「ウクライナの大地から」
「長い見送り」1971年 ソ 監督:キラ・ムラートワ
Допгие Проволы
神経症的なシングルマザーと、母から逃れたい思春期の息子の母子愛情映画。白黒のコントラスト、揺れ動く心情そのもののようなカメラが素晴らしい傑作だが、内容が問題視され公開されなかった。ヌーヴェルヴァーグやニューシネマの影響が色濃く、斬新なカットや音の使い方などムラートワ特有の映像スタイルが光る。終盤の長回しも素晴らしい。
シングルマザーと思春期の少年。どこの国でもある普遍的テーマを冴えるカメラや構図、音楽の使い方、リフ映像と、とても好みに仕上げてくれてる傑作。ヌーヴェルヴァーグの正しい影響。それでもソビエト時代は検閲で上映されなかったとか、検閲はクソだな。
ママのキャラクターが強烈で、こりゃ息子は逃げ出したくなる。でもママ可愛いんだ。
安全ピンマスカラでデート、タクシー内で急に機嫌損ねて出て行っちゃう。上司に翻訳外注をジトジトクレーム。
息子への局止め私信を見せてくれと局員に迫る。
電信電話局(?)のシーンがとても良い。
無音から聴こえてくる若者たちの歌声。これ以外にも音楽の使い方、入れ方は絶妙。
落下するペンを元に戻すリフレイン。
眼鏡を忘れた老人の手紙を代筆。
ついには息子と父親の電話を盗み聴き。
扉をスクリーンにしてのスライドショー。
私信を覗くという許し難い行為も息子は案外平静だな。(ガールフレンドじゃないからな)
息子と離れて暮らすことを覚悟した母親の旦那とのドライブ・デート回想。
父親にあの時に見た赤い鳥を覚えているか確認して報せておくれ、と・・・
パーティーの座席でまたしてももめる頑固な母親。
少年に関しては、ガールフレンドの風紀係に息巻くところが良い。
走高跳び失敗するのも良い。その様子を星明子然と見守る母親(例えが古い)
結局母親の老いと少年の成長、母子愛で物語はハッピーエンドか。
いや、二人ともまだまだ若いって。この二人、一度は別れて暮らしてみるべきと思うが・・・。
ソビエト青春映画として「モスクワを歩く」にも匹敵するほどフェイバリット作品と出会ったか。
シネマヴェーラ渋谷
2022年6月
「長い見送り」1971年 ソ 監督:キラ・ムラートワ
Допгие Проволы
神経症的なシングルマザーと、母から逃れたい思春期の息子の母子愛情映画。白黒のコントラスト、揺れ動く心情そのもののようなカメラが素晴らしい傑作だが、内容が問題視され公開されなかった。ヌーヴェルヴァーグやニューシネマの影響が色濃く、斬新なカットや音の使い方などムラートワ特有の映像スタイルが光る。終盤の長回しも素晴らしい。
シングルマザーと思春期の少年。どこの国でもある普遍的テーマを冴えるカメラや構図、音楽の使い方、リフ映像と、とても好みに仕上げてくれてる傑作。ヌーヴェルヴァーグの正しい影響。それでもソビエト時代は検閲で上映されなかったとか、検閲はクソだな。
ママのキャラクターが強烈で、こりゃ息子は逃げ出したくなる。でもママ可愛いんだ。
安全ピンマスカラでデート、タクシー内で急に機嫌損ねて出て行っちゃう。上司に翻訳外注をジトジトクレーム。
息子への局止め私信を見せてくれと局員に迫る。
電信電話局(?)のシーンがとても良い。
無音から聴こえてくる若者たちの歌声。これ以外にも音楽の使い方、入れ方は絶妙。
落下するペンを元に戻すリフレイン。
眼鏡を忘れた老人の手紙を代筆。
ついには息子と父親の電話を盗み聴き。
扉をスクリーンにしてのスライドショー。
私信を覗くという許し難い行為も息子は案外平静だな。(ガールフレンドじゃないからな)
息子と離れて暮らすことを覚悟した母親の旦那とのドライブ・デート回想。
父親にあの時に見た赤い鳥を覚えているか確認して報せておくれ、と・・・
パーティーの座席でまたしてももめる頑固な母親。
少年に関しては、ガールフレンドの風紀係に息巻くところが良い。
走高跳び失敗するのも良い。その様子を星明子然と見守る母親(例えが古い)
結局母親の老いと少年の成長、母子愛で物語はハッピーエンドか。
いや、二人ともまだまだ若いって。この二人、一度は別れて暮らしてみるべきと思うが・・・。
ソビエト青春映画として「モスクワを歩く」にも匹敵するほどフェイバリット作品と出会ったか。
シネマヴェーラ渋谷
2022年6月