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「癒しの遊女 濡れ舌の蜜」

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「癒しの遊女 濡れ舌の蜜」2010年 オーピー映画 監督:荒木太郎


独り暮らしの初老作家・大江は、執筆に活かす為に古い町並みを散策するのが日課だ。大江の執筆中「失踪」という小説は50歳の高校教師が、教え子でありデリヘル嬢のスミコと出会い、愛欲に溺れていくという物語。その日も大江は散策していた。夕立に遭い、急いで傘を差すと女が入ってきた。女は自分が暮らす路地裏の売春宿に大江を誘い、大江は金を払い女を抱く。事後、女は手料理をご馳走し、別れ際、指名してと「雪子」と書かれた名刺を渡した。大江は執筆に行き詰まると再び宿へ行き雪子を抱いた…。

1960年、1992年に映画化された永井荷風の傑作「墨東綺譚」をピンク映画界の名匠、荒木太郎監督が映画化。
前週の「新釈 四畳半襖の下張り」に続く上野オークラ劇場・永井荷風ピンクシリーズ

文芸映画としても作品化される永井荷風の原作を読んだのは遥か昔。細かい所は憶えていないが悪場所を俳諧する荷風という人物には憧れたもんです。映画の方は1960年の山本富士子版は機会が会わず未見。

「墨東綺譚(1992)」

ピンク映画で撮ると、このような没個性で意味不明な劇場タイトルを付けられてしまい不憫。
劇場には荒木監督自作の「墨東綺譚」ポスターが何種類か貼られていた。(TOP画像はその1枚)
自分でシコシコ、ポスターを作っている荒木監督が好ましい。



文芸作品と違ってピンク映画ならではという物がエロシーン以外にも欲しいところと思っていると、エロ・シーンは抑え目で、古い町並みのロケーションとして閉館した上野オークラ劇場が使われている。今後もピンク映画史上貴重な映像って事になる。
映写室から臨む上野の町。あの、変な三角地帯?を見ることが楽しい。

時代設定は現代の振りをしておきながら(秋葉原通り魔事件に言及するシーンも)昭和の匂いを感じさせる奇妙な世界観。

雨のシーン、傘にいきなり入ってくる雪子との出会いは確かに墨東綺譚。

作家・大江の那波隆史の風貌は永井荷風というより高橋源一郎かい。

雪子の早乙女ルイの可愛さが尋常でない。人気出るだろうな(もう出てるのか?)AVもがんばってるんでしょうけど映画出演も精力的にやっていって欲しい。

劇中小説としての監督・荒木太郎(高校教師・種田)と里見遥子(スミコ)の物語が切ない。

上野オークラ劇場

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「女のつり橋」

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「昭和の銀幕に輝くヒロイン〔第57弾〕中村玉緒」

「女のつり橋」1961年 大映 監督:木村恵吾

木村恵吾が自らの脚本を映画化した3話から成るオムニバス映画。マッサージ屋で働く娘の片思いと破局、同じアパートを借りてそれぞれの相手から金を取っていた二号の姿、孤独を感じるストリッパーの心情を描く。女の純情、愚かさ、弱さがそれぞれの話によって浮き彫りにされる。

オムニバスの掌編ながら、これは良かった。

暑苦しい夏の夜の女のつり橋3話。
アイ・ジョージの主題歌から期待も膨らむ。

第1話の失恋ものなんてほんとに他愛のない話で、純情なマッサージ娘(中村玉緒)がぼんぼんの学生(川口浩)に勘違いで入れあげて、あっさり失恋。拒み続けていた嫌な客のもとへ仕事に出かけるといっただけの話。
この話を思い入れたっぷりに純情娘の心情を描いてみせる。
ただそれだけなんだけれど、この思いいれがナイスでした。
残念なのは、同僚のマッサージ嬢で岸田今日子様が圧倒的な理知的魅力を湛えているのに、あくまで中村玉緒の脇役であり、ライバルとしての活躍もないまま終わってしまう。
短編の脇役だから致し方ない所で、ここは岸田今日子さまのお姿を拝見するだけで満足するところ。

第2話では典型的なラブコメディで、単純明快、大いに笑わせてもらえる。
1つの部屋をそれぞれのパトロンに借りてもらい、家賃から家電製品代までみんなダブルでいただいちゃって半分を浮かそうというチャッカリ娘たち。
有島一郎と中村伸朗の鼻の下を伸ばしたデレデレぷっりが楽しい。
家具の置き方、ビールの冷やし方に、それぞれ拘りがある事が笑いの味噌。
有島一郎が「キンキンに冷やしたビールなんか数キロ走った自衛隊が飲むものだ」みたいな事を言ってました。良いフレーズでしたね。よく憶えてなくて正確に再現できないのが残念。
娘たちの悪巧みが露見しても、4人のドライでアッサリとした関係。有島、中村の心の広い社長さんぷりもまた良し。

第3話では、踊り子のまゆら(叶順子)と年老いた劇場の小遣い一造(伊藤雄之助)との焼酎を飲みながら語らいをしんみりと見せる。
「生きていて良いことはなかった。閻魔様への土産話もない」という一造、「ダンスの衆と話をするのは始めて」だと言う。
酔いつぶれたまゆらのあられもない脚に欲情を抑える一造。伊藤雄之助の演技が光る。
翌朝、劇場を後にしようとする市造に幕間からラインダンスのスタンバイをしているまゆらが明るく手を振る。これ、まずいな、ちょっとグッときちゃたじゃないの。

ラスト、それまでの出演者が劇場に観劇に来る形でのキャスト紹介も粋。中村伸朗のロングヘアの愛人役は野添ひとみでありました。気づかなかった。

木村恵吾、珠玉のオムニバス。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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「フェリーニの道化師」

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「映画の国名作選?イタリア篇」

「フェリーニの道化師」1970年 伊 監督:フェデリコ・フェリーニ

少年の頃よりサーカスに強い憧れを抱いていたフェリーニは、道化芸の本場イタリアとフランスを旅するが、どこにも道化師が見つからない。彼らは老いに直面し、その芸を継承しようという者も少ないのが現実。旅の途中、彼は旧知の女優エクバーグ、喜劇役者P・エテックス、笑いの王様チャップリンの娘ジョセフィンらにそのことを嘆き、かつて観た素晴らしい道化たちの想い出を語り合う。

フェリーニの映画といったらサーカスや道化師が良く登場します。これはそんなフェリーニの本質的な作品でしょうか。TV番組が元だったようで尺も短めなのも良いです。

難しい事は解りませんが、その映像からくる変テコなフェリ−ニのゲージュツ性がとても好ましくて病みつきになるんですよね。

夜中に窓から見えるサーカスのテント設営のシーンひとつ取っても。

ドキュメンタリータッチでサーカスの実況、ドタバタを見せながら、自分の周囲に居るヘンな人々を紹介する街のスケッチがナイスであります。
小柄な駅員を列車の窓からコケにしまくる子供たち。ナチスへの敬礼!
こういうギャグのようなヘンな人たちを並べる。
この異形さが良いのでありまして、この際、後半の失われつつある道化師への憧憬、センチメンタリズム、フェリーニの道化師に対する愛情なんてモノは放っておきましょうって気にもなる。

アニタ・エクバーグがサーカス小屋に豹を物色しにくる悪夢のような幻想的シーン。
アニタ・エクバークの本格出演作、未見であったな。

ニーノ・ロータの音楽の使い方も憎い。
ラストのトランペットの音色はともかく、劇中の音楽が賑やかに付け哀愁を帯びるに付け素晴らしいです。

そういえば、私、サーカスというものはテレビ中継のみでライブを体験していない。子供の頃、親から誘いがあったが、断って妹だけが見に行った。
いづれにしてもこの映画のような如何わしく、かつ豪華絢爛なサーカスは最早、生体験不可能だもんな。
テント内の円形舞台のあちらこちらで勝手気ままに演じているかのようなクラウンたちのアンサンブルを堪能できるというのも本作のお値打ち。

ところで、女怪力と女ターザン(サクラですか)のバトルは見たかったなぁ。

フェリーニのゲージュツ。まだまだ見てないものが多いので今後も楽しみ。

渋谷 シアター・イメージフォーラム

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谷崎潤一郎 「潤一郎ラビリンス〈7〉怪奇幻想倶楽部」

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潤一郎ラビリンス〈7〉怪奇幻想倶楽部 (中公文庫)谷崎 潤一郎中央公論社発売日:1998-11ブクログでレビューを見る»

この中公文庫シリーズ、コンプリートする気は無いのだが、やはり谷崎潤一郎の短編を読み進めるとまだまだ未読の面白いものが沢山ありそう。今後の読書ネタには困らなそうだが、一気に読むのはもったいない。時間を隔てて少しづつ・・・

「病蓐の幻想」
歯痛の錯乱を述べ立てる前半部が最高です。
こういうの、こういうの、こういうのが読みたかったのよ。と嬉しくなる。
後半錯乱が地震への恐怖へ変じてしまって、ちょっと残念(歯痛だけで通してほしい)に思ったけれど、落ちの関係上やむを得なかったのね。

「白晝鬼語」
ミステリー仕立ての本作、節穴から覗く妖艶な芸者風女の艶めかしくもエロい事。まんまと騙される結末が逆に残念に思うほど。でも面白いから許す。

「人間が猿になった話」
薄気味悪くて良いですね。語り部の爺さんは話術に優れ、下手な落語を聞くより面白いと評判だとか。おい、誰かこの話を落語に脚色して高座にかけてみろや。


「魚の李太白」
今度はお伽噺風。婚礼祝いでもらった緋ぢりめんの鯛を解いて着物の裏にするという昔の人の発想が、なんだかとっても良いです。

「美食倶楽部」
食への果てしない欲望が・・・当然の如くエロティシズムと結びついていくんですね。
目隠しをされたまま女の指で口中を弄ばれる白菜料理なんて読んでいるだけで涎が垂れそうになる。圧巻!

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観梅会2011 ザリガニ博士

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本日は自治会主催の恒例観梅会。
と言っても参加は久しぶり。

従来団地内の梅公園にて観梅およびお抹茶、お茶菓子のサービスがあり緋毛氈のベンチなどで梅を愛でながら抹茶をすすったものですが、今年は趣向を変えて梅公園観梅後に散策いただき新築住宅の集会場にて抹茶サービスとなっておりました。

やはり、梅を見ながらのほうが良いと思うのですが、2分ばかりの散策、どうなんでしょう。
出席者は例年高齢の方が中心なので、それも良いのでしょうか。







いきなり話が変わりますが・・・

Hero-Nが話しかけてきました。
「ねぇ、ザリガニ博士ってもう見ないの」

「???何?ザリガニ博士って?」



「え?知ってるでしょ、ザリガニ博士。予言したりするちょっと怖いやつ」

「?仮面ライダーにそんな怪人いたっけかな?」

よくよく話を聞いていくと、解りました。
彼の憶え間違い、言い間違い。

それってこれの事か!




以前YOU TUBEで一緒に見ていた映画の話でした。もう大爆笑。

http://blog.goo.ne.jp/imapon1960/e/3fc2b71ae2c259714970f09ce07281c0

観梅会(2008)とイヌコリヤナギ

恒例 観梅会2007


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「わいせつ性楽園 〜おじさまと私〜」

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「野上正義さん追悼上映会」

「わいせつ性楽園 〜おじさまと私〜」2009年 監督:友松直之

金生活者の上野は妻を7年前に亡くし、今は次女の明美と二人暮らし。キャリアウーマンの明美の代わりに家事全般を上野がこなしている。ある日、上野は若いマリカと出会う。暴力を働く彼氏・ケンジと路上で別れ話をしている所を上野が助けたのだ。パニック症候群で呼吸がうまく出来なくなったマリカを家で休ませると、彼女は義父に関係を強要されるなどの不幸な生い立ちを語る。折しも明美は外泊すると言っていたので、同情した上野はマリカを一晩だけ泊めてやることにした。マリカは恩義として風呂に入っていた上野の背中を流した。


昨年末、若松映画、ピンク映画で多くの出演作を持つ野上正義氏が亡くなり、上野オークラ劇場では急遽、追悼上映会が企画されました。
上映が晩年の作品2本で、どうなのかな?と思ったのですが、本作、野上正義を追悼するに相応しいピンクの傑作でした。

いきなり、老いた野上正義のからみシーン。
ひょっとしたら最近は出演しても、からみシーンの無い役が多かったんじゃないでしょうか。
若い女の上になって全裸で腰を使う野上正義の肢体。老いの中に輝く生気にちょっと感動。

役者野上正義の飄々とした演技と主演水無月レイラの下手な台詞回しによって、本当は暗い話なのに、爽やか感さえ感じる作品となっていました。

苦しく厳しい人生を余儀なくされているマリカが、自分の人生をまったく苦に思ったり悔いたりしていない様が良いのです。そして、あっけなく死んじゃう展開も・・・

年寄り相手に女を取り合い、刃物を持ち出す彼氏ケンジにお敢然と立ちはだかる上野老人。なまじな戦争体験者(幼い頃に沢山の死者を見てきた)が軟弱現代青年をギャフンと言わすのは痛快なる任侠です。

どうせケンジに「2人は出来ている」と思われているのだからと、ついにマリカが上野を誘い結ばれます。
この時、マリカが名言を天使のように囁くんだなぁ。何っつってたかなぁ(忘却)

そこには、最近のピンク映画にありがちなハートウォーミング展開の嫌らしさは無く、人生賛歌としてちゃんと成り立っているんですねもの。

友松直之監督からは当分、目が離せないんじゃないかな。

上野オークラ劇場

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「孫悟空 前後篇」

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「元祖マルチ・タレント 徳川夢声のほろよひ映画人生」

「孫悟空 前後篇」1940年 東宝 監督:山本嘉次郎

東宝初期のドル箱だった山本=エノケンのコンビによるオペレッタ喜劇大作。日劇ダンシングチームのレビューとエノケンの絶妙なかけ合い、円谷英二の特撮も特筆される。夢声は大鰐の精の役だが封切り時は大幅にカットされたと怒っている。

エノケンの芸は現在、多くの映画出演で確認できますが、映画のエノケンはたいして面白くなく、絶頂期の舞台には到底及ばないと聞いた事があるので割り引いて鑑賞。
現代でエノケンの魅力を味わうならやはりCDによる歌。良いんですよね〜。

ミュージカル仕立ての孫悟空。エノケンも歌ってくれますが、本作の歌は猪八戒。「御覧なさい」と歌う岸井明が良いです。

アノネのオッサン・高勢実乗が奇怪団珍妙大王で登場。
私にとって伝説の人。母親が良く話題にしていたのですが、いったいどんなオッサンなんだろうと想像するのみ。実際に映像でたっぷり見るのは初めて。
何なんですか、この怪人ぶり。
有名なフレーズ「アノネ、オーッサン」の「オーッサン」は自分を指している物だと思っていましたがそうばかりでなく、相手を指しての「オーッサン」なのでしょうか。小柄で猿顔のエノケンを「オーッサン」と呼んでいるようにも聞こえます。謎の怪人ぶりにすっかり魅了された変身合戦。

後篇に入ると、もろディズニー映画のパクり。著作権無視の時代ですから、中国もビックリ。ディズニー映画の中にエノケン一座が登場したような不思議な世界観が面白い。

SF的表現も時代を考えると先端に行ってますが、これは先ごろ観た「メトロポリス」の影響もあるのでしょう。

あの子役は中村メイ子でありましたか。こまっしゃくれています。でも子役の頃から不美人。

お伽の姫様が高峰秀子、キャワユイ。犬の姿が笑える。

徳川夢声の出番、確かに少なし。

この映画、製作年1940年。戦争が始まる前年に作られた事を思うと凄いですね。
日本の娯楽映画も捨てたもんじゃありません。

今回の特集では、他に孫悟空(1959)西遊記(1952)と上映されるのでコンプリを狙いましたが孫悟空(1959)をスケジュールの関係で断念。ついでに西遊記も諦めました。
のり平の孫悟空、見たかったですね。いつか会える日がありますでしょうか・・・

オールナイトで西遊記特集なんていかがでしょう。もちろんドリフターズの「飛べ!孫悟空」も1話入れてね。香取君のは、はずしてもOK。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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「ウィッカーマン (1973)」 DVD

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「ウィッカーマン」1973年 英 監督:ロビン・ハーディ

敬虔な警察官ハウイー(エドワード・ウッドワード)は行方不明の少女を捜索するために訪れたスコットランドの孤島でいくつかの奇妙な光景を目撃する。島民たちは島の領主サマーアイル卿(クリストファー・リー)の指導のもと古代ケルトの太陽神を崇拝、その信仰に基づく淫靡で奔放な生活を送っていたのだ。非協力的な島民に怒りを覚えつつも捜査を進めてゆくハウイーを待ち受ける真実とは・・・。
 
念願の「ウィッカーマン1973」を漸く観ることができました。
中学生の頃、警部マクロードに登場したブリット・エクランドの美貌にイチコロでマイッテしまった者としては彼女の映画出演代表作を観ないわけにはまいりません。
「007黄金銃を持つ男」では今一でしたからね。

さて、ブリット・エクランド目当ての本作はカルト映画としても伝説的な作品です。
ガチガチのキリスト教信者の童貞警察官がスコットランド孤島の淫靡な信仰を見て、汚らわしく我慢ならんといった所を上手く描いた宗教ホラーで、怪しいことこの上ない内容になっています。

発表当時も宗教儀式の場面を中心にかなりカットされたりして物議を醸したようでカルト映画の資質は充分に備えております。

ただ、残念なのは前半の島民たちの奔放で猥褻な信仰が後半なりを潜めてしまった事ですね。
ラストのバッド・エンドは大変よろしいのですが、何かドンデン返しを期待してしむと肩透かし。いたって単純なストーリーとなっております。

狙ったテーマは面白かったのですが前半、もともとお目当てだったブリット・エクランドの妖しい歌と扇情的なダンスのインパクトが大きすぎて、結局のところブリット・エクランドのエロPVとなってしまいました。勿論ファンとしてはそれで充分、否、それでなくっちゃいけないのですが・・・

ところがブリットエクランドのエロ・ダンスシーンさえも、彼女は惜しげもなく美乳をみせてくれているのに、あのバックシャンの金髪を揺らめかした大胆なダンスシーンは吹き替えなんだそうです。

The Wicker Man - 1973 - Paul Giovanni "Willow's Song"
残念ながらYOU TUBE動画で見つけたものは吹き替えの娘のダンスシーンはカットされてますね。

エクランドの事ばかりになってしまいましたが、島民の淫靡な生活や儀式、獣の面をつけて遠巻きに眺める様の異様さ、ドラキュラ役者、クリストファー・リー演じるサマーアイル卿の静かな狂気、スコットランドのフォークソング(生贄の儀式でスウィングしながら歌う島民など)と美しい風景が醸しだす怪しい雰囲気はカルト映画の名に恥じないものでありました。



さて、生贄を得たこの島に、翌年リンゴの豊作は来たのでしょうか。

ウィッカーマン (ユニバーサル・ザ・ベスト2008年第4弾) [DVD]ロビン・ハーディユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン発売日:2008-08-07ブクログでレビューを見る»

マクロード警部を悼み、女優に思いを馳せる

「はだしのスチュワーデス」「モスクワ公演始末記」を観たい!

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「ラストタンゴ・イン・パリ」 DVD

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「ラストタンゴ・イン・パリ」1972年 伊 監督:ベルナルド・ベルトルッチ

パリのアパルトマンの空室でうらぶれた中年男(マーロン・ブランド)とブルジョア系の若い娘ジャンヌ(マリア・シュナイダー)は単に部屋を探していた身であったが、間違って掛かってきた電話の男に刺激され、男はジャンヌを犯す。ジャンヌにはれっきとしたTVディレクターのトム(ジャン=ピエール・レオー)という恋人が居たものの、アパートで会う時は互いにただのオス・メスとして行為に更ける。やがて男には暗い過去が明らかになり、実は男には自殺した妻が居たという。男はジャンヌを牝の肉玩と見なしていたが、次第に2人の立場が逆転していき男が中年の醜い姿を晒した時、二人の間の肉欲の関係は終わりを告げる……。

公開当時センセーションを巻き起こした本作。勿論その頃はまだそんな映画を見に行ける年齢に達しておらず、好奇心満々で指を咥えていたもんです。

いつかは見たいと思っていたのに、機会を逃して時ばかり経ちました。今更見るのも何だなという心境でありましたが、先日主演女優さんの訃報を目にして、その女優としては不遇に終わった生涯に興味をそそられました。
追悼の意味を込めてレンタル、深夜鑑賞。

「ラストタンゴ・イン・パリ」仏女優マリア・シュナイダーさん58歳で死去

記事抜粋
「ラストタンゴ・イン・パリ」の主演女優マリア・シュナイダーが、がんのため58年の生涯に幕を閉じた。

同作でマーロン・ブランド(当時48歳)の相手役に選ばれた時のマリアは19歳。後年、マリアは同作のベルナルド・ベルトルッチ監督に「利用された」と主張し、“ギャング、またはヒモ”のような監督に大胆なシーンの撮影を強要されたことが精神的トラウマになったとして、「中年のおじさんが『これはアートだ』という時には、 絶対に信じて服を脱いだりしてはいけないという教訓を学んだ」と英ガーディアン紙のインタビューで語ったことがあった。

「ラストタンゴ・イン・パリ」はマリアをスターにしたが、同時に、前途ある若き女優のキャリアを蝕んだ。以降もいくつかの映画に出演するが、ドラッグ依存症とメンタルヘルス上の問題でキャリアが先細り、結局は最後まで「ラストタンゴ・イン・パリ」の女優と呼ばれ続けた。

彼女の訃報を受け、イタリアからベルトルッチ監督が声明を発表した。「あの映画の、予想外の、そして残酷なまでの成功に耐えるには、彼女は若すぎた。自分の若き日を略奪されたとしてマリアが私を非難していたのも、全く根拠がなかったわけではないと今は思っている。少なくとも一度、彼女に謝罪をしておくべきだった」



そのマリア・シュナイダーさん、決して美人とはいえない狸顔をベルトリッチ監督は綺麗に見せるよう撮ってくれていると思う。ジーンズの似合う彼女はチャーミングでした。
ただ途中からチリチリに変えた髪形がよろしくない。中年男と出会った日の髪形、帽子、コートにミニスカートがキュートだったのに・・・

問題のセックス描写については予想通り、今見るといたって平凡。
唯一、最初に犯すマーロン・ブランドのほぼ即ハメのシーンのみが刺激的。
バターを使ったアナル・セックスにしても、映画史上初のAF描写という歴史的価値以上のものは無い。

それよりも中年のマーロン・ブランドがやっぱり凄い。妻に自殺されて呆然としていながらの不意をつく即ハメは反則だよ。
若い女の身体に溺れながらもふと、部屋の片隅で涙にくれる様も計算済みの如し。

女房の遺体に向き合って後、マリアとの再会以降の立場の逆転、情けないストーカー的な状況も面白い。
あのタンゴコンテストに乱入する酔いっぷり。

マーロン・ブランドも凄いが、撮った監督の年齢を聞くと2度ビックリ。

結局、猥褻かアートかと問われれば、明らかにアートでしょう。(現代で見るからでしょうか)
その証拠に数多いセックス・シーンよりもパリの景色の素晴らしさばかりが印象に残ります(プラットフォームの広告看板、工事現場の仮囲い、高架のビルアケム橋は特に印象的)し、2人が立てこもった古いアパート、そのアンティークなエレベーター。
そんな風景の中にマリア・シュナイダーのボリュームあるヘアがあしらわれているのでした。



マリア・シュナイダー(1952年3月27日 − 2011年2月3日)
ご冥福をお祈りいたします。

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「ねっちり娘たち まん性白濁まみれ」

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「野上正義さん追悼上映会」

「ねっちり娘たち まん性白濁まみれ」2009年 オーピー映画 監督:荒木太郎

三四郎(野上正義)とミネ(稲葉良子)の老夫婦は、経営していた工場が倒産し、住む家も差し押さえられた。三四郎は大阪の長女・ちえみ(里見瑤子)の家、ミネは東京にいる長男・良太郎(荒木太郎)の家に身を寄せることになる。良太郎は数年前に事故を起こして借金を作り、仕事もクビなりかけて、保険の外交で生計を助けている妻・佐和子(佐々木基子)に頭が上がらない。佐和子は保険契約を条件に何人もの男と浮気していた。ミネは佐和子の代わりに家事をして日中を過ごすが、佐和子は忙しさからミネに当たる。高校生の孫・亜衣(早乙女ルイ)だけはミネを頼りにし、両親には内緒で交際中の彼氏を紹介した。ちえみは大学を卒業し公務員となったが、芝居に没頭し仕事を辞め、今はバイトをしながら売れない劇団員をしている。家事が得意な男友達・歌内(岡田智宏)が彼女の世話をしている。三四郎はそんな娘の現状に呆れ…。


もう最近はピンク映画のちょっぴりハート・ウォーミング展開に辟易としている。特に仲睦まじい老夫婦の話を見て、「人生も捨てたものじゃない」なんて思うのは嫌でございますよ。
ただ・・・
淫売の如き娘と父親のパートは流石に確りしていて良かった。
里見遥子が「お父ちゃん!」って抱きついてました。このパートの良さの影には岡田智宏のプラトニックな存在がものを言っているように思う。だけど何で床板上げて登場するんだ?

三四郎とミネの新婚旅行以来であり、最後でもある東京見物。淡島小鞠のアコーディオンに乗っての老夫婦ダンスに被るそれぞれのからみシーン。
稲葉良子のいかにも田舎のおばちゃんっぷりは・・・。笠智衆と東山千栄子のつもりでしょうか・・・。

墨東綺譚「癒しの遊女 濡れ舌の蜜」の早乙女ルイがここでも脇役ながら可愛さの片鱗を見せる。

上映終了後に野上正義さん追悼舞台挨拶で監督、出演者が登壇。
何しろタイムリーな企画で、故人が亡くなったばかり、里見遥子が涙で嗚咽する場面も。
荒木監督が製作秘話を披露(年金がもらえなくて役所に電話でクレームを入れるシーンだったか)やはり晩年の野上さんは声や身体が思うようにならず、以前は簡単にOKをもらっていたようなシーンも撮り直しを繰り返していたとか・・・

司会の友松監督が最後に黙祷をしてお別れすると言っていたが、荒木監督から「黙祷でなく拍手で送りませんか」と提案。
芸人、役者を送るのはやっぱり拍手です。このあたり、立川談志家元流で定着した手法ではありますが荒木監督の思いやりを感じました。

荒木さんの存在は昨年初めて知ったのですが、監督という面も然る事、前回の自作ポスターだとかを見ても、その人柄には親しみを感じます。あと、風貌は相変わらず故障していますけど・・・。

野上正義出演の作品はこれからも見る機会がいくらでもありそうです。永遠に・・・

上野オークラ劇場

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映画INDEX

「豊丸の何回でも狂っちゃう」

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「豊丸の何回でも狂っちゃう」1989年 エクセス 監督:細山智明

大きな旅行カバンを抱え、全国を旅する一組の男女。ふたりはかつて普通の恋人同士だったが、女(豊丸)の身体は心とは裏腹に恋人ひとりだけでは満足できず、より激しいセックスを求めて旅を始める。それでも女のそばにいたい男(池島ゆたか)は、不自然な関係とは知りつつも、女が他の男とひたすらヤリまくる旅に同伴する。


流石に一世風靡しただけの事がある豊丸のインパクトは凄まじいです。
大きなお口美人という意味でも古今日本女優陣の中でも最高峰か。その美しさがまた、下品さを兼ね揃えているところが素晴らしい。やはりオンリー・ワンの存在だ。
本作では無理めのセーラー服姿まで飛び出し、ベッド上ではあの口であの声であのアヘ顔で・・・
「すんごいすんごい!いぐいぐいぐ!」

淫乱女優豊丸の面目躍如たる生い立ち、小学生の頃から付き合っていた影田(池島ゆたか)の事は大好きで「でも、あたしの体はもう、ひとりの男だけじゃ満足できなくなっているの」と高校生の時に淫乱を全うする旅に出る決心。

亭主(山本竜二)のインポを治してほしいとの妻(沢村杏子)の依頼に隣室で奮闘する豊丸と山本竜二。
雄叫びのような2人の嬌声にあてられ夜の町へと散歩に出る池島ゆたかと沢村杏子の会話シーン。ここではニ人が乗り物に乗っているような流れ、動きで幻想的な効果を出している。

清水大敬、山本竜二のお笑い演技に交じっての池島ゆたかが大真面目。

淫乱の血には逆らえないながらも奥に潜む純愛が可愛らしくも美しい下品な豊丸。

池島ゆたかの鼻歌「花のワルツ」が哀愁を帯び、いつまでもいつまでも心に残る。名曲の使い方が上手い。

シネロマン池袋

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「未亡人銭湯3 覗いちゃった」

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「未亡人銭湯3 覗いちゃった」2001年 OP映画 監督:渡辺元嗣

夫を腹上死で亡くした妻・梨子。失意の彼女に莫大な遺産が転がり込むこともなく、手元に残ったのは経営不振に喘ぐ銭湯「桜湯」。しかも数少ない女性の常連客に、露出症のソープ嬢・美帆。自らの巨穴にピッタリはまる男を探すため男湯を覗くOLの詩織とクセ者揃い。「桜湯」復興のため新たなサービスを編み出すが・・・。


主演の高橋千菜が熟女の魅力を発散させてくれているが、いかんせん芝居が下手で台詞棒読み。
台詞が下手でも許されちゃうのがピンク映画の素敵なところ。あまり頭に来ない。
と言うか、台詞棒読み女優をいかに上手く活用するかが見所。逆手に取った例は多い。
芝居が下手だったせいかその後ピンク映画出演も無いようで残念。

高橋千菜の未亡人、大人のおもちゃを売りに来た男に電動こけしを見せられて「いやん!」と飛び退くシーンがとても素晴らしかったですよ。

銭湯なのに番台が男湯女湯の間の高見にあるタイプじゃないのが不満。

巨根と巨穴、露出狂とのぞき見、未亡人と彼女を慕う弁護士志望の使用人。
ラストに何らかの落ちがあったようだけど、例によってラスト寸前のからみシーンによって眠ってしまい見逃した。まぁ。どうせたいした事ない落ちだろうから良いか。

新宿国際劇場

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「ビバ!アルジェリア」

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「現代フランス映画の肖像 ユニフランス寄贈フィルム・コレクションより」

「ビバ!アルジェリア」2004年 仏 監督:ナディール・モクネシュ
原題:VIVA LALDJÉRIE

2003年冬、アルジェ。テロリズムの暴力が街を支配し始める頃、母親と娘、売春婦が中心街のとあるホテルに移り住む。
グセムは自由奔放に生きる女性。アルバイト先の写真館での仕事にも気が入らず、3年間付き合った妻帯者の医師との関係もうまくいかず、週末にはディスコで盛り上がる。親友のフィフィは権力者のもとで売春婦として働き、その庇護を受けている。母親のパピーシャはテレビの前でピザをほおばり、恐怖に苛まれながらも、かつてキャバレーでダンサーをしていた頃の輝かしい日々を懐かしんでいる。グセムが気まぐれでフィフィの客からある物をくすねたことからある事件に巻き込まれる。

アルジェリアでは、1990年代テロが横行し、10万人の市民がテロのために命を落としたとか。本作は、テロが漸く治まりつつあるアルジェを舞台にした女性映画だ。

グセムを演じるリュブナ・アザバルは時に民族衣装風なものを纏いながら、アルジェの街を颯爽と歩く。大股でぐんぐん歩く強さからアラブ系女性(アラブ系女性の気質がどんなものだか知識が無いので)って気性が強いんだなぁ。などと勝手に思う。
脱ぐとあんまり美しくないけど、そのルックスはかなり強烈。でもこの方、アルジェリア人じゃなくベルギーの人らしい。

ルックスの強烈さでいえばその上を行くのが母親パビーシャだ。ほとんど魔法使いのコスプレをしたオカマといった風情。
この方は有名な歌手だそうで、劇中でもキャバレー時代の知り合いが経営する店で歌手としてこれまたインパクトの強い歌声も披露してくれる。

活発な娘が生きにくい国で挫折感を味わい、この国を脱出することなく生きていくのに対して、夢ばかり追い求めていた母の方が、ちゃっかり夢を敵えてしまう皮肉な展開が面白い。

それにしても何故、「ビバ!アルジェリア」などという手抜きなタイトルにしたのだろう。
撮影は、当時としては珍しく、アルジェリアで行われ、マグレブの都市空間の魅力が作品にたっぷり盛り込まれている。
日本でアルジェリアの風景を堪能する事が稀少な体験であるのと同様フランスでも珍しい事だったって事でしょう。

確かに、アルジェの夜景、交通量、墓地、結婚式、雑踏、地中海を見下ろす丘。3人の女性以上に映画の主役を張っています。



京橋 フィルムセンター

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「キャバクラ嬢 しぼり出す指先」

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「キャバクラ嬢 しぼり出す指先」2007年 OP映画 監督:荒木太郎

高校教師・赤木は同僚の久本と酔っぱらった勢いで生まれて初めてキャバクラへ行った。店内の煌びやかな喧騒に萎縮する赤木。場違いな彼にはナンバー・ワンのさゆりが付いた。その親しみ易さに心奪われる赤木であった。家での赤木は妻や娘から軽く見られており、居心地の悪さを感じている。ハマった赤木は急坂を転げ落ち・・・。


初心な高校教師を誘惑するさゆりの真意が最後まで解りかねます。
いつかその真意が暴かれる時が来るだろうと思って見ていても一向に・・・、ややイラっとするが、それも謎めいていて良いのかなと思う事にする。
砂漠の写真を見て「心が落ち着く」と言っておきながら急に喘ぎ出すような女ですから。

その砂漠でのエロ・ロケシーンが何度か出てきますが、これが良いです。
荒木さん、このシーンを撮りたかっただけなのかもしれませんね。

一瞬、「何だよ、夢落ちかよ!」と思わせるもそうではなく・・・

さゆり役の桜田さくらというAVさんは、のっぺりと平坦な顔とは裏腹にメリハリのあるナイス・ボディが魅力。

高校教師・赤木の柳東史は正に嵌り役で真面目人間の転落を演じています。
娘の高校生が淡島小鞠。撮り方でこんなにも高校生らしく見えるのがこの方の魅力なのか。

新宿国際劇場

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「金成日花/キムジョンギリア」

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「未公開映画祭」

「金成日花/キムジョンギリア」2009年 米・韓・仏 監督:N.C.ハイケン

勢い入れ込んで「未公開映画祭」の3回券を購入したけれど、「ステロイド合衆国」、「ビン・ラディンを探せ!」を見て、あと1本、何を見ようか迷った。正直いって2本で良かったなんだけど。

隣国、北朝鮮に関してちゃんと勉強していないし、興味がないわけではないのだけれど、興味というのも不謹慎を承知のうえ、独裁というのは他所から見ていると面白い。という事なんだけどな。

そんな勉強不足な私でも、インタビューで語られる衝撃な事実?ってのが、ほとんど想像の範囲内で、眠くて眠くてしょうがなかった。
プロパガンダ映像、マスゲームの映像や軍隊行進の映像が差し挟まれていて、それはそれで面白い。(もっとゆっくり見ていたい

基本的には真面目な取り組み。・・・でありながら婦警(?)の前衛的舞踏の映像とか入っていたり何か中途半端。
個人的な意見としては、この手の題材はおふざけに徹しつつ、意外なことに真実に近づくという手法の方が好みなんだろう。

という事で内容を長めにコピペ

「世界が好景気に沸く90年代初頭、北朝鮮を深刻な食糧危機が襲った。そして神のいない国で神のように崇められていた“首領様”キム・イルソンの死と、後継者キム・ジョンイルの世襲劇。その裏では、北朝鮮の人々は飢えに苦しめられ、またある者は理由なき“政治犯”として収容所に送られ、強制労働に駆り出されていた。本作は脱北者へのインタビューを中心に、ニュース映像や、北朝鮮政府のプロパガンダ映像も盛り込み、謎に包まれた国の実態に迫るドキュメンタリーである。

本作に出てきてインタビューを受ける脱北者たちは、別に政府の要人でもない名もなき人々だ。踊り子であったり、農民だったり、また、生まれながらして収容所暮らしだったという者もいる。“政治犯”にされると、小さな子どもも含めてその家族が全員収容所送りになるからだ。“首領様”を頂点とする全体主義国家はまるで、女王アリに奉仕する昆虫の世界のようで、首領様に仕える兵士でさえ、食べ物に事欠いている状態だ。もちろん人間は昆虫ではなく、ひとりひとりが意思を持ち、それぞれの幸せを望んでいる。しかし、その幸せを打ち砕くのが首領様を頂点とする北朝鮮なのだ。そんな全体主義国家が、私たちの国のすぐ近くにあるという事実を再確認するにも、本作はいま、まさにタイムリーな作品だ。」
exciteシネマ



「カシム・ザ・ドリーム 〜チャンピオンになった少年兵〜」の方にしておけば良かったかな。

渋谷 UPLINK FACTRY

金正哲「左耳ピアス」でテレビに 金総書記の誕生日直前、異例の豪遊

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「毒婦お伝と首斬り浅」

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「エロ・グロ・純情/東映カルトプリンス 牧口雄二の世界」

「毒婦お伝と首斬り浅」1977年 東映 監督:牧口雄二

借金のかたに売りとばされた娘・お伝は、泥棒稼業の青年・市太郎と意気投合。チンピラ、尼僧も仲間に加えた、強盗と殺人の旅の果てに──。ポンチョファッションもイケてるお伝・東てる美が、馬車を駆る!銃をぶっ放す!稀代の毒婦・高橋お伝を主人公にした「ボニー&クライド」風の青春犯罪ムービー。

牧口監督といえばエロ・グロだと思っていたけれど、これは「純情」?
青春犯罪映画として、何やら爽やか。
毒婦お伝と首斬り浅の逸話(もちろんまったくのフィクション)

今まで、なかなか拝む機会に巡り合えなかった、東てる美の美乳が拝めるだけでも嬉しい。
その東てる美の魅力に満ちた作品となっています。
博打好きの父親に売り飛ばされそうになった所を助けてくれた恩人、浅右衛門(伊吹吾郎)へ操を捧げる田舎の垢ぬけない生娘の姿から、市太郎(槙健太郎)と組んで村を脱出、上京以降、徐々に洗練された良い女になっていく変化の様が素晴らしいです。

お召し物の方もポンチョ・ファッションといった西洋風になってくる。



浅右衛門との再会。妻子のあるのを知って、見を引く純情。

途中から仲間に加わる色情尼僧(橘由紀)とチンピラの松助(広瀬義宣)4人キャラによる強盗殺人の道中も愉快。

ドンパチアクションで仲間が死んでいく中、捕らわれたお伝。
雪降る刑場で目隠しのうえ斬殺される事となったが、流石のお伝も「死にたくない!」と逆上する。斬首の役に任じられていたのが首斬り浅こと浅右衛門。
逆上するお伝の目隠しを取ってやる。処刑人が恩人の浅右衛門と知ったお伝は感謝の言葉を述べて観念する。・・・おお!なんという人情噺的展開。

思い残す事は無いかと問われ、愛する市太郎の墓を海の見える場所(海を渡る夢を語り合った)にと答えるお伝。

道中、飯屋で鍋をつつく市太郎が東てる美の名入れ手ぬぐいを前掛けにしている。こういうあからさまな洒落っ気は嫌いじゃない。と言うかこの時代に東てる美の名入れ手ぬぐいが登場してもまったく違和感なく、あらためて良い芸名だなと思ったりして・・・。

おっと、そうそう、今回の川谷拓三は山田浅右衛門を捕えに来る官憲としてチョイ出演。相変わらずやられっぷりが素晴らしいです。

エログロを期待して見ると肩透かしではあったけれど、実は牧口監督作の中でも出色の1本なんじゃないかな。

この頃の東てる美の出演ポルノはもっともっと見たい。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」

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「トーキョー ノーザンライツ フェスティバル 2011」

「レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー」2009年 アイスランド 監督:ジュリアス・ケンプ

ホエール・ウォッチングのため、世界中から観光客が集まるアイスランドの首都レイキャヴィク。いつものように出航した観光船が予期せぬ事故に遭い、そこを通りがかった捕鯨船が取り残された観光客たちに救いの手を差し伸べる。しかし、その捕鯨船に乗っていたのは、捕鯨を禁じられて失業し、観光船を逆恨みする狂人一家だった…。

上映前のトークショーで得た情報。
アイスランドは日本、ノルウェーに次ぐ捕鯨第3位の国だった。捕鯨に対しての国民の意見は半々。観光資源としてホエール・ウォッチングが盛んになっていて、一時捕鯨復活を試みる事もあったようだが、ホエール・ウォッチングの眼前で鯨を殺戮するのは何かとまずいという事で断念。そりゃ、両立はせんわな。

さて、この映画B級スプラッターとしてあまり期待せずに観たのだが、これがなかなか自分的に好ましい作品でした。
「ザ・コーブ」が話題になっているので、この方面の映画出現は大変よろしいと思うのと、スラッシャー、スプラッターではあっても、かなり緩々なところも好ましい。殺人鬼一家があまりに弱く、「もうっちょっと何とかせいや!」というフラストレーションは感じるものの、それを補って余りある牧歌的雰囲気の塩梅がナイス。

捕鯨国として、ちゃんと日本人も配役。観光客夫婦(カタコト日本語の日本人)とツアコンのエンドウ(裕木奈江)の3人。

日本文化と西洋文化の違いを笑いのネタにするシーンも散りばめられているのが良い。(反レディー・ファーストやら、愚妻というへりくだった呼び方に対する反応)

パニック映画として、窮地に追いやられた時の傲慢な人間心理も当然描かれるわけだけれど、凄いのは、皆が皆、傲慢、自己中であり、そこには献身的なヒーロー像は存在しないのだ。
唯一、ヒーロー的な側面を見せる黒人にしても、思わぬカミングアウトで大爆笑を誘う。
そんな被害者の中で最も極悪で強靭な女がエンドウの裕木奈江。日本人の魂には真珠湾奇襲攻撃もしっかり刻まれている。

素晴らしいキャラクターを演じる裕木奈江が誠によろしい。なまじの国際的活躍でないところを見せる。
化粧っけのない眼鏡女性の姿はいかにも異国でツアコンをやっていそうなキャリア女性。
殺人鬼に対してひと泡吹かせた時のうすら笑いが痺れます。
しれっと脱出しても残った被害者に救助を呼ぶわけでもなく、ちゃっかり機上人。今度はお世辞にも上手いといえないどぎついメイクだ。
あの、垂れた目の草臥れ気味の表情がとても良い味になってました。

制作者はホラー映画マニアでないらしく、そこの所が好転して成功しているようです。何でもプロデューサーは元銀行ギャングで獄中記が売れたためそれを元手に本作を製作したんだとか。
ホラー素人の私はとっても気に入っちゃいました・・・

渋谷 ユーロスペース

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「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」

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「妄執、異形の人々?」

「幽霊屋敷の恐怖 血を吸う人形」1970年 東宝 監督:山本迪夫

半年ぶりに帰国した佐川は恋人の野々村夕子に逢いにいったきり、何の音沙汰もなかった。不信に思った妹の圭子と婚約者の高木は、蓼科山中の野々村家を訪れるが、母親の志津から、佐川は四日前に帰ったこと、夕子は死んでいることを知らされて、途方にくれた。しかし、夕子の墓の近くで佐川のカフスボタンを拾った二人は何か秘密めいたものを感じ、野々村家に一泊することに・・・。

このシーリーズ初めて。
岸田森は出ていない。その代り、ウルトラセブン「アンドロイド01号」の小林夕岐子が吸血人形として登場するので、そいつを目当てに。
流石に非人間的なまでの美しさの小林夕岐子だからこそ、これははまり役。
金色の眼。殺害前の不気味な笑み。
白い衣装でぼうと佇む様は「世にも怪奇な物語」の少女を思い出す。

話自体の恐怖度はそこそこのはずなのに、ショック効果の入れ処が絶妙なため、何度と無く全身に鳥肌が這い回るのを覚える事ができて満足。それだけで恐怖映画としては傑作。

プロットも母親と下男の源蔵にだけは襲い掛からない設定を都合良く使うなど。
操っていた催眠術の施主を殺害して目出度く成仏する展開も見事でした。

若き松尾嘉代、そのはずなんだけど、何?この色気?
それに対して恋人の中尾彬の若々しさも印象的。
松尾嘉代がミニスカートで悲鳴を上げます。
ベッドに倒れこみ襲われそうになるシーンでは見えそうで見えないパンチラ(memo:再見の機会があったら、ここは眼を皿にして鑑賞を要す。)もあるでよ。
それにしてもこの人の顔は登場の寝汗シーンから、強烈なインパクトを保つなぁ。

夕子の母親、志津役の南風洋子。この方の静かな演技もナイスでした。

シネマヴェーラ渋谷

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「ボッカチオ ’70」

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「ボッカチオ'70」1962年 伊・仏 製作:アントニオ・チェルヴィ、カルロ・ポンティ

「デカメロン」で知られる14世紀の詩人ボッカチオのスタイルをとった4篇からなるアンソロジー。それぞれを1人の映画監督が演出し、どの作品もが現代のモラルと愛の異なる側面についてを扱っている。

第1話 「くじびき」 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ



射的場の看板娘ゾエ(ソフィア・ローレン)はくじ引きの景品になって客を釣っていた…。

ソフィア・ローレンが射的場の娘でくじびきの景品役というのだから、貧しい娘なんだろう。ところがその迫力のボディから貧しさはあまり感じられない。
ゾエ目当ての町の男たち(ほとんどが中年以上)が一団となって颯爽と射的場に向かうシーンが滑稽で面白い。
結局くじを引き当てた男は童貞中年の墓堀り人足だったが、その頃、ゾーエは村の若者と恋に落ちていた。
相手の若者に思いっきり頬を張られて、涙目になるソフィア・ローレンが良い。あの勝ち気な顔立ちだからこそ・・・
童貞人足には金を渡して退散いただいたが、町の男たちは彼を英雄と囃し立て、凱旋。2階の老婦人たちが男どもに悪口をぶちまけるのも面白い。

第2話 「アントニオ博士の誘惑」 監督:フェデリコ・フェリーニ

独身道徳家アントニオ博士(ペッピーノ・デ・フィリッポ)の家の前に美女(アニタ・エクバーグ)の巨大看板が出現…。

もう、アントニオ博士登場までのオープニングがこれぞ、フェリーニという感じで最高。
映画のロケが行われるローマの町の紹介。ニーノ・ロータの軽快な音楽を伴い、あっという間にフェリーニの世界へ連れて行ってもらえる。狂言回しのエンジェルの声とかで幻想の世界へ誘われる。

巨大アニタ・エクバークはフェリーニ版「1/8計画」というか「遊星からの兄弟」
巨大化するのがペチャパイの桜井浩子(失礼!)と違ってムンムンのアニタだから凄い事になる。
CGもな無く、特撮も未熟な時代。ハリボテ調のアニタの脚や胸の谷間が意外と良い味になっていて匂い立つよう。

第3話 「レンツォとルチアーナ」 監督:マリオ・モニチェリ

職場結婚で要退職の会社に勤めるレンツォ(ジェルマーノ・ジリオーニ)とルチャーナ(マリサ・ソリナス)は内緒で結婚…。

このEPは日本公開時はカットされていたんだとか。その理由が女優も監督もほかに比べて名が通っていなかったというのは失礼な話。巨匠の間に入って充分遜色なし。
内容はラブコメで、日本で言えば岡崎友紀あたりのTVコメディのシチュエーションですね。
主演女優のマリサ・ソリナスは小柄で爪先立って抱きつく仕草が可愛い美人。
セクハラ上司の「ハハハハハ」という笑いが印象的。
EPの中では淫美性が一番乏しいけれど、その分、街中(大きい工場の構内かも)の風景、音楽がポップで楽しい一編。

第4話 「仕事中」 監督:ルキノ・ヴィスコンティ



妻ブーベ(ロミー・シュナイダー)の実家から財政援助を受けているオッタビオ伯爵(トーマス・ミリアン)はスキャンダルを隠そうとするが…。

ラストのEP、もう、随分疲れてきたけれど、個人的にはこれが一番の好みでした。
ロミー・シュナイダーが可愛い。
貴族女性の生活。部屋の中でほとんど夫との会話の中で物語は進行。
しゃべりながら、外出の身支度(衣装はシャネル)を整えていき、また出掛けない事になり部屋着に戻っていく。
女性としては、かなり辛い物語で、ロミー・シュナイダーの頬に伝う涙がせつない。

それにしてもオムニバスとは言え、1本が小一時間の尺。途中休憩が入ったものの、やっぱり疲れるよ。ピンク映画4本立て相当だもんね。
劇場で鑑賞する醍醐味ではあるけど・・・(DVDだったら2、3日に分けて鑑賞してしまいそう)

EPの順番はソフトや公開によって異なる事があるようです。

池袋 新文芸座

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