「ボリス・バルネット傑作選」
「帽子箱を持った少女」1927年 旧ソビエト 監督:ボリス・バルネット 活弁:山崎バニラ
偽装結婚をしたカップルの恋の顛末を描くコメディ。当時、レーニンの政策によって独立採算制を余儀なくされた撮影所が、宝くじを奨励するという建前のもと、大蔵省をスポンサーにして製作費を引き出したというもの。豊かな映像に満ち溢れている好篇であるばかりか、レーニンのNEP(新経済政策)によって出現したヤミ商人や小ブルジョワの拝金主義を、痛烈に風刺したいわゆる“ネップ・コメディ”の傑作としても位置付けられる。
前回、観た時にこれはかなり可愛らしくも面白い無声映画だと思ったが、実はところどころ眠ってしまっていたので、いつかリベンジと思っておりました。どうせなら活弁付きの日。
そういえば、活弁付き無声映画の鑑賞は初体験ではありませんか。
山崎バニラという弁士は大正琴の弾き語り活弁として知られていますが、この日はBGM付き上映のため、楽器無しでの純粋活弁。10年ぶりなんだと・・・。
最初は音楽と彼女のアニメ声が被って気になってしまったけれど、活弁なかなか良いではないですか。
字幕のみの映像で想像しながら見る事が無声映画の楽しみでもあるけれど。
活弁師は自ら台本を書くのだそうで、バニラ解釈が随所に入る。日本語字幕を排してバニラ・ワールドへ誘う。
時代背景解説などもさりげなく入れ、時に発するバニラさんの感想の言葉に共感できたり、面白さが増す。
ややもするとぼんやりと見逃してしまうスクリーンの中の俳優の表情の変化。
映像に無意味な表現なんて無いのだな、とあらためて思う。バニラ解釈はとても納得でき、そのためキャラクターもより魅力的となる。
ツンデレ・ナターシャとストーカー駅員か・・・
「本の使い方を間違ってきている」イリヤ
「宝くじ付き国債は人間を変える」ニコライ
前半部に記憶の無いシーンが多かったのは、前回、前半部でのウトウトが多かったのだろう。今回はお目々パッチリ。
バルネットの撮るシーンも凝っていて魅力的。
無人の切符売り場に雪の中を一直線に走りぬける駅員くん。
イリヤがベンチで目覚め、あくび、伸びをすると風景がうわーんと歪む楽しさ。
活弁という芸能は衰退どころか、これはかなり可能性を秘めたジャンルだと、あらためて認識。
まずは活弁無しで観て、次に活弁付きを観るという楽しみ方もあるしね。
今回、「活弁付きで見て良かった」いや、ホント。
渋谷 ユーロスペース
「帽子箱を持った少女」1927年 旧ソビエト 監督:ボリス・バルネット 活弁:山崎バニラ
偽装結婚をしたカップルの恋の顛末を描くコメディ。当時、レーニンの政策によって独立採算制を余儀なくされた撮影所が、宝くじを奨励するという建前のもと、大蔵省をスポンサーにして製作費を引き出したというもの。豊かな映像に満ち溢れている好篇であるばかりか、レーニンのNEP(新経済政策)によって出現したヤミ商人や小ブルジョワの拝金主義を、痛烈に風刺したいわゆる“ネップ・コメディ”の傑作としても位置付けられる。
前回、観た時にこれはかなり可愛らしくも面白い無声映画だと思ったが、実はところどころ眠ってしまっていたので、いつかリベンジと思っておりました。どうせなら活弁付きの日。
そういえば、活弁付き無声映画の鑑賞は初体験ではありませんか。
山崎バニラという弁士は大正琴の弾き語り活弁として知られていますが、この日はBGM付き上映のため、楽器無しでの純粋活弁。10年ぶりなんだと・・・。
最初は音楽と彼女のアニメ声が被って気になってしまったけれど、活弁なかなか良いではないですか。
字幕のみの映像で想像しながら見る事が無声映画の楽しみでもあるけれど。
活弁師は自ら台本を書くのだそうで、バニラ解釈が随所に入る。日本語字幕を排してバニラ・ワールドへ誘う。
時代背景解説などもさりげなく入れ、時に発するバニラさんの感想の言葉に共感できたり、面白さが増す。
ややもするとぼんやりと見逃してしまうスクリーンの中の俳優の表情の変化。
映像に無意味な表現なんて無いのだな、とあらためて思う。バニラ解釈はとても納得でき、そのためキャラクターもより魅力的となる。
ツンデレ・ナターシャとストーカー駅員か・・・
「本の使い方を間違ってきている」イリヤ
「宝くじ付き国債は人間を変える」ニコライ
前半部に記憶の無いシーンが多かったのは、前回、前半部でのウトウトが多かったのだろう。今回はお目々パッチリ。
バルネットの撮るシーンも凝っていて魅力的。
無人の切符売り場に雪の中を一直線に走りぬける駅員くん。
イリヤがベンチで目覚め、あくび、伸びをすると風景がうわーんと歪む楽しさ。
活弁という芸能は衰退どころか、これはかなり可能性を秘めたジャンルだと、あらためて認識。
まずは活弁無しで観て、次に活弁付きを観るという楽しみ方もあるしね。
今回、「活弁付きで見て良かった」いや、ホント。
渋谷 ユーロスペース