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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「花実のない森」

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名画座サスペンス劇場 第2幕「松本清張特選映画集」

「花実のない森」1965年 大映 監督:富本壮吉

車のセールスの梅木(園井啓介)は、偶然車に同乗させた美しい女性みゆき(若尾文子)の事が気にかかり、身辺を調べる。みゆきは楠尾産業社長楠尾英通(田村高広)の妹であり、下半身不随の豪商の妻だと判るが、浜田という男(船越英二)もみゆきの周囲を探っていた。やがて、みゆきの身辺で次々と人が死にはじめる。

例によってボリュウムあるアップの髪形と落ち着いた口調で美しい女、みゆきを演じる若尾文子。
自由を求める謎めいたご婦人の事が少しづつ解ってくるのだが、何だか腑に落ちない。
義兄の楠尾英通に辱められる18歳のシーンも、格調を保つ口調で色っぽく・・・
愛していた村岡(仲村隆)に抱きすくめられ「あなたも普通の男ね」と嗜めようとする・・・
楠尾という姓が「糞、糞」と聞こえてしまうので、そんな若尾文子が「糞、糞」と連発する映画でもある。

騙されて江藤に嫁いだみゆきは、復讐のために上京しては刺激を求める旅行者になったというのだけれど・・・
兄の葬儀を読経なしで音楽とシャンパンの誕生日パーティーのようにして取り行ったり・・・
パーティーの後に5人の男を残して、どんな趣向があるのかと思ったら、単にあっさり別れ話・・・
心配になった梅木が山口へ向かって江藤と対面したら、あら、びっくり。
そりゃそうだ、船越英二があれで終わるわけないし、いったいどうなったんだと思っていたら、そうきましたか。
船越英二の偏愛に狂う役柄は鬼気迫りますね。

花実のない森に迷いこんだ梅木・園井啓介は意外とあっさりしていて、結局一歩踏み込みきれない役が合っていましょうか。
フィアンセの江波杏子を糞家、じゃない楠尾家にスパイとして侵入させたり、ずいぶんな事もします。
この江波杏子が意外な事に若尾文子との対比で清純そうに見え、けっこう良ございました。

銀座シネパトス

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