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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「恋人たちは濡れた」

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〈ピンク映画50周年記念特集〉
PINK FILM CHRONICLE 1962-2012 番外編
日活ロマンポルノセレクション
-午後8時の映画祭-

「恋人たちは濡れた」1973年 日活 監督:神代辰巳

5年ぶりにさびれた漁港に帰郷した男。映画館のフィルム運びをし、過去を隠して生きる彼と、そんな彼の過去に興味を抱く周囲の人々。やがて男の過去が明かされる。若者の浮遊感や倦怠感を見事に描写し、青春のさすらいを綴った神代辰巳監督の代表作。

この神代監督の名作をやっと観る事ができました。
それにしても印象的に残る映像に溢れた作品でんな。
うらぶれたピンク映画館主の妻でモギリの絵沢萌子がフィルム運びの青年(大江徹)に夜の漁船で言いよるシーン。絵沢さんの台詞回しがなんとも言えない味。「生意気言うのね」が堪りません。
主演は中川梨絵で、例によってアンニュイな雰囲気で魅せておりますが、この映画はエロ度の観点から言っても熟女・絵沢萌子の映画とは個人的な感想。
着物のまま漁港の繁華街を走る姿。
灯台で首を吊ろうとする姿。

もちろんヨーコの中川梨絵さんも負けていません。すすきの中での三浦(清水国雄)との青姦。
ここからの大江徹とカップルによる微妙な三角関係が70年代青春映画なのですが、それぞれのキャラのため一風変わっていて面白い。

大江徹を追ってバスに乗り、後部座席の窓。追う清水国雄の投げる果実が中川梨絵の眼前の窓で炸裂する。

延々と果てしなく続く3人の馬跳びのシュールさ。もちろん途中から中川梨絵は服を脱いでいきます。

清水に紹介されたブスい女・薊千露を林の中で強姦するシーン。尻に付く泥に、何の事は無いのにはっとさせられたり。

そしてラストでの港、ドロハンを逆さにした自転車での2人乗りから、唐突な幕切れ。

大江徹は謎の青年で、この港に来たばかりだと言っているが、漁港の人たちは皆、「カツだろ、カツだろ、何があったんだよ、隠すなよ」と決めつけてくる。本人があれだけ人違いだと言っているのに、まったく取り合ってもらえない。前半、この不条理感が妙に面白かったんだけど、真相はやっぱり脛に傷持つカツだったという結末。カツが過去を隠していたんじゃなくて、本当に人違いだった方が個人的には好みなんだけどな。それほど漁港の人々の決めつけが強烈だった。

大江徹がさびれた映画館の宣伝のため自転車で歌う春歌調の歌。神代監督はこういう音楽の選び方が好きなんだろうし、また上手いんですよね。

銀座シネパトス

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