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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「濡れた欲情 ひらけ!チューリップ」

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「濡れた欲情 ひらけ!チューリップ」1975年 日活 監督:神代辰巳

「玉五発勝負!」張りつめた空気の中で、盤面を跳ねるパチンコ玉。パチプロ見習いの洋は、若いが腕のある釘師・明に負けて、これで10連敗である。「わいが勝負に弱いのは、女にもて過ぎるからで、お前が強いのは、顔がへちゃむくれで女にもてないからやで」と、洋がぼやく通り、明は25歳になるのに童貞で、女が欲しくて、女パチプロとの勝負になると必ず負けてしまう。一方、洋はパチンコ屋の店員の牧子をはじめ手あたり次第。その牧子に明は惚れているのだった。

能天気な歌声で大ヒットした寛平ちゃんの「ひらけ!チューリップ」
このコミックソングを題材とした歌謡ポルノも神代監督にかかっちゃ、浪速を舞台にした若き釘師・洋(足立清康)とパチプロ見習い(石井まさみ)の対決、青春の悲哀なんてことになって、何だか知らん傑作映画になってしまう。
当時のパチンコ事情が懐かしい。既に左手での玉挿入は無いが、自動と手打ちが共存してチューリップをパッと開かせる事に躍起になったものです。
パチンコが舞台ですから製作協力に平和工業(現・平和)
現在のスロットを取り入れたパチンコはやる気にならないな。元手がかかりすぎるもの。

間寛平も出演しているし、「ひらけ!チューリップ」もかかるにはかかるが、その曲想と映画はけっこうかけ離れている。
いつものように口ずさまれる歌は「ひらけ!チューリップのように陽気なものじゃない。
大阪城を照らすお日さまがパチンコ玉のようだと登場するもみあげの高橋明さんのド派手なストライプ・スーツがもう劇画チックで良い、良い。

ハンディでガタガタ動く移動カメラが軍艦マーチ鳴り響く狭いパチンコ店内を駆け回り、聞き取れない音声のけたたましさが炸裂。舞台が大阪だからこそ成り立つやかましさ。
登場人物の行動の基本となる感情はいったいどういうものなのか、そんな事は無視してただただ、店内で裸になって袋だたきにしたり・・・
何故か質屋のオヤジ(浜村純)が必死の形相で「女はとにかく押し倒してやってまえばええんや!後のことはどうにでもなる!」と童貞の明に檄を飛ばしたり・・・、
実はこれ後半に謎が解かれ物語の重要なポイントとなってくる。

それにしてもそれにしても、いつ見ても芹明香の女神ぶり観音ぶり菩薩ぶりは筆舌に尽くしがたい。
明の頭をなでなで・・・それは恋愛でなくあくまで憐憫だけれども。
元スケバンの景品係で剃刀を操る名人。蹴りや肘鉄も得意。

そして江角英明の情婦で特出しストリッパーが谷ナオミ。
この特出しステージのシーンが素晴らしいギリギリ感。ぼかしを一切使わずに上手いこと隠す技。
亭主に赤い玉が出てしまったため若い弟子である洋に抱かれるのだが、もう抱かれる前からの発情ぶりがどエロでよろしい。
やはり谷ナオミも千両役者やのぉ。

他にも1975年ブラックスプロイテーションを思い浮かべる浪速おなごのアフロヘアがカッコ良い女パチプロ。
着物姿でおでんの屋台を引く二条朱美。

橋の上のリアカーと自転車の明と洋。
屋台で大阪を走り回ると、の3人のショット。
天王寺動物園の赤電話。
リアカーをひく洋の後方に一瞬見える幼い女の子のむずかり。そんな偶然のようなショットまで、もう名シーンの目白押し。

若き間寛平ちゃんは、明の4番目の義父。飛び道具のギャグは使わずキャラクターのフラだけ勝負で、なんとも可笑しみがある。

それにしても今では、間寛平もマラソンの強者。
間寛平もパチンコもずいぶんと様変わりいたしましたなぁ。

新橋ロマン 初参戦

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