「ブランカニエベス」2013年 西・仏 監督:パブロ・ベルヘル
グリム童話「白雪姫」に、スペイン名物の闘牛をミックスし繰り広げられる個性的なファンタジー。人気闘牛士の娘が邪心を抱く継母にいじめられ続けた後に逃げ出し、その後闘牛士団と巡業の旅に出て才能を開花させていくさまを、モノクロとサイレントを使用し描く。
1920年代のスペイン。天才闘牛士アントニオはある時、アクシデントに見舞われ、荒れ狂う牛に体を貫かれて瀕死の重傷を負う。それを観戦していた妻はショックで産気づき、娘カルメンを生むと同時に亡くなる。一方、全身不随となったアントニオは、不幸にも恐るべき悪女エンカルナと再婚してしまう。はたして継母となったエンカルナは好き放題を繰り返し、カルメンにも手ひどく虐げるのだった。やがて美しく成長したカルメンは継母によって命を狙われ、死にかけたところを小人闘牛士団の一行に救われる。カルメンは“ブランカニエベス(白雪姫)”と名付けられ、彼らと共に巡業の旅へ出ることに。そして、いつしか女闘牛士として人気者になっていくブランカニエベスだったが…。
実はこの映画、今年元旦一発目に観ようと思っていた作品。元旦ファーストデイと言う事で混雑情報が入ってきたので止しにしちゃった。
そうなるとなかなか鑑賞機会は無くお蔵入り(とても良い作品なのに公開劇場が少なくって)かと思ったら吉祥寺でかかる事を知り1カ月遅れで鑑賞。
結果、お蔵入りにしなくて良かった〜。
スタンダードサイズのモノクロサイレント手法で、最初これはレトロ感を狙ったものかと思いましたが、すぐにそんな安直な物では無いと言うとに気づきますよ。
テクノロジーが進化して映画の世界にトーキーが登場し、サイレントは過去の物になったかと思われるけど、そんな事は無いんですよね。今までにもサイレントだからこそ感じられる衝動というものを経験してきましたが、本作でもまた・・・
脳内が想像力で活性化されるんですね。
音楽も最高。手拍子付きのフラメンコ。家に帰ったら是非マニタス・デ・プラタ(フラメンコっつーとこの人しか浮かばないんですが)のレコードを引っ張り出してやろうと思う。
そして冒頭の闘牛。闘牛士アントニオがコロシアムの大歓声に登場するまでの準備。闘牛の事は詳しくないのですが、その辺りがリアルに作られているようなので、勉強になります。
フラメンコ、闘牛、というベタな母国ネタ(日本で言えばフジヤマ、ゲイシャ)に童話「白雪姫」をコラボするなんて、その発想を聞いただけで期待してしまったわけですが、期待通りの傑作でした。
本作を語る上でカルメンシータの幼少期を演じたソフィア・オリア嬢と青年期のマカレナ・ガルシアは欠かせませんが、その前に・・・
エルカンナのマリベル・ベルドゥ
もう良い人なのか悪い人なのかまだ解らない時点の登場シーン(瀕死の重傷を負ったアントニオを看病する看護婦)から存在感半端じゃありません。
そして、これがキッツーイ継母だと解るともう恐い恐い。凛とした態度でビシっと言い捨てる。台詞無しサイレント字幕のみだからこそなのでしょう。素晴らしい。何か賞、獲ったんでしょ。
スキッ歯の可愛いソフィア・オリア
黒髪を長く伸ばしたお嬢様然としたフラメンコダンスもカワユイけれど、やはりエルカンナに髪を刈られてショートにされちゃうと、もうたまりません。エルカンナ、ちょい意地悪っけで髪を切ったんでしょうが、これが逆効果。
父親との再会。お忍びでの逢瀬。車椅子くるくる回すところで第1のウルウル涙腺決壊間際です。
洗濯物を干しているうちに成長したマカレナ・ガルシアへバトンタッチ。
もちろんマカレナ・ガルシアもボーイッシュで魅力的ですが、ここはもうちょっとソフィア・オリアを見ていたかったのでやや消沈。
しかし、よくしたもので、物語として前段部分のネタふりで今一の流れの間はソフィア・オリアの魅力で乗り切り、消沈した後半部からは逆に物語が展開しだして七人の小人登場で俄然面白くなる。良いですねこのバランス。
記憶を失っていたブランカニエベス(カルメン)が女闘牛士の素質を開花させ、コロシアムデビュー。
入場前に父の名前を聴いて徐々に記憶が甦って行く、フラッシュバックを使ったありがちな演出も、サイレントだからこそなのでしょうか。もうあのコロシアム入場シーンでは涙ちょちょぎれ・・・・
年取って涙腺が緩んではいますが、案外劇場で泣かされる事って少ないんですよ・・・
毒リンゴも登場するけれど王子様は現れません。
これはこれで良いと思うのですが、自分としては珍しくカルメンにハッピーエンドを望んでしまったなぁ。
入れ込んだ、入れ込んだ。
吉祥寺バウスシアター
グリム童話「白雪姫」に、スペイン名物の闘牛をミックスし繰り広げられる個性的なファンタジー。人気闘牛士の娘が邪心を抱く継母にいじめられ続けた後に逃げ出し、その後闘牛士団と巡業の旅に出て才能を開花させていくさまを、モノクロとサイレントを使用し描く。
1920年代のスペイン。天才闘牛士アントニオはある時、アクシデントに見舞われ、荒れ狂う牛に体を貫かれて瀕死の重傷を負う。それを観戦していた妻はショックで産気づき、娘カルメンを生むと同時に亡くなる。一方、全身不随となったアントニオは、不幸にも恐るべき悪女エンカルナと再婚してしまう。はたして継母となったエンカルナは好き放題を繰り返し、カルメンにも手ひどく虐げるのだった。やがて美しく成長したカルメンは継母によって命を狙われ、死にかけたところを小人闘牛士団の一行に救われる。カルメンは“ブランカニエベス(白雪姫)”と名付けられ、彼らと共に巡業の旅へ出ることに。そして、いつしか女闘牛士として人気者になっていくブランカニエベスだったが…。
実はこの映画、今年元旦一発目に観ようと思っていた作品。元旦ファーストデイと言う事で混雑情報が入ってきたので止しにしちゃった。
そうなるとなかなか鑑賞機会は無くお蔵入り(とても良い作品なのに公開劇場が少なくって)かと思ったら吉祥寺でかかる事を知り1カ月遅れで鑑賞。
結果、お蔵入りにしなくて良かった〜。
スタンダードサイズのモノクロサイレント手法で、最初これはレトロ感を狙ったものかと思いましたが、すぐにそんな安直な物では無いと言うとに気づきますよ。
テクノロジーが進化して映画の世界にトーキーが登場し、サイレントは過去の物になったかと思われるけど、そんな事は無いんですよね。今までにもサイレントだからこそ感じられる衝動というものを経験してきましたが、本作でもまた・・・
脳内が想像力で活性化されるんですね。
音楽も最高。手拍子付きのフラメンコ。家に帰ったら是非マニタス・デ・プラタ(フラメンコっつーとこの人しか浮かばないんですが)のレコードを引っ張り出してやろうと思う。
そして冒頭の闘牛。闘牛士アントニオがコロシアムの大歓声に登場するまでの準備。闘牛の事は詳しくないのですが、その辺りがリアルに作られているようなので、勉強になります。
フラメンコ、闘牛、というベタな母国ネタ(日本で言えばフジヤマ、ゲイシャ)に童話「白雪姫」をコラボするなんて、その発想を聞いただけで期待してしまったわけですが、期待通りの傑作でした。
本作を語る上でカルメンシータの幼少期を演じたソフィア・オリア嬢と青年期のマカレナ・ガルシアは欠かせませんが、その前に・・・
エルカンナのマリベル・ベルドゥ
もう良い人なのか悪い人なのかまだ解らない時点の登場シーン(瀕死の重傷を負ったアントニオを看病する看護婦)から存在感半端じゃありません。
そして、これがキッツーイ継母だと解るともう恐い恐い。凛とした態度でビシっと言い捨てる。台詞無しサイレント字幕のみだからこそなのでしょう。素晴らしい。何か賞、獲ったんでしょ。
スキッ歯の可愛いソフィア・オリア
黒髪を長く伸ばしたお嬢様然としたフラメンコダンスもカワユイけれど、やはりエルカンナに髪を刈られてショートにされちゃうと、もうたまりません。エルカンナ、ちょい意地悪っけで髪を切ったんでしょうが、これが逆効果。
父親との再会。お忍びでの逢瀬。車椅子くるくる回すところで第1のウルウル涙腺決壊間際です。
洗濯物を干しているうちに成長したマカレナ・ガルシアへバトンタッチ。
もちろんマカレナ・ガルシアもボーイッシュで魅力的ですが、ここはもうちょっとソフィア・オリアを見ていたかったのでやや消沈。
しかし、よくしたもので、物語として前段部分のネタふりで今一の流れの間はソフィア・オリアの魅力で乗り切り、消沈した後半部からは逆に物語が展開しだして七人の小人登場で俄然面白くなる。良いですねこのバランス。
記憶を失っていたブランカニエベス(カルメン)が女闘牛士の素質を開花させ、コロシアムデビュー。
入場前に父の名前を聴いて徐々に記憶が甦って行く、フラッシュバックを使ったありがちな演出も、サイレントだからこそなのでしょうか。もうあのコロシアム入場シーンでは涙ちょちょぎれ・・・・
年取って涙腺が緩んではいますが、案外劇場で泣かされる事って少ないんですよ・・・
毒リンゴも登場するけれど王子様は現れません。
これはこれで良いと思うのですが、自分としては珍しくカルメンにハッピーエンドを望んでしまったなぁ。
入れ込んだ、入れ込んだ。
吉祥寺バウスシアター