「トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2011」
「散歩する惑星」2000年 瑞典・仏 監督:ロイ・アンダーソン
原題:SANGER FRAN ANDRA VANINGEN
とある惑星のとある場所。サラリーマンは突然理由もなくリストラされ、マジシャンはマジックに失敗して男の体を本当に切り刻み、カールは保険金欲しさに自分の家具屋に火をつける。彼の次男は精神を病んだ兄のために義姉と子供たちの面倒を見ていた。カールは結局、保険金が手に入らず落ちぶれ、やがて街全体も、不穏な空気に包まれてゆく…。
「愛しき隣人」を見て、その独特の世界観にたいそう嵌ってしまったので、同様の作品とされる本作は是非、劇場で見たかったのです。
このロイ・アンダーソンという監督、ちょっと怖いくらいだな。
シュールな不条理感に拍車をかける意味で白夜というのは重要な役割を持っていそう。
どこだかわからないこの惑星の住民たちは、先を争うように現実からの脱出を図っている。
突然リストラされるサラリーマン。
何を訴えるのか怪しい行動を伴うデモ行進。
大渋滞の道路。
わけもなく殴られる迷い人。
自ら放火した家を焼け出され、呆然と地下鉄のつり革につかまる男。
詩を作ることを忘れ、病にある息子。昔は詩を作っていた事に執拗に拘る父親。
十字架で儲けようとする人。
胴切マジックを失敗するマジシャン。
指を汽車に挟まれ往生する人。
長回しを多様してCGを使わずにアナログで作られた画面。
圧巻は脱出を試みるため空港に殺到した大荷物の人々が空港カウンターに、ゆっくりにじり寄るシーン。
だまし絵のような遠近感。
捨てられた十字架の山のシーンで亡霊どもが現れ、立ち去るシーン。
地から湧き出すように逃げさる亡霊の出るタイミングが絶妙。
この2つのシーンは必見ですな。
そんなシュールな世界が繰り広げられる中、ダブルベッド上の老カップルの情景がいくつか出てきて印象深い。
直接的な性描写は無いものの老人たちの性生活を想像させられたりして・・・。
胴切りマジックの犠牲者の小男がダブルベット上でイテテテテテと悲鳴を上げる所なんざ、解りやすい一番の笑いどころ。
もう、こういう、不条理ブラックユーモアは大好きなので、もっともっと作って!と思う。
何度も繰り返し鑑賞したくなる作品。
ただ、よくよく考えるとブラックさは不気味で背筋が凍る思いも・・・。
どこかのとある惑星?
高齢化社会、年金問題、長引く不況、じりじりとボディーブローのように現れる震災によるダメージ(尤も鑑賞したのは震災前なんですが)
この閉塞感を近未来SFチックにシュールなユーモアの中で表現するだなんて・・・この監督、怖い人なんじゃないでしょうか。
「スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー」は少し毛色が違う作品で、自分向きの物ではないような気がしていて、パスと決めていたのだけれど、やっぱり、ちょっと見てみたくなってきた。
渋谷 ユーロスペース
「散歩する惑星」2000年 瑞典・仏 監督:ロイ・アンダーソン
原題:SANGER FRAN ANDRA VANINGEN
とある惑星のとある場所。サラリーマンは突然理由もなくリストラされ、マジシャンはマジックに失敗して男の体を本当に切り刻み、カールは保険金欲しさに自分の家具屋に火をつける。彼の次男は精神を病んだ兄のために義姉と子供たちの面倒を見ていた。カールは結局、保険金が手に入らず落ちぶれ、やがて街全体も、不穏な空気に包まれてゆく…。
「愛しき隣人」を見て、その独特の世界観にたいそう嵌ってしまったので、同様の作品とされる本作は是非、劇場で見たかったのです。
このロイ・アンダーソンという監督、ちょっと怖いくらいだな。
シュールな不条理感に拍車をかける意味で白夜というのは重要な役割を持っていそう。
どこだかわからないこの惑星の住民たちは、先を争うように現実からの脱出を図っている。
突然リストラされるサラリーマン。
何を訴えるのか怪しい行動を伴うデモ行進。
大渋滞の道路。
わけもなく殴られる迷い人。
自ら放火した家を焼け出され、呆然と地下鉄のつり革につかまる男。
詩を作ることを忘れ、病にある息子。昔は詩を作っていた事に執拗に拘る父親。
十字架で儲けようとする人。
胴切マジックを失敗するマジシャン。
指を汽車に挟まれ往生する人。
長回しを多様してCGを使わずにアナログで作られた画面。
圧巻は脱出を試みるため空港に殺到した大荷物の人々が空港カウンターに、ゆっくりにじり寄るシーン。
だまし絵のような遠近感。
捨てられた十字架の山のシーンで亡霊どもが現れ、立ち去るシーン。
地から湧き出すように逃げさる亡霊の出るタイミングが絶妙。
この2つのシーンは必見ですな。
そんなシュールな世界が繰り広げられる中、ダブルベッド上の老カップルの情景がいくつか出てきて印象深い。
直接的な性描写は無いものの老人たちの性生活を想像させられたりして・・・。
胴切りマジックの犠牲者の小男がダブルベット上でイテテテテテと悲鳴を上げる所なんざ、解りやすい一番の笑いどころ。
もう、こういう、不条理ブラックユーモアは大好きなので、もっともっと作って!と思う。
何度も繰り返し鑑賞したくなる作品。
ただ、よくよく考えるとブラックさは不気味で背筋が凍る思いも・・・。
どこかのとある惑星?
高齢化社会、年金問題、長引く不況、じりじりとボディーブローのように現れる震災によるダメージ(尤も鑑賞したのは震災前なんですが)
この閉塞感を近未来SFチックにシュールなユーモアの中で表現するだなんて・・・この監督、怖い人なんじゃないでしょうか。
「スウェーディッシュ・ラブ・ストーリー」は少し毛色が違う作品で、自分向きの物ではないような気がしていて、パスと決めていたのだけれど、やっぱり、ちょっと見てみたくなってきた。
渋谷 ユーロスペース