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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「拳銃を売る男」

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「ウィスコンシン派」

「拳銃を売る男」1952年 米 監督:ジョセフ・ロージー 
Stranger on the Prowl(Imbarco a mezzanotte)

何もかも失った男が、空腹のあまり無銭飲食をした挙句女店主を殺してしまう。警察に追われる中、牛乳泥棒の少年と出会い共に逃げるが・・・。ロージー亡命後初の作品で明らかにネオレアリズモ的な語り口の作品。主演のポール・ニムと撮影のアンリ・アルカンが素晴らしい。資金源のファシストとコミュニストが混在する撮影現場は混乱したという逸話がある。



ウィスコンシン生まれのジョセフ・ロージー

ネオレアリズモってやつだそうです。社会派です。
戦後のイタリア、ロケ地(廃墟、港を見下ろす、サーカス)を捉えるカメラが良い。
貧困故に追い詰められ起こした行為で追われる身となってしまう男のポール・ニムの顔や肉体が魅力的。
戦争で亭主を亡くした母親は洗濯屋で貧しくも小口をしのぐ。



殺人犯を追う警察。同じ現場で牛乳泥棒をしてしまった事がバレて自分が追われていると勘違いする少年、可愛い。
少年を疎ましく思ってた男が逃亡のために親子を装いサーカス見物するうちに良き相棒になっていく過程。



少年の届けた洗濯物をくすねようとする女中(ジョーン・ローリング)が良い。セクハラ主人のいいなり覚悟もドサクサで撒いてしまう。ポール・ニムも色仕掛けで難を逃れようとするもバレて拘束されてしまう。



終盤、不覚にも感動してしまったじゃないの。
なんだか心に迫るのは、平和で恵まれた時代を過ごしていたものの、ここへ来て次世代へ引き継げそうもない。格差社会、階級社会、分断にまっしぐらな感じの現在だからだろうか。

「なぜパンを恵んでやらなかった。そうすれば事件は起きなかった」馬を連れたおじさんの言葉。



少年のメンタルを危惧していると、少年らしいラストが待ってる。バディの男よりもビー玉。



シネマヴェーラ渋谷
2022年3月



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