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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「人魚伝説」

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「映画のすべてを記録する 白鳥あかねスクリプター人生」

「人魚伝説」1984年 ディレクターズ・カンパニー、ATG 監督:池田敏春

夫婦でアワビを採って生計を立てている佐伯みぎわは、夫の啓介から殺人現場を目撃したと打ち明けられる。夫は死体が上がらないことに不安を抱いていたため、みぎわは自分が潜って確かめることにした。そこで彼女は、命綱を引いているはずの夫が銛で胸を刺され、静かに海中に沈んでいく姿を発見してしまう。みぎわも水中銃で腕を撃たれ、意識を失ってしまった。夫殺しの犯人に仕立て上げられたみぎわは、町の実力者の息子である祥平に助けられ、小さな島へ逃亡する。

噂のカルト映画、やっと観ることができました。
海女ちゃん映画であり、反原発映画。

荒唐無稽といえば聞こえは良いですが、実際アラだらけ。
事件の発端から呆気ない真相解明までは、大胆な省略をしながら無駄に思えるカットも多く、テンポが悪く退屈してしまう。このような作品にリアリティを求めても仕方ないかもしれんが、呆れかえる。
水中撮影の美しさと白都真理の肢体の美しさ(大袈裟に噴出する返り血で彩られる肢体、洞窟での背中の美しさは絶品です)それだけでは、ちと厳しい。



カタルシスの大殺戮も、単身強行突破で、こんな事で本丸の復讐は遂げられるのかと心配になりますが、映画だから体力消耗している女一人よう捕まえきれん。

・・・しかし、夫の復讐からキチガイ、否、魔性の者となったみぎわが呟く・・・
「何人殺しても、次から次に、もっと悪いヤツが出てきよって終わらへん。あんた殺したん、ほんま誰や?」

上映当時よりも今観た方が意味深なものが感じられましょう。
巨大な力の前にが解らんようになっている。
まさかオブラートに包むためにわざとリアリティを欠如させただなんて・・・それは考え過ぎでしょう。

これでもかと殺戮するバイオレンスシーンから最後は古くから土地に伝わる嵐が神風のように吹き、機動隊を吹き飛ばしてしまう。まさに伝説やらファンタジーへの昇華の仕方は見事です。
惜しむらくは、白都真理にもう少し丁寧に方言指導をする手間があれば、かなりの名シーンになったのでは。
嵐の一件から仲睦まじいシーンへのラストも後味の良いものに感じます。

いつのまにか、前半部の荒さや退屈さを忘れてしまうほどの力強い後半部によって、カルト傑作と言われる意味が解ります。

宮本土建の社長がプールに沈められる際に、付け髭が取れたように見えましたが、どうでしょう?あかねさん。





ラピュタ阿佐ヶ谷

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