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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「鳥」

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「鳥」1963年 米 監督:アルフレッド・ヒッチコック

突然、舞い降りてきた1羽のかもめが、メラニー・ダニエルズの額をつつき飛び去った。これが事件の発端だった。不吉な影がボデガ湾沿いの寒村を覆った。若い弁護士ブレナーは異様な鳥の大群を見て、ただならぬ予感に襲われた。そして、ほどなくブレナーの予感は現実となった。鳥の大群が人間を襲い始めたのだ。アニーの勤める小学校の庭では、無数のかもめが生徒を襲撃した。メラニーが恋人ブレナー家へ夕食によばれた夜、暖炉の煙突から、突然、すずめに似たフィンチが何百羽となく舞い込んできた。

映画無知の私はヒッチコックの「めまい」も「裏窓」も「北北西」も見ていない。
必須科目として死ぬまでには見ておかんとと思う私ですが、流石にこの映画は子供の頃から何度か見ています。
動物パニック映画の元祖として子供でも充分その恐怖感を楽しんでいたものですが、それが返って先入観となりこの作品評価を下げていたみたい。
何も今更再鑑賞という気がしていたのですが、やはり本作のようなものが名作と呼ばれる物だと再認識。

やっぱりヒッチコックは見んとあきませんぜ。
オープニング、鳥の素早いシルエット、羽音、水色の文字スーパーのディゾルブ・・・
もう、このウルトラQ感覚は大好きですから、このセンスが堪りませんね。

ガソリンスタンド発火シーンでのティッピー・ヘドレンの驚き顔のカット割りなんかがギャグ的でお笑い要素だったという事のみ、妙に記憶してます。

CGも無く特撮技術も1963年ですから稚拙だったりするのですが、恐怖を伝える名作にとって、そんな事は毛ほども気にはなりません。

パニックシーンだけでなく、メラニー・ダニエルスの悪戯心。ミッチ・ブレナーとの恋や、夫を失った、子離れできないミッチの母親の不安、ミッチと過去のあるアニー先生との会話なども丁寧に描かれているじゃありませんか。
そして恐怖の心。パニックに陥った人々の行動や心理もあらゆる角度から表現していて唸らせる。
港食堂で議論を展開する鳥類学に詳しい叔母さん。人類滅亡を説く酔っ払い。
メラニー・ダニエルを攻撃する母親・・・。

その上映像美にも優れているんですから。
劇判は一切使わない、大音響の羽ばたき効果音。
ジャングルジムにいつの間にか集まってくる烏。
劇判を使わない手法だが、ここでの生徒たちによる民謡合唱が実に効果的。
全力で逃げ出す生徒の背景の学校から鳥たちが押し寄せるカット。
朝焼けに浮かび上がる異常な鳥の群れ。

なぜ、鳥が人間を襲ってくるのか?、他の住民の安否は?、ミッチたちは何とか逃走できるのだろうが、この惨事の収拾はどうなるのか?、軍の出動もあるようだが・・・、といった不明点の多さも全て計算づくなんでしょうね。

助手席に置かれたつがいのラブ・バードが高速のカーブで慣性に傾く様子が可愛い。本来の鳥の可愛さをしっかり仕込んでいる。

いつ見ても、何度見ても、怖い。
恐怖映画の傑作中の傑作ですね。





早稲田松竹


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