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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「白と黒」

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「日本映画の黄金期を担った脚本家 巨星・橋本忍」

「白と黒」1963年 東京映画 監督:堀川弘通

宗像弁護士の妻・靖江が殺され、前科がある脇田が逮捕された。死刑廃止論者の宗像は、若手の浜野とともに脇田の弁護を勝って出るが・・・。
橋本忍のオリジナル脚本を堀川弘通が映画化。観客を翻弄する橋本忍の語り口はまさに名人芸!緊迫感溢れる白黒映像と贅沢な俳優陣の熱演も素晴らしい。裁判ミステリーの傑作。

普段、脚本家まであまり気にしていないのですが、橋本忍という名匠がおられたのですね。そして驚くことにご存命(97歳)との事。
どれだけ凄いかは今回の特集のラインアップを見れば明確。
少しは観ておきましょう。

まず、最初がこの「白と黒」で、これにはぶっ魂消ました。脚本に翻弄される楽しさ。
圧巻は小林桂樹の落合検事と中代達矢の浜野弁護士が線路際の安宿で事件の真相に迫るシーン。
ベテラン検事は酒席でからまれた浜田弁護士を若造の癖にと罵りながらも自らの取調べに疑念を抱き始める。
検事の正義の追及と弁護士の良心を背景に手に汗握る見せ場になってます。
電車通過の轟音の間が絶妙でズルすぎます。
今さらながら小林桂樹の偉大さを再認識。
或る時は強引、或る時は冷静な落合検事。痔の手術後の痛み演技も真に迫ってました。
二転三転する事件の真相は解明されますが、ラストに写しだされる新聞記事のエンディングも心憎いばかり。
作品としては浜野弁護士が落ちた時点で終結しても充分に楽しめる物だと思うくらいだが。

容疑者役の井川比佐志のふてぶてしい演技も良かった。
千田是也は損な役回りでかっこ悪さが良い。
ライオンヘアの大空真弓は相変わらず苦手ですけど、落合検事の言う通りなかなか強かなお譲さん役。

残念なのは、冒頭に登場し、若いツバメとのわけありな情事が色っぽい淡島千景があっと言う間に死体と化してしまう事。
最初にあんな淡島さんを見せられたら、ファンとしてはもう上げ上げになってしまうでないの。

後に残った女優陣が苦手な乙羽さんと大空さん、それに菅井きん、野村昭子では、ね。
そういう観点の作品では無いわけで・・・

正当派。これだけ見応えのある作品も自分敵には久しぶり。
勉強になりました。(え?いったい何の?)



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