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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「サリヴァンの旅」

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「映画は旅である ロード・ムーヴィーの世界」

「サリヴァンの旅」1941年 米 監督:プレストン・スタージェス
Sallivan's Travels

コメディの売れっ子監督ジョン・サリヴァンが、社会派に転身するぞと一念発起。取巻きの反対を押し切り、浮浪者に化けて社会見聞の旅に出掛けるが・・・。旅の途中で出会う女優志望の女の子を演じるヴェロニカ・レイクの魅力が炸裂!人生の苦悩や社会の矛盾を笑い飛ばすコメディの力を謳いあげた、スタージェスによる映画賛歌。

本当は2本立てのもう1本、フランク・キャプラ「或る夜の出来事」を観たかったんだけれど、時間が合わずラスト1本のこちらに滑り込む。こっち1本だけでもこれは来て正解。
劇中フランク・キャプラの名前が出てきて場内から笑いが起こる。さっきまで観てた人たちだな。羨ましい。
でもフランク・キャプラの名前は一度だけ、以降やたらルビッチの名が出て来るのは、スタージェスが強く意識してたからって訳ね。
スマートな都会派コメディのルビッチも良いけれど、スタージェスのスラプスティック乗りも最高で、こちらもまとめて観たい監督です。シネマヴェーラさんプログラムよろしく。

不景気で失業者があふれる時代にコメディではなく民主主義の搾取と貧困労働者を描く社会派作品を撮りたいと転身を企てるサリヴァン監督。

13歳の少年が運転するゴーカートのような車と取巻きのトレーラーが疾走する痛快場面、トレーラー車内のこれでもかと言うドタバタなど前半部ではコメディ映画の魅力に溢れ面白おかしく楽しい。
・・・・が、ロードムービーとしてはどうなのか。お坊ちゃん育ちのサリヴァンに貧困探訪は、端から観ればひやかしごっこの域を出てない。すぐにハリウッドやラスヴェガスに舞い戻ってしまうし、結局、貧困の厳しさから逃げ帰ってしまう、サリヴァン監督。ここでは彼は全く理解も成長もしていない。挙句の果てには感謝と称して浮浪者に5ドル紙幣をばらまく偽善の極み。何も解っちゃいない・・・



後半、雰囲気がガラりと変わってシリアス展開。浮浪者に襲撃され意識朦朧の中、駅員への暴行傷害で6年間の奉仕労働という過酷な状況に追い込まれる。観ている時はなんだかトーンダウンだなと思ったけれど、ここからが本当のサリヴァンの旅。
追い詰められた彼が体験する教会での映画上映会。ディズニー・アニメに哀れな隣人たちが心底笑ってる姿に気づかされる。
まさに、コメディの力を謳い上げるスタージェスの決意表明。「映画史上の名作」と言えましょう。



してみると後半のシリアス展開こそ、サリヴァン監督の目指した社会派って事なんだね。前半のコメディ爆発が効いてる。
社会派は社会派でシリアス展開も悪くは無いんだけれど、コメディ上等というしくみが巧み。
コメディ部分では成長が見られないのにシリアス展開で信念を得る成長があるってのも面白い。

そしてまた、前半部で一見、意味がないように思えた年増未亡人姉妹とのグラインド・ハウス的映画観賞。
あの3本立てって何だったか、ちゃんと字幕で題名が出ていたけれど憶えてない。不穏な劇伴からしてとっても気になる。
ディズニー・アニメの方は「シリー・シンフォニー」シリーズですと。

ところでこの映画は紹介文にもある通り、ヴェロニカ・レイクの魅力に尽く所も大。
この人、「拳銃貸します」で観た時もそうだけれど、小柄な男装がえらくキュート。
今回はカフェでサリヴァン監督と出会うクールでいてアンニュイな感じも良いし、貧困衣装から豪勢衣装まで魅力炸裂させてくれちゃってます。
という事でヴェロニカ・レイク画像を多めに。

















シネマヴェーラ渋谷

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