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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「金色夜叉」

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「没後五十年メモリアル 孤高の天才・清水宏」

「金色夜叉」1937年 松竹 監督:清水宏

宮に裏切られた貫一は、大学を中退して高利貸しになるが・・・。人間の屑と貫一を殴りつける笠智衆、色仕掛けで貫一に迫る三宅邦子など、脇役たちが大活躍。モダンに人物造形や原作の後日譚を含む展開など、余りにも有名な通俗小説を見事に蘇らせた清水の手腕が冴える一作。

有名すぎる「金色夜叉」原作も映画も芝居もドラマも、まともに観たのは今回初めて。
最も印象深い「金色夜叉ネタ」と言えば波多野栄一の百面相てんだから・・・・お恥ずかしい。

例によって開巻の映像が印象的。
艶っぽい「金色夜叉」の題字にSP盤的に昭和初期の風情たっぷりの主題歌を経て、
百人一首大会を廊下側からカメラ横移動。障子の窓から少しづつ様子が見える。
ここでちょっと出てくる高峰三枝子にまず目が魅かれる。

「今月、今夜のこの月を」とお宮を蹴飛ばす有名なシーンはロケに拘ったらしい清水宏。熱海の海岸というか整備された街道。しかも照明の関係か昼日中にしか見えないんですけど・・・

夏川大二郎の影の薄さが、むしろ高利貸しのウジウジ貫一に合っているのかも。



お宮の川崎弘子の拙い感じも儚さを生んでか、なんともいい味だ。



しかしながら解説文にもある通り、見所は主役の2人よりも若き笠智衆と三宅邦子などの豪華脇役陣。
中でも三宅邦子が出色だ。
高利貸し鰐淵(上山草人)の爺ぃに囲われの身だが浮気症。爺ぃに2度まで放つ「気持ち悪いわ」が光る。
そして、貫一を口説くシーンは白眉。
この女優さんは品のいい奥様の役のイメージが強かったけれど、こんなに肉食系の側面が嵌るとは。今まで観た中での三宅邦子ベスト間違い無し。

「簪」に続き笠置衆の青年時代、故障してるでしょう。拳骨一発!
でももっと沢山観たくなりますな。
笠置衆の小林くんと川崎弘子の吉川くんでの「俺は男だ!」が見てみたい。

富山の近衛敏明は恋仇だが、ここで見る限り憎めないキャラに思えて、その分、貫一がダメ男にみえてくるのもオツで面白い。

他に、因業な父親に意見する佐野周二の青っぽさ。
佐分利信の青春ボート選手の正しさ。
脇を固める松竹スターの面々が素晴らしい「金色夜叉」でありました。



シネマヴェーラ渋谷

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