヒッチハイクや知人を紹介してもらいながら東北を旅する事に。
もう50年以上も前の作品で、当時の企業における女性の立場が良く解る。あれから婦人たちは立ち上がりジェンダー平等は加速度的に進むのかと思えば、まったくそんな事は無くて、昔よりいくらかマシになり活躍する女性も増え充て入るけど、大きく変わった点、まったく変わらない点。その歩みは牛歩の如くゆっくりしてるなぁと思わざるをえない。
脇を固める喜劇役者陣が豪華で、由利徹のトラックに乗せてもらった3人娘。いかにも危険なエロ臭発散のオヤジだが、まもなく出産をする女房のためお百度踏んでて、「あんたたち見てると女の子もいいと思うな」なんて宣う。
渥美清は旅する虚無僧で、フウテンの寅の元のようなキャラ。八波むと志はカタコトの日本語を使うパイロット。三木のり平はヤクザの親分で任侠の世界だけは女を正当に評価してくれる。
それらの喜劇人を蹴散らかすのが怪しい二枚目、吉田輝雄。またしても出てくるだけで笑いを誘う。何なんでしょうフラがあるというのともちょっと違う。「ギターを持った渡り鳥」と「君の名は」を合わせたキャラでキザなドンファン。
しかし、旅で出あった心中カップルへの対応に感心して巻き上げた金を返して去っていく。
最後は、お茶汲みが嫌で旅立ったはずが額に汗して奮闘する現場の若い男に素直に自然とお茶をだしていたりして女性の戦いの道のりはまだまだ遠く長そうである。
挿しはさまれるアニメーションが可愛いのと、若くてまんまるな弘田三枝子が元気に歌う。
岩本多代の顔は何かで見た事あるが牧紀子は馴染みが無かった。長身の美人。
調べたらなるほど岩本多代はTVでの活躍が多い。牧紀子も出演作は多いのですね。女の警察シリーズちょと気になる。
今や、三人娘すべて物故者。
ラピュタ阿佐ヶ谷
2021年7月
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「女弥次喜多 タッチ旅行」
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