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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「エロスの誘惑」

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「エロスの誘惑」1972年 日活 監督:藤田敏八

東京湾デルタ地帯に建ち並ぶ倉庫群の一角にある三好ゴム第一倉庫。社員は、貧相な三十男の菊地と、堂々たる体格の十七、八歳の健太郎、そして事務員のタネの三人である。健太郎が夜学に通っているため早く帰った後、菊地はタネに結婚を申し込んだ。タネはそんな菊地に「私がどんな女か知ってるの?」と冷たかった。タネは倉庫の二階の片隅にある粗末な部屋に住んでいた。今日も、夜遅く社長の三好が訪ねて来た・・・。

肉感的な女に翻弄される男共。中川梨絵がど嵌り。
熟の塩梅が絶妙なのですよ。

タネ(中川梨絵)は倉庫で寝泊まりしているのだけれど、港湾倉庫など休日には人っこ一人居なくなり極めて物騒。それを何の気にも止めずに洗濯したり行水したり。
社長(小松方正)のお囲い者で、時々訪ねてくる社長との情事。
冴えない所長の菊池にプロポーズされると、社長は部下に女を払い下げるのに好都合と結婚を勧める。
エロ親父をやらせれば天下一品。小松方正が好演。エロすぎ。

そんな倉庫に本社から庄司という男が派遣されてくる。これが地井武男。地井さんのロマンポルノといえば「濡れた荒野を走れ」で、後年TVで活躍した地井武男と風貌の違いに驚いたものだが(先日鑑賞の「愛の嵐の中で」も同様)本作の地井さんは髪をクールに刈り込み後の地井さんの風貌に近い。でも「濡れた荒野を走れ」よりこっちの方が古いんだ。

タネは夜間に訪ねてきた庄司を大胆に誘惑して関係を持ち、菊池からもらったダイヤの指輪を窓から外の湾に投げ捨ててしまう。

ある日、庄司の妻を名乗る女(川村真樹)が訪ねてきて庄司もやはり、訳ありの謎めいた存在である様子。女から逃げるように姿をくらます。

指輪を潜水で探させた健太郎にも迫られ・・・(赤ちんスローモーションがユニーク)
そこに社長が訪ねてきて押し入れに健太郎を隠すが、何も知らない社長は情事に熱中。

あきれた健太郎が押し入れから飛び出し、タネを淫売と罵り、社長を殴った挙句、部屋を滅茶苦茶に破壊する。
このあたりの青春もんもんの爆発は藤田監督ならでは。
部屋に貼ってある黒人ミュージシャンのポスター。よく確認できなかったけどオスカー・ピーターソンでしょうか。

なすすべも無く部屋の片隅に避難していた方正社長が、起き上がり顔をしかめて「おい、怪我は無かったか」・・・。この時の小松方正の表情が、もう絶品なのね。

ラストのすれ違いに哀愁。

中川梨絵出演作には名作が多いため、本作はやや隠れた存在だと思うが、個人的に中川梨絵出演作中かなり上位に押したい1本です。
名バイプレイヤー小松方正出演作としても秀逸。

新橋ロマン

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