「La PASSIONE 増村保造×白坂依志夫の仕事」
「盲獣」1969年 大映 監督:増村保造 脚本:白坂依志夫
トークイベント 緑魔子さん、白坂依志夫さん。
盲目の芸術家と監禁されたモデルの美女が織りなす悦楽地獄──。登場人物が三人、ワンセットのなか、江戸川乱歩の怪奇世界をみごとに描いた衝撃作。増村作品の常連・船越英二の力演と緑魔子の妖しい魅力がぶつかり合う。
「盲獣」を7年ぶりに鑑賞。
思えば映画通いのきっかけとなった作品と言えます。「傷だらけの天使」の頃から気になっていた謎の女優、緑魔子の真価を初めて感じ、以降沢山彼女の作品も観ました。
映画の方は衝撃的で素晴らしいのですがヘビーですのでよほどの事が無いと再鑑賞には至らないと思っていました。その余程の事が今回の緑魔子様トークショー。
トークイベント目当てで観に来るというのは初めてかも知れません。時に面白い裏話が聞けて得した気分になれるトーク・イベントですが、本来あまり好きではありません。
しかし、以前シネマヴェーラの緑魔子トークショーで、そのあまりの可愛さにノックアウトでしたので・・・
女優としては若くてピチピチの緑魔子が素晴らしいのですが、それとは別に現在、お婆ちゃんになった緑魔子様が、こんなにもチャーミングというのは嬉しい限りで、もう完全にファンになってしまったものです。
それと、今回は昨年末に亡くなられた千石規子さんの追悼の意味も込めて。
千石さんは船越英二さんと年齢一つ違いなんですね。驚きです。お二人とももういらっしゃいません。
それにしても、再鑑賞して良かったですね。
江戸川乱歩物の映画としては最高峰かもしれません。それは後で原作を読んだ時にも強く感じました。
怪奇小説を男と女の倒錯した愛に昇華した脚本は出色。白坂依志夫さんの作品としては怪奇物は珍しいのでしょうが。偉大なる脚本家・白坂依志夫の名をボケ頭に刻んだのも本作が最初。
この脚本の倒錯愛は増村保造からの注文というわけでもなく二人も思いが一致していたとか・・・
映画は、「島アキの拉致監禁」「母親の登場での三角関係」「島アキの貞夫への同調と倒錯愛」の3パートに分けられると思いますが、最初から最後まで見所の連続で目が離せません。
まず、最初の揉み療治。
緑魔子のパンチラ、船越英二の指技。これほどまでのエロ映画があるでしょうか。
アトリエの造形。
スタジオセットのゴム人形や各女体パーツのオブジェ。
どうしても裏話が聞きたくなる所ですが、女優さんと脚本家さんでは素材等については解らないようです。ただ、美術スタッフが、「これどうなっちゃうんですか増村さん」と驚き、戸惑い作っていたとか。
このアトリエ造形の描写に関して、原作を読んだ際、異常性が映画以上に素晴らしいという感想を持っている。覚えてないが、どんだけ凄い描写だったんだ。
ストーリーとしては映画。視覚効果の部分では原作。という評価は、ちょっと恐ろしくも不思議な感じ。
巨大ゴム人形の間を追っかけこする緑魔子と盲目役の船越英二。
千石規子さんの子離れしない母親。
この辺の描写はなんと言っても単純で解り易いのが良いです。不遇の子を生んだ母親の息子への愛とその愛を受けた息子の異常性がさらに明確に。
当初、登場人物は二人だけだったようですが、持たないと言う事で母親を出したとか。
もうラストパートは猟奇的を越えて、とんでも映画の領域に。
痛そうな脚本に、「片腕を切断されて、もっと・・・なんて言えるかしら、気絶しちゃうんじゃないかな」という緑魔子さんの述懐。
トークイベントは、やっぱり緑魔子様の可愛さに見惚れっぱなし。
内容は詳しく憶えてませんがちょっとだけ。
緑魔子様は幼い頃から洋画は良く見ていたけど、邦画はぜんぜん見ていなかった。
江戸川乱歩より夢野久作の方に嵌っていた。
そう言えば、ご主人の石橋蓮司さんも江戸川乱歩作品「屋根裏の散歩者」に出演。
夫婦揃って乱歩作品出演という話を白坂さんが誤解して「夫婦で江戸川乱歩を読んでいるのは気持ち悪い」と言うと「出演していたってだけです」とちょっと怒った感じに言う・・・きゃわゆい。
東大法学部卒の増村保造が映画監督になったのは、「彼の中に女性的な物があって、男性の作りあげた社会に対して憎んでいたのでは」という自説を披露して「ごめんなさい、生意気な事言って」とあくまで謙虚な緑魔子様。
白坂依志夫さんは80歳、肉体的な衰えには逆らえないものの頭は冴えており、自虐のユーモアがボソボソと炸裂。
椅子から何度もづり落ちそうになり緑魔子様やスタッフの方の介護が必要なほどにも「誰か引っ張ってんじゃないか」に場内爆笑。
イタリア帰国後は醜聞のほとんど無かった増村保造監督。緑魔子様に対しては明らかに惚れていたんじゃないかと・・・。
トークショー終わってファンに取り囲まれ気軽にサインに応じられる姿もシネマヴェーラの時と同様。
遠目に見ていると「緑魔子」とほとんど楷書で記されていて、何処で見てもすぐ解るサイン。
なんだか人柄を感じるサインですね。
ラピュタ阿佐ヶ谷
「盲獣」1969年 大映 監督:増村保造 脚本:白坂依志夫
トークイベント 緑魔子さん、白坂依志夫さん。
盲目の芸術家と監禁されたモデルの美女が織りなす悦楽地獄──。登場人物が三人、ワンセットのなか、江戸川乱歩の怪奇世界をみごとに描いた衝撃作。増村作品の常連・船越英二の力演と緑魔子の妖しい魅力がぶつかり合う。
「盲獣」を7年ぶりに鑑賞。
思えば映画通いのきっかけとなった作品と言えます。「傷だらけの天使」の頃から気になっていた謎の女優、緑魔子の真価を初めて感じ、以降沢山彼女の作品も観ました。
映画の方は衝撃的で素晴らしいのですがヘビーですのでよほどの事が無いと再鑑賞には至らないと思っていました。その余程の事が今回の緑魔子様トークショー。
トークイベント目当てで観に来るというのは初めてかも知れません。時に面白い裏話が聞けて得した気分になれるトーク・イベントですが、本来あまり好きではありません。
しかし、以前シネマヴェーラの緑魔子トークショーで、そのあまりの可愛さにノックアウトでしたので・・・
女優としては若くてピチピチの緑魔子が素晴らしいのですが、それとは別に現在、お婆ちゃんになった緑魔子様が、こんなにもチャーミングというのは嬉しい限りで、もう完全にファンになってしまったものです。
それと、今回は昨年末に亡くなられた千石規子さんの追悼の意味も込めて。
千石さんは船越英二さんと年齢一つ違いなんですね。驚きです。お二人とももういらっしゃいません。
それにしても、再鑑賞して良かったですね。
江戸川乱歩物の映画としては最高峰かもしれません。それは後で原作を読んだ時にも強く感じました。
怪奇小説を男と女の倒錯した愛に昇華した脚本は出色。白坂依志夫さんの作品としては怪奇物は珍しいのでしょうが。偉大なる脚本家・白坂依志夫の名をボケ頭に刻んだのも本作が最初。
この脚本の倒錯愛は増村保造からの注文というわけでもなく二人も思いが一致していたとか・・・
映画は、「島アキの拉致監禁」「母親の登場での三角関係」「島アキの貞夫への同調と倒錯愛」の3パートに分けられると思いますが、最初から最後まで見所の連続で目が離せません。
まず、最初の揉み療治。
緑魔子のパンチラ、船越英二の指技。これほどまでのエロ映画があるでしょうか。
アトリエの造形。
スタジオセットのゴム人形や各女体パーツのオブジェ。
どうしても裏話が聞きたくなる所ですが、女優さんと脚本家さんでは素材等については解らないようです。ただ、美術スタッフが、「これどうなっちゃうんですか増村さん」と驚き、戸惑い作っていたとか。
このアトリエ造形の描写に関して、原作を読んだ際、異常性が映画以上に素晴らしいという感想を持っている。覚えてないが、どんだけ凄い描写だったんだ。
ストーリーとしては映画。視覚効果の部分では原作。という評価は、ちょっと恐ろしくも不思議な感じ。
巨大ゴム人形の間を追っかけこする緑魔子と盲目役の船越英二。
千石規子さんの子離れしない母親。
この辺の描写はなんと言っても単純で解り易いのが良いです。不遇の子を生んだ母親の息子への愛とその愛を受けた息子の異常性がさらに明確に。
当初、登場人物は二人だけだったようですが、持たないと言う事で母親を出したとか。
もうラストパートは猟奇的を越えて、とんでも映画の領域に。
痛そうな脚本に、「片腕を切断されて、もっと・・・なんて言えるかしら、気絶しちゃうんじゃないかな」という緑魔子さんの述懐。
トークイベントは、やっぱり緑魔子様の可愛さに見惚れっぱなし。
内容は詳しく憶えてませんがちょっとだけ。
緑魔子様は幼い頃から洋画は良く見ていたけど、邦画はぜんぜん見ていなかった。
江戸川乱歩より夢野久作の方に嵌っていた。
そう言えば、ご主人の石橋蓮司さんも江戸川乱歩作品「屋根裏の散歩者」に出演。
夫婦揃って乱歩作品出演という話を白坂さんが誤解して「夫婦で江戸川乱歩を読んでいるのは気持ち悪い」と言うと「出演していたってだけです」とちょっと怒った感じに言う・・・きゃわゆい。
東大法学部卒の増村保造が映画監督になったのは、「彼の中に女性的な物があって、男性の作りあげた社会に対して憎んでいたのでは」という自説を披露して「ごめんなさい、生意気な事言って」とあくまで謙虚な緑魔子様。
白坂依志夫さんは80歳、肉体的な衰えには逆らえないものの頭は冴えており、自虐のユーモアがボソボソと炸裂。
椅子から何度もづり落ちそうになり緑魔子様やスタッフの方の介護が必要なほどにも「誰か引っ張ってんじゃないか」に場内爆笑。
イタリア帰国後は醜聞のほとんど無かった増村保造監督。緑魔子様に対しては明らかに惚れていたんじゃないかと・・・。
トークショー終わってファンに取り囲まれ気軽にサインに応じられる姿もシネマヴェーラの時と同様。
遠目に見ていると「緑魔子」とほとんど楷書で記されていて、何処で見てもすぐ解るサイン。
なんだか人柄を感じるサインですね。
ラピュタ阿佐ヶ谷