「ウィスコンシン派(スクール)」
「不審者」1951年 米 監督:ジョセフ・ロージー
THE PROWLER
人妻による深夜の不審者通報から始まるジェットコースター・ノワール。人格破綻者の悪徳警官に運命を狂わされた人妻がた辿りついた果ての光景に驚愕必至。ジョセフ・ロージー初期の傑作であり、”赤狩り”で映画界から干されたダルトン・トランボがノン・クレジットで脚本を担当している。
不審者通報で駆け付けた先の奥さんの美しさにまいって手段選ばずモノにしようという警官ヴァン・へフリンのズーズーしさと奸計。
最初はキッパリ平手打ちで追い返すも見え透いた再訪を受け入れちゃう人妻イヴリン・キースの浅墓な愚かさ。すっかりヴァン・へフリンに夢中に。
わざと突き放すへフリン。
ヘイズ・コードの関係か二人のベッドシーン抜きで熱愛に至る経緯を巧みに描き面白い。
夫殺しも二人の共謀でなく、結婚まで持っていく展開。
さらに早すぎる妊娠からは驚異の砂漠ゴーストタウンへ急展開。
最後はイヴリン・キースの賢明な判断。
ラジオDJの夫の番組を聴きながらの逢瀬。ゴーストタウンで再び死んだ夫のラジオ音声の演出には痺れた。
「止まれ、止まれ、止まれ」も再度効果的に。
石集め趣味の先輩警官夫妻の使いも巧みで面白い。
シネマヴェーラ渋谷
2022年3月
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「不審者」
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