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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「女王蜂の怒り」

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「復活!!久保菜穂子」

「女王蜂の怒り」1958年 新東宝 監督:石井輝男

海堂組女親分の女王蜂ことゆりは、縄張りを狙う竜神組の剛田によって奪われた船荷の賠償金を払うため賭場で身体を張るが、イカサマに引っ掛かり剛田に犯されるはめに・・・。

デジタル素材の上映だった。上下に黒味が出る上映。ま、いいか。
良いですね、新東宝・石井輝男のガチガチ任侠映画。悪い奴はあくまで卑劣に悪く・・・
主役の久保菜穂子が例によって地味目な分、周囲の人々の侠義がくっきり浮かび上がる。
主役の力で中心に焦点が当たる東映任侠とは違った味があって良いと思います。

ただね、宇津井健がね・・・。大変申し訳ないのですがこの方は苦手。子供の頃、親が見ていたホームドラマに良く出ていて、人格のある父親役やってました。あれらのドラマが大嫌いだったし、特に宇津井健の役柄に対して偏見を持っていましたから、もうトラウマなんです。
風来坊・ハリケーンの政の役で港まつりに登場すると、いきなりアクションシーン。あぁ、宇津井健、もっさりだわ〜。
この人に「俺はハクいスケが大好きなんでね、ハッハハハ」なんて笑われると嫌な野郎だと思ってしまう。あくまで個人的事情です、許して。
正義として主役級の活躍を見せ、貞操を奪われ怒りのうちに竜神組に殴りこんできたゆりに
組の頭としての責任を説くという出来た人物の役なんだけど、どうも・・・。

他の出演者は文句の付けようの無い好ましさ。
悪役 竜神組組長は若き天知茂がコールマン髭に老けメイクで卑劣そのもの。神経質そうな表情がとても素敵。この頃の天知茂を見れるだけで価値あり。
その舎弟にこれまた若いね、ポマードオールバック細身の菅原文太。ダンスホールで巧みなダンスまで披露。

海堂組の方も良いんだな。中山昭二の任侠が際立ち、その女で結婚の約束を交わした旅館仲居の三原葉子の気丈な態度。今回はエロ担当じゃなく、今まで見た作品の中で最も好感の持てる役。もっともこの方に好感度なんか求めちゃいないけどね。それは私だけじゃないでしょう。
久保菜穂子は地味ながら駆けだしの女親分として、その強さと女の弱さを合わせ持つ感じが良いのです。
スタイルはスラッとしているのでコスプレ的には最高。
港湾でのツナギ姿。和服姿、片肌脱いで博打。ラストでピストル片手に構えるコート姿。



つんぼ桟敷にされた襲名披露に頭にくる子分を制して単独で乗り込み、関東の親分衆の前でまんまと剛田の顔を潰したかと思うと、賭場でイカサマにころっと引っ掛かり貞操の危機に瀕したり、ついには文太の持った眠り薬で貞操を奪われちゃう、必死にシャワーを浴びたり、哀れなんです。そして、前述の宇津井健に諭される場面へ。

ラストはついに組同士の果たし合い。
早朝や夜中のシーンになるとモノクロになるという手法は面白い。
コートにピストルを構える久保菜穂子の背後に蒸気機関車が通る。良い絵です。

結局、宇津井健の正体はそういう事だったのか。嫌な奴だ。
でも風来坊より制服の方が似合うんだこの人。
ハリケーンのマサに肩入れする竜神組組長のお嬢さん、星輝美と言う女優さんは初めて認識したけど単純に明るいキャラ、ちょっとイモっぽいけど可愛いんだなこの娘。要チェック。

今回、主役は宇津井健っぽかったけど一番痺れたのは中山昭二と三原葉子でした。

シネマヴェーラ渋谷

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