「役を生きる 女優・渡辺美佐子」
「青い乳房」1958年 日活 監督:鈴木清順 35mm
「踏み外した春」に続く清順の日活無軌道青春映画第ニ弾。若き小林旭の焦燥や苛立ちが物語をグルーブさせる。小林の継母で妖艶な渡辺美佐子。誠実な二谷英明、曲者の小沢昭一など脇も素晴らしい。後の清順を思わせるカット割りが斬新。
鈴木清順のウィットなドラマ。
経済的事情で兄が運転手を勤める社長の後妻てなった美人の妹・容子(渡辺美佐子)
亭主に先立たれ薬局の運営から自身と娘の人生を引っ張りこんだ若いろくでなし薬剤師に必死に頼る母親(初井言栄)。弱い者が生きる術は大人の事情。
ナンパから恋愛発展中の若い二人(若い義母を迎える事になった坊っちゃん・小林旭とセーラー服の薬局娘・稲垣美穂子)は不良グループへ危なっかしく近寄る。
小林旭は継母に好意的と思いきや・・・。ジャズ喫茶で悪友とつるんでる。マスターの小高雄二を兄のように慕ってる。危うい。
稲垣美穂子の母親に対する嫌悪。ピュアだからこそ不良になる動機。危うい
女中っ子で日陰を歩んできた事から不良になった小高優二。
小林旭と稲垣美穂子の青春ドラマパートや渡辺美佐子に近寄る画家の二谷英明の歯の浮くような台詞(歯の浮くどころではない事が判明する)
「武器よさらば」等の映画看板からグッとガード下へ展開する神カメラに清順が出てて鳥肌もん。
お母様の渡辺美佐子の和装訪問着ショー。キツい目力。
罪は無いけど社長(大森義夫)の能天気さが苛立つ。ただ、若く美しい後家をもらうという羨望の塊でありながらこの影の薄さは良い。
豊島園。ウォーターシュートのナビ。小高の白海パン。カーテンとお揃のアロハ。
薬局事件の膨大な野次馬。
さて物語は小高が父親になり改心。人間のクズから本妻の子である兄に忠告の豹変ぶりで結末を迎える。
好人物かと思われてた二谷英明が豹変してクソ野郎の本性を出す。
極悪の小高雄二は子供が生まれて好人物に豹変。変わり身としてはこいつが一番。なお二谷英明と小高雄二は兄弟。
兄と違い日陰の道を歩んできた。子供にそんな思いをさせたくない。真っ当になろう。
小林旭に慕われていただけあって根は好人物なのであった。不良の道を歩むのは案外ピュアすぎる良い奴だったりするという例。本当の悪人は不良になったりせず、巧妙にそして冷酷に悪事を働くもんだという例。
小沢昭一の初井言栄に対する無体な態度も良い。
「踏み外した春」も機会があれば・・・。
シネマヴェーラ渋谷
2022年2月
「青い乳房」1958年 日活 監督:鈴木清順 35mm
「踏み外した春」に続く清順の日活無軌道青春映画第ニ弾。若き小林旭の焦燥や苛立ちが物語をグルーブさせる。小林の継母で妖艶な渡辺美佐子。誠実な二谷英明、曲者の小沢昭一など脇も素晴らしい。後の清順を思わせるカット割りが斬新。
鈴木清順のウィットなドラマ。
経済的事情で兄が運転手を勤める社長の後妻てなった美人の妹・容子(渡辺美佐子)
亭主に先立たれ薬局の運営から自身と娘の人生を引っ張りこんだ若いろくでなし薬剤師に必死に頼る母親(初井言栄)。弱い者が生きる術は大人の事情。
ナンパから恋愛発展中の若い二人(若い義母を迎える事になった坊っちゃん・小林旭とセーラー服の薬局娘・稲垣美穂子)は不良グループへ危なっかしく近寄る。
小林旭は継母に好意的と思いきや・・・。ジャズ喫茶で悪友とつるんでる。マスターの小高雄二を兄のように慕ってる。危うい。
稲垣美穂子の母親に対する嫌悪。ピュアだからこそ不良になる動機。危うい
女中っ子で日陰を歩んできた事から不良になった小高優二。
小林旭と稲垣美穂子の青春ドラマパートや渡辺美佐子に近寄る画家の二谷英明の歯の浮くような台詞(歯の浮くどころではない事が判明する)
「武器よさらば」等の映画看板からグッとガード下へ展開する神カメラに清順が出てて鳥肌もん。
お母様の渡辺美佐子の和装訪問着ショー。キツい目力。
罪は無いけど社長(大森義夫)の能天気さが苛立つ。ただ、若く美しい後家をもらうという羨望の塊でありながらこの影の薄さは良い。
豊島園。ウォーターシュートのナビ。小高の白海パン。カーテンとお揃のアロハ。
薬局事件の膨大な野次馬。
さて物語は小高が父親になり改心。人間のクズから本妻の子である兄に忠告の豹変ぶりで結末を迎える。
好人物かと思われてた二谷英明が豹変してクソ野郎の本性を出す。
極悪の小高雄二は子供が生まれて好人物に豹変。変わり身としてはこいつが一番。なお二谷英明と小高雄二は兄弟。
兄と違い日陰の道を歩んできた。子供にそんな思いをさせたくない。真っ当になろう。
小林旭に慕われていただけあって根は好人物なのであった。不良の道を歩むのは案外ピュアすぎる良い奴だったりするという例。本当の悪人は不良になったりせず、巧妙にそして冷酷に悪事を働くもんだという例。
小沢昭一の初井言栄に対する無体な態度も良い。
「踏み外した春」も機会があれば・・・。
シネマヴェーラ渋谷
2022年2月