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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「悪人志願」

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「日本ヌーヴェルヴァーグとは何だったのか」

「悪人志願」1960年 松竹 監督:田村孟

真夏の太陽がギラつく鉱山の飯場を舞台に、心中未遂の女とヤクザ」が繰り広げる青春残酷物語。「太陽の墓場」「乾いた湖」に続きヌーヴェルヴァーグのミューズ炎加世子がヒロインを演じた。田村孟唯一の監督作で、当時の田村や大島らの松竹での違和感を反映したかのような作品。

滝上ヒデは県会議員で町のボス弥兵衛の長男と心中し、彼女だけが生き残った。息子を奪われた弥兵衛の一家は、娘の清子を除いてヒデを憎んだ。次男の竜夫は子分の勝、鉄らに命じてあらゆる妨害をし、ヒデを町から追い出そうとした。

2月鑑賞分

この度のシネマヴェーラ特集は「日本ヌーヴェルヴァーグとは何だったのか」と銘打っているが、鑑賞後まさにそう呟きたくなる珍なる作品。なるほど大島渚の脚本を多く手掛けた田村孟の唯一監督作という希少価値もあり個人的には松竹ヌーヴェルヴァーグの傑作というよりカルト的作品のように映った。

「太陽の墓場」で初めて観た炎加世子がここでも良い。ギラつく太陽と汗がにおい立つよな。胸のチラリズムが楽しめる。




竜男(津川雅彦)らがヒデ(炎加世子)に行う排斥がどうにもこうにも小学生のいじめレベルで苦笑を禁じ得ない。
その妹(月丘昌美)は兄に憧れつつも、父の権威を笠にする兄のやり方に反発しているお嬢さんなのだが、反発から自分に好意を寄せている飯場の青年を弄び、逆上されピンチになると父や兄の権力にすがる捨て台詞「言いつけてやるから」が、このお嬢さん最高だぜ。と思わせる。

吃音の渡辺文雄のオドオド感と炎加世子の親密なシーンはジリジリさせながらも官能的である。全て炎加世子のなせる技だ。

圧巻はラスト、津川雅彦の無慈悲な行為と逆襲に及ぶ渡辺文雄を崖上から飯場の群衆が強烈な圧を持って見下ろすシーン。
ドキドキするほどだけれど、石コロが落ちてくるに留まり・・・日本ヌーヴェルヴァーグとは何だったのか?と終わってしまう。





炎加世子の「乾いた湖」も観ておきたい。チェック。

シネマヴェーラ渋谷

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