「トパーズ」1991年 ジェイ・ブイ・ディー 監督:村上龍
高級SMクラブでコールガールとして働くアイは、占い師の助言に従いトパーズの指輪を買う。毎夜さまざまな男たちの間をさまようアイは、ある日、美しく誇り高いSM嬢のサキと出会うが……。
23年前の本作がリバイバル上映という事になり、その大きなポスターを観た時にバックシャンフェチの身としては一発で魅せられてしまったわけですよ。そんでもって観てきました。ちょっと時間が経っているので例によって曖昧です。
村上龍の小説は、芥川賞受賞当時に小説単行本などほとんど無かった我家に「限りなく透明に近いブルー」が何故かあり、盗み読みしたのが始まりで、面白さに嵌りいくつか読んだもんです。
この「トパーズ」は未読でした。
村上龍は小説で力量を発揮するものの、本人が本来目指したい映画監督という分野では見事に転んでしまうという評判で、実際、映画作品で成功は納めず、次の「KYOKO」を最後に監督してません。そんな彼の4本目の本作は高校時代の自主製作映画の手法という初心に帰って挑んだ意欲作だそうで・・・
言ってしまえば、初心に帰ったついでに作品自体も高校生の文化祭映画のような(特に後半)展開に茫然。
前半のSM描写は悪くないと思います。何しろ主演の二階堂ミホのいかにもな被虐顔が良いです。特に横顔。
ボディはポスターほどのたくましい尻は感じられずどちらかといえば華奢です。本作はSM店で仕事としてのM嬢でありますが、当時の彼女に真性M女の役が何故回って来なかったのかと思います。ひょっとしたら平沢里菜子さえ越えたかも。
加納典明の精神的に追い詰めて行くプレイも好みでした。
問題は後半で薬によって愛する人の元へ街を彷徨うアイ(二階堂ミホ)・・・
とても観念的哲学的な絵作りと展開。これがいかにも陳腐に思えて恥かしくなってしまうのです。こういう前衛を気取ったアートな描写というのは決して嫌いじゃないんだけど、これはちょっと勘弁してほしくなった。
前半登場した草間弥生の占い師やブラウン管ごしの島田雅彦の使い方なんかは良かったんですけど・・・
結局、話題のキャストに救われていただけって事でしょうか。
当時の時代感覚を表現する事に注力したようですが、その部分に関してはSのサキ女王様(天野小夜子)が充分に役割を担っています。薬やりながら好い台詞吐いてましたよ。
それにしてもドラッグをやるシーンが多いのも村上龍的ではありますが、どうもこれが好きになれない。同じドラッグでもウォーホルが取り扱うと自然に受け入れられるのに、何故でしょう。
普通なら女優の好みやキャストの妙味があればそれだけで許せるのに、今回そうは思えないのは何故なんでしょう。
意外と村上龍さんに対して潜在的に期待する事が大きかったりするって事かしら・・・。きっとそうだ。
ところで加納典明がホテルの部屋でキューバ音楽をかけているのがとても印象的だったんですけど、この選曲って、ひょっとして、まさかヒッチコックの「トパーズ」へのオマージュ?
今、何故「トパーズ」の再上映なのか?と思っていたら二階堂ミホという方はハル・ハートリーの奥さんになったんだそうで、ハル・ハートリー特集のオマケって事だったのね。
映画でコケる村上龍さん。それでもこうなったら逆に片っ端から観てみたくもなる。どこぞの劇場で村上龍映画祭やらないかね。
新宿 K'sシネマ
高級SMクラブでコールガールとして働くアイは、占い師の助言に従いトパーズの指輪を買う。毎夜さまざまな男たちの間をさまようアイは、ある日、美しく誇り高いSM嬢のサキと出会うが……。
23年前の本作がリバイバル上映という事になり、その大きなポスターを観た時にバックシャンフェチの身としては一発で魅せられてしまったわけですよ。そんでもって観てきました。ちょっと時間が経っているので例によって曖昧です。
村上龍の小説は、芥川賞受賞当時に小説単行本などほとんど無かった我家に「限りなく透明に近いブルー」が何故かあり、盗み読みしたのが始まりで、面白さに嵌りいくつか読んだもんです。
この「トパーズ」は未読でした。
村上龍は小説で力量を発揮するものの、本人が本来目指したい映画監督という分野では見事に転んでしまうという評判で、実際、映画作品で成功は納めず、次の「KYOKO」を最後に監督してません。そんな彼の4本目の本作は高校時代の自主製作映画の手法という初心に帰って挑んだ意欲作だそうで・・・
言ってしまえば、初心に帰ったついでに作品自体も高校生の文化祭映画のような(特に後半)展開に茫然。
前半のSM描写は悪くないと思います。何しろ主演の二階堂ミホのいかにもな被虐顔が良いです。特に横顔。
ボディはポスターほどのたくましい尻は感じられずどちらかといえば華奢です。本作はSM店で仕事としてのM嬢でありますが、当時の彼女に真性M女の役が何故回って来なかったのかと思います。ひょっとしたら平沢里菜子さえ越えたかも。
加納典明の精神的に追い詰めて行くプレイも好みでした。
問題は後半で薬によって愛する人の元へ街を彷徨うアイ(二階堂ミホ)・・・
とても観念的哲学的な絵作りと展開。これがいかにも陳腐に思えて恥かしくなってしまうのです。こういう前衛を気取ったアートな描写というのは決して嫌いじゃないんだけど、これはちょっと勘弁してほしくなった。
前半登場した草間弥生の占い師やブラウン管ごしの島田雅彦の使い方なんかは良かったんですけど・・・
結局、話題のキャストに救われていただけって事でしょうか。
当時の時代感覚を表現する事に注力したようですが、その部分に関してはSのサキ女王様(天野小夜子)が充分に役割を担っています。薬やりながら好い台詞吐いてましたよ。
それにしてもドラッグをやるシーンが多いのも村上龍的ではありますが、どうもこれが好きになれない。同じドラッグでもウォーホルが取り扱うと自然に受け入れられるのに、何故でしょう。
普通なら女優の好みやキャストの妙味があればそれだけで許せるのに、今回そうは思えないのは何故なんでしょう。
意外と村上龍さんに対して潜在的に期待する事が大きかったりするって事かしら・・・。きっとそうだ。
ところで加納典明がホテルの部屋でキューバ音楽をかけているのがとても印象的だったんですけど、この選曲って、ひょっとして、まさかヒッチコックの「トパーズ」へのオマージュ?
今、何故「トパーズ」の再上映なのか?と思っていたら二階堂ミホという方はハル・ハートリーの奥さんになったんだそうで、ハル・ハートリー特集のオマケって事だったのね。
映画でコケる村上龍さん。それでもこうなったら逆に片っ端から観てみたくもなる。どこぞの劇場で村上龍映画祭やらないかね。
新宿 K'sシネマ