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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「ジャコ萬と鉄」

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「銀座シネパトス 名画座リクエスト特集」

「ジャコ萬と鉄」1949年 東宝 監督:谷口千吉

昭和21年、漁師頭の九兵衛は稀に見るニシンの豊漁に備え、出稼ぎ漁師達を集めさせたが、その中に古い因縁を持つ男、ジャコ萬がいたことに驚く。ジャコ萬はかつて九兵衛に樺太に置き去りにされ、死の渕を彷徨った男だったのだ。そして九兵衛の息子・鐵にジャコ萬は喧嘩を吹っかけるが、彼は軽くいなして済ませるのだった。だが、九兵衛の非道は次第に漁師達の間に噂されるようになり、一触即発の空気が醸し出されてゆく。

3月末で閉館となった銀座シネパトスでのラスト鑑賞。
当初はシネパトスを舞台にした「インターミッション」で締めようと思っていたのです。秋吉久美子さんが主演だし。ところが予告編を見ただけで、これはダメだと解ってしまったので路線変更。
リクエスト特集の「炎上」を見たかったのだけどスケジュール付かず、本作。

なかなか普通は選ばない作品かな。
谷口千吉だけど脚本には黒澤明の名も。何と黒澤映画は「どですかでん」しかまともに見てません。「どですかでん」がとても素晴らしかったので、いづれ主力作は鑑賞しようと思っているのですが、いつも後回しにしちゃう。いつでも借りれる状況だしね。

と言う事で三船敏郎が出ています。良く知らないのですが男は黙ってとか苦虫を噛み潰したような渋い印象を持ってましたが、これはぜんぜん違う。
若き正義漢でさわやかな青年。実にチャーミングなのですね。後に登場する加山雄三よりもうんと可愛くて驚き。
正しい事は正しい、悪い事は悪いで父親とも衝突するスタンス。

宴席で披露する土人の歌と振りが必見。
ハナモゲラ、よかちょろ、熊の木本線と同様に憶えたい。もうやらないけどね。
それにしてもこういう宴会って少なくなったな。
こっちが年を取っただけじゃないでしょ。若い人の乗りが違うもん。愚痴ってもしょうがない。

対するジャコ萬はアイパッチの月形龍之介。
悪役という立場ですが私怨に燃えているだけに嫌な奴ではあります。悪いのは進藤英太郎だけど。
ジャコ萬のあだ名はじゃこう鹿からきているんだって、ニシン漁の話なんだものチリメンジャコから来ていると思ったのは私だけじゃないはず・・・
確かにマタギだが・・・

無粋な男ジャコ萬には積極的にアプローチしてくるアイヌ混血娘が居る。
対して鉄の方は休日に教会に行っちゃあオルガンの少女(久我美子)を眺めニヤけている。
時代とはいえ、どんだけプラトニックなんだよ。

確かに時代を写し取った作品としては魅力的です。
当時の食糧事情。
労働ストライキ。
漁では足手まといになっている「大学」の言葉
「まずはニシンを日本の物にしよう」が印象的。
迫力のニシン漁の風景もドキュメントタッチでカッコ良い。

深作欣二が高倉健と丹波哲郎でリメイクしているけど、そっちも機会があったら観てみますか。多分、どうせ谷口版の事を忘れた頃になりそうだから辞めておくか。ま、どうでもいいや。

銀座シネパトス
さようなら・・・

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