「起きて転んでまた起きて 前田陽一の反マジメ精神 喜劇パラダイス」
「神様のくれた赤ん坊」1979年 監督:前田陽一 脚本:前田陽一、南部英夫、荒井晴彦
「集金旅行」のリメイク。身寄りの無くなった男の子の慰謝料を集めるという基本線は同じだが、父親探し、それに桃井のルーツ探しの要素も加えて、秀逸なロードムービーに。渡瀬、桃井、荒井脚本と、新しい顔ぶれが前田映画を刺激。後期の代表作。
同棲中の小夜子(桃井かおり)と晋作(渡瀬恒彦)のところに女が6歳くらいの男の子を連れて現れる。なんでも隣に住んでいた明美という女が坊やを残して駆け落ちし、置手紙に晋作を始め五人の男の住所氏名が。窮した晋作は男の子を連れて父親探しの旅に出る。小夜子もふるさとを探すと言って付いてきた。
なるほど1957「集金旅行」のリメイクなのね。
渡瀬恒彦と桃井かおりの役者としての魅力は感じる事ができてそれなりに楽しめたけど、晋作と小夜子二人の行動に嫌やな面も。
旅先女遊び。ぽっちゃり系の飲み屋のおかみがバッチリおめかしして上がって来たのに「ストでもダンプには乗れない」しっ、しっ、とは失礼な。
母親の素性を知り自分も娼婦ごっこ。童貞青年が必死にお願いします!とすがるのに逃走って、どんだけ自分勝手よ。
セックスなめんなよ。
しまいには吉行和子に「子供の前でする話じゃないわね」と窘めなれる始末。
小夜子の母親ルーツをたどる旅を絡めているのは良くって、3人座って城を眺めるシーンは好き。
偶然だけど母の日に鑑賞したのは良かった。
桃井かおり、ジーンズ似合う。カッコいい。
駆け出し女優小夜子が初めてもらった台詞がラストで活かされる。
「集金旅行」の方が断然良いと思ってしまうのは案外、個人的な知らない時代への憧れと知ってる時代への近親嫌悪の差だけなのかも知れない。
ライオンズが身売りして埼玉に行った年の公開。クラウンライターライオンズ・ユニの稲尾2世小島三児に笑。あ、ガキとは言え中西太のサインボール邪険にするのは許せんw
次、「集金旅行」上映あったら再鑑賞しよう。確定。
ラピュタ阿佐ヶ谷
2024年5月