「旅人は夢を奏でる」2012年 芬 監督:ミカ・カウリスマキ
原題:TIE POHJOISEEN/ROAD NORTH
ティモはピアニストとして名声を得たものの、私生活では妻と子どもにそっぽを向かれていた。そんなある日、ティモの前に怪しい男が現われる。それは、3歳の頃から音信普通の父親レオだった。世界中を旅してきたという自称・元ミュージシャンのレオは、家族や親戚に会いに行こうとティモを連れ出し北へと向かうが、レオは秘密を抱えていて……。
フィンランドのアキちゃんは何本か見て、なかなか好きな感じでしたので、未だ観た事のないミカ兄ちゃんを初鑑賞。
これは正月に渋谷でやっていた時、チラシのあらすじを読んで興味を持ちつつも今の自分にはちょっと生々しいのかなと躊躇した。完全にW杯モード月間で映画どころでは無いんだけど、思い出して二番館上映。
兄弟の芸風は似ているようであり、違う部分もある。
ユーモアの質はどちらも好ましい。良く解らないが、アキちゃんの方が自分の中で勝手に作りあげたフィンランド的って部分が濃くて、ミカちゃんの方はもうちょっと一般的なような気がした。
でも、これ、頑張って観に来た甲斐あり。
このゆったりロードムービー、流石に前半のペースでは睡眠不足の目を開けているのに必死。たまに落ちて字幕飛ばしたり・・・もしたけれど。
糞真面目な息子ティモ(サムリ・エデルマン )とデタラメな親父レオ(ヴェサ=マッティ・ロイリ)
特に親父の体形(なで肩、でっぷり太鼓腹で足が悪く引きづって歩く)とムチャクチャなズーズーしさには流石に引くんだけど。
正反対のようでもあるけど、同じ病を引きうけていたり血は争えない部分も・・・
ただでさえ父親の存在って面倒くさいのに、これはたまらんでしょう。でも何故か強引な旅に同道する事になるティモ。
家族の過去を確認再生する旅。
出鱈目親父が息子に伝えたかった事・・・それは息子の知らなかった事実とか、そういう物以上に。
なるほど、レオは悪の天使って事か。
糞真面目な息子が一緒にナンパした母娘の娘の方とよろしくなって、情事後思わず笑いが漏れる。
金を盗まれていきり立つが親父に宥められ笑顔。
人生なんてそんなもの、楽しむべき。徐々にアホになって微かな笑顔が増えて行くティモ。
別居中の嫁を訪ねてのレオの粋な計らい。
謝罪ひとつで修復できる関係だったのか、やっぱり出来ないのか、そこはあやふやと・・・
嫁(イリナ・ビョークルンド)が再会した時に見せるちょっと醜い表情がナイス。
5歳の娘のために凧上げに疾走するパパの姿。ソファで娘とのやりとりが良いです。可愛らしい笑い声、やがて大人しく寝てしまう娘。
そしてこの映画にはとっておきの音楽シーンがある。
ホテルのバーで2人が歌うフィンランド語の「枯葉」
レオのヴェサ=マッティ・ロイリがなんとも素敵な声。
古今東西、歌付きのAUTUMN LEAVESの中でもこれはベストでしょう!
歌はキャデラックの中でも繰り返される。
レオが紡ぐ修道士のエピソードは冗長で眠気が襲ってきてしまうので、どれほどに意味や効果があるのか解らなかったけど、そんなの無くても二人の歌で充分。
ちなみにピアニスト・ティモがコンサートで弾いているのはフィンランドのシベリウスですって。
エンド・ロールでのヴェサ=マッティ・ロイリの歌がまたいいです。
どちらかというと息子側に感情移入しやすい作品。
でも、父親側に感情移入(それはかなりの力仕事が必要だけど)して観てみると違った感概がありそう。
フィンランドの風景も余韻を残すなぁ。
『旅人は夢を奏でる』
下高井戸シネマ
原題:TIE POHJOISEEN/ROAD NORTH
ティモはピアニストとして名声を得たものの、私生活では妻と子どもにそっぽを向かれていた。そんなある日、ティモの前に怪しい男が現われる。それは、3歳の頃から音信普通の父親レオだった。世界中を旅してきたという自称・元ミュージシャンのレオは、家族や親戚に会いに行こうとティモを連れ出し北へと向かうが、レオは秘密を抱えていて……。
フィンランドのアキちゃんは何本か見て、なかなか好きな感じでしたので、未だ観た事のないミカ兄ちゃんを初鑑賞。
これは正月に渋谷でやっていた時、チラシのあらすじを読んで興味を持ちつつも今の自分にはちょっと生々しいのかなと躊躇した。完全にW杯モード月間で映画どころでは無いんだけど、思い出して二番館上映。
兄弟の芸風は似ているようであり、違う部分もある。
ユーモアの質はどちらも好ましい。良く解らないが、アキちゃんの方が自分の中で勝手に作りあげたフィンランド的って部分が濃くて、ミカちゃんの方はもうちょっと一般的なような気がした。
でも、これ、頑張って観に来た甲斐あり。
このゆったりロードムービー、流石に前半のペースでは睡眠不足の目を開けているのに必死。たまに落ちて字幕飛ばしたり・・・もしたけれど。
糞真面目な息子ティモ(サムリ・エデルマン )とデタラメな親父レオ(ヴェサ=マッティ・ロイリ)
特に親父の体形(なで肩、でっぷり太鼓腹で足が悪く引きづって歩く)とムチャクチャなズーズーしさには流石に引くんだけど。
正反対のようでもあるけど、同じ病を引きうけていたり血は争えない部分も・・・
ただでさえ父親の存在って面倒くさいのに、これはたまらんでしょう。でも何故か強引な旅に同道する事になるティモ。
家族の過去を確認再生する旅。
出鱈目親父が息子に伝えたかった事・・・それは息子の知らなかった事実とか、そういう物以上に。
なるほど、レオは悪の天使って事か。
糞真面目な息子が一緒にナンパした母娘の娘の方とよろしくなって、情事後思わず笑いが漏れる。
金を盗まれていきり立つが親父に宥められ笑顔。
人生なんてそんなもの、楽しむべき。徐々にアホになって微かな笑顔が増えて行くティモ。
別居中の嫁を訪ねてのレオの粋な計らい。
謝罪ひとつで修復できる関係だったのか、やっぱり出来ないのか、そこはあやふやと・・・
嫁(イリナ・ビョークルンド)が再会した時に見せるちょっと醜い表情がナイス。
5歳の娘のために凧上げに疾走するパパの姿。ソファで娘とのやりとりが良いです。可愛らしい笑い声、やがて大人しく寝てしまう娘。
そしてこの映画にはとっておきの音楽シーンがある。
ホテルのバーで2人が歌うフィンランド語の「枯葉」
レオのヴェサ=マッティ・ロイリがなんとも素敵な声。
古今東西、歌付きのAUTUMN LEAVESの中でもこれはベストでしょう!
歌はキャデラックの中でも繰り返される。
レオが紡ぐ修道士のエピソードは冗長で眠気が襲ってきてしまうので、どれほどに意味や効果があるのか解らなかったけど、そんなの無くても二人の歌で充分。
ちなみにピアニスト・ティモがコンサートで弾いているのはフィンランドのシベリウスですって。
エンド・ロールでのヴェサ=マッティ・ロイリの歌がまたいいです。
どちらかというと息子側に感情移入しやすい作品。
でも、父親側に感情移入(それはかなりの力仕事が必要だけど)して観てみると違った感概がありそう。
フィンランドの風景も余韻を残すなぁ。
『旅人は夢を奏でる』
下高井戸シネマ