「性談　牡丹燈籠」

「日活映画の100年　日本映画の100年」

「性談　牡丹燈籠」1972年　日活　監督：曽根中生

旗本の娘・お露が、浪人・萩原新三郎と出会い恋に落ちる。だがお露の父を虜にして財産を奪おうとする女中・お国の謀略によって、お露は命を落としてしまう。そして失意に沈む新三郎のもとに、死んだはずのお露が訪ねてくる。女の情念を幻想的に描いた傑作怪談。

ロマンポルノ初期、時代物を作る題材として怪談の中でも純愛物の一面のある「牡丹燈籠」を取り上げるのはいたって必然と思う。題材として申し分無いという事だ。
怪談から性談となって、方々の愛情表現は濡れ場を伴う。
時代物ポルノ女優として人気の小川節子は色白の儚げな美貌が幽霊に合っているし、悪役であるお国の濡れ場も綺麗に描かれる。
この物語の重要な役割を担う、お峰と判蔵。山本薩雄版では小川真由美と西村晃が好演していたが、この２人の描き方と出来は重要。
木南衛と原英美。性談として、蚊帳の中での夫婦の行為はお露の小川節子と対照的な原英美の浅黒い肌が効いていて良い、濡れ場としては及第点。
幽霊から百両奪おうといのはお峰が唆したわけではなく、お峰が気絶している間に判蔵が独自に交渉した設定。
気絶から冷めたお峰が百両の事を口にして、「なんで気絶してたのに知ってんだ」という趣向もご愛嬌で面白い。

このお峰と判蔵の収拾のさせ方が、計略を謀ったお国と源次郎同様に実にあっさりしている。
疑心暗鬼から唐突に仲間割れとなったお峰が小判を飲み込み、その金は俺のものだと喉を掻っ捌くという、黄金餅ばりの陰惨な展開になるのだが、内容の割りに陰惨度は極めて低く妙に軽快なユーモアがある。

全体的にはお遊びも少ない怪談物としてまとめられている。ロマンポルノとしてはこれで充分ではあるが、牡丹燈籠という作品としては物足りない。
再度R18でリメイクに挑戦する監督が出ないものか･･･。

京橋　フィルムセンター