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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「さらば愛しき大地」

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「さらば愛しき大地」1982年 プロダクション群狼 監督:柳町光男

茨城県鹿島地方。高度経済成長の波が押し寄せる田園地帯。その工場群の一角にある小さな農家を襲った悲劇。ダンプの運転手として一家を支える幸雄の最愛の息子二人が溺死した。供養のためにと背中に観音像と子供たちの戒名を刺青する。そんな折、幸雄は順子という女と出合い、やがて二人は惹かれあい同棲を始める。しかし、幸雄は、生来の不器用さから仕事が減り、ダンプ仲間の間で流行っていた覚醒剤に溺れて行く・・・。

1982年の秋吉久美子(当時28、秋吉さんが最も美しかった時代)作品としてかねてより観たいと思っていた本作。
噂によると絶対劇場で見るべき作品との事でじっとじっと待っておりましたが、突如、下高井戸での上映を知り、行ってきました。

わずかに事前情報は入っていましたが、なるほどこういう映画でしたか。
何故、ありふれた凡庸なタイトル(憶えられない)なのか。そうですか、まさしく大地の映画だったんですね。

スクリーンに映し出される高度成長期の茨城県田園、大地、自然が圧倒的なリアリティで迫ってきます。
大自然の前では物語の主演格である、シャブ中の根津甚八、その愛人、秋吉久美子の素晴らしい演技も、自然を際立たせる脇役の如き。また、もともと助演の嫁、山口美也子、土地成金、蟹江敬三が、主演格の2人以上の存在感で大地を盛りたてています。

田園とコンビナート
ダンプに積み上げられた土をスコップで均す作業
嫁と舅の農作業。コンバイン。
子供が飲み込まれる静かな沼。(溺れるシーンはゾッとするほど不気味でした)
葬列の日の日食。
鶏を締める、舞い上がる羽毛。
シャブ中の眺める森が風に揺らぎ・・・

大地を舞台に根津甚八のシャブ中演技が冴えわたります。

1982年秋吉久美子目当てといった当初の目的はすっかり吹っ飛んじゃいました。
勿論、秋吉さんも素敵なのですが、「の・ようなもの」「ウィークエンド・シャッフル」ほどではありません。
男と逃げた母親の話をし始める→突如号泣→抱いてもらう→性欲が高まる。という、なかなかの情緒を持つ女性でした。



それより本妻の山口美也子ですね、本作は・・・

小林稔待との唐突な情事はポルノ女優としての単なるサービスカットでしょうか。

「ばかばかしくってやってられない」白川和子の霊媒師ぶりはもっと見たかった。
キャラとしては蟹江敬三のビッコ嫁が意外と良い味出してます。
大人しく遊んでるだけの子役の方々も、子供からの目線や主張が抑えられていて良いです。

やはり重要なのは大地なので、劇場の大きなスクリーンで見るべき作品なのですね。

大自然=爽快という図式にまったく当てはまらない描写。場合によっては観ていて気分が悪くなるほどのこの世界。嫌いじゃないです。

ラストで養豚が逃げ出しました・・・、
あれ?同年の「ウィークエンド・シャッフル」を思い出した。



下高井戸シネマ

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