Quantcast
Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 4203

樋口毅宏 「さらば雑司ヶ谷」

$
0
0
さらば雑司ヶ谷 (新潮文庫)樋口毅宏新潮社発売日:2012-01-28ブクログでレビューを見る»

「民宿雪国」の新刊本を買って速攻で読み、速攻で売り払った。面白かったけれど、もう樋口毅宏の作品に手を出す事は無いんじゃないかなと思っていた。

書店で物色していると新刊文庫にこいつがあったので、ふらふらっと手に取りレジへ向かってしまった。
なんだろう、牧かほりのカバー・イラストも確かに惹きつけるものはあるようだが・・・

で、本作。エンターテイメントとして面白いじゃないの。
巻末にわが祖母、樋口泰に捧ぐとして、影響を受けた人物や作品が細かく列挙されている。
これらの作品、人物へのオマージュ、霊感、意匠、影響、引用、パスティーシュで構成している箇所がある。
タランティーノからガンバルマンまで。
一種の継ぎ接ぎ作品とも言えるかもしれない。継ぎ接ぎでこれだけ面白く完成度のある物を作っちゃうのは凄いです。
マンガや映画を文章化したような感覚。でも意表を突く展開はリーダビリティーにも優れ、あっと言う間に読んでしまった。

時折、主人公が、あまりにも当たり前の事を、さも大発見のように世の中の真理を説くといった所が見受けられ、ちょっと気恥かしくなる青さを感じちゃうけど・・・

スピーディーな暴力描写とセックス描写、特に男同士の物なんぞは意外なほど嫌悪感無く、いい味出してますね。

古今東西最も優れた音楽家は誰かという本編に関係なく討論されるシーンではもっと深く、長く引っ張ってほしかった。ジョン・レノンとマイルス、オザケンだけでは・・・。オザケンは良く知りませんがそんなに凄いんですか?
ビートルズ推奨の引用でジャズピアニストにしてハードボイルド作家、原寮の一節が使われていたのが嬉しい驚き。

作業員5人流される マンホール内で工事中

http://www.gesui.metro.tokyo.jp/oshi/infn0382.htm

さて、R・I・Pも文庫になったら読むんでしょうか。
それはちょっと微妙・・・。
でも、ここにそういう風に書いたからきっと読むな。
気になる存在である事は間違いない。

にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ blogram投票ボタン

Viewing all articles
Browse latest Browse all 4203

Trending Articles