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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「河内カルメン」

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「春よ!映画よ!女たちの饗宴」

「河内カルメン」1966年 日活 監督:鈴木清順

田舎町から大阪に出てきた娘が、生来の美貌と肉体を武器にたくましく生きて行く。
河内のドン百姓勇造の娘麗子は、美しく豊かな肉体で村中の男を悩殺していた。中でも刷毛工場の息子で大学生の彰は、露子に夢中であったが、露子もまた彰に強く魅かれていた。が、村祭の夜、悪童らに処女を奪われ、母のきくが悪坊主良巌坊と関係するのを見た露子は、家出同然に大阪にとび出した。

かなり上映機会の多い鈴木清順、原作・今東光、主演・野川由美子の本作。前から観たいと思っていたものの、ついつい鑑賞を見送ってきました。いざとなればDVDで、という気持ちもあったでしょう。
今回、やっと劇場鑑賞。
んで、これは観といて良かった。野川由美子の魅力全開。
ただ、暴頭で薔薇を咥えて自転車で疾駆するシーンでは、あれ?これは野川由美子なのかな?と・・・、薔薇を咥えているのだから主人公カルメンであり野川由美子であるはずなのだけど、随分イメージが違って感じたのは私の気のせい?
その後はいつもの野川由美子に戻って、あの大きなお鼻の魅力的な事も変わりはしない。
何しろ天真に明るい露子のキャラが野川由美子とピッタリ来る。ポンポン出てくる河内弁も似合ってる。
その露子の男遍歴物語。
男が強く出ると反発するが、弱い男には同情する女。

貧しい河内の家のドラム缶風呂での入浴シーン。
大阪に出て初心なホステスぶりから徐々に人気を博してNo.1になって行く露子。
先輩ホステスに松尾嘉代。若くても、やっぱエロいわ。
店でカルメン(ハバネロ)を歌い踊る野川由美子。
客に肩車されビールを降り注がせる。それをコウモリで避ける客。おチョコ。
最初の客、勘やん(佐野浅夫)との同棲。甲斐甲斐しくヒモっぷりを発揮する佐野浅夫がいい味でしてますね。
勘やんとの別れのシーンはかなりグッと来ちゃいます。

プールサイドで水着になる野川由美子の肢体。そりゃモデルにもスカウトされましょう。
モデル学校の先生・洋子(楠侑子)の家にやっかいになるが、この先生が同性愛者。当時は女同士のレズもホモと呼んでいたようです。

先生の家から逃げ出した露子は先生のセックスフレンドでもある誠やん(川地民雄)の家に転がり込む。この誠やんとは恋人にしては物足りないけど最良の友人となる。
芸術家誠やんの部屋。ガラスを使ったアート。

街中で落ちぶれてしまったボン(和田浩二)と再開した露子は温泉を掘り当てるという大風呂敷を広げるボンと貧しい暮しを始める。うってかわって惚れた男に尽くす露子。
ボンのダメっぷりは頂点に達し、露子は誠やんの紹介で斎藤長兵衛という金貸しの男の妾になって資金調達。
長兵衛は身体求めてくる事もなく、男と寝ろと命じる。それをエロフィルムに納めるのでした。
忍者とお姫様の趣向のシーンでは鈴木清順らしい演出。映画的、というか演劇的というか・・・。

さて、ここから、露子に関わる男たちが都合の良いように死んでいきます。ろくでもない父親も死んでしまって河内に戻ってみると、悪坊主良巌坊(桑山正一)は妹にまで手を出している。しかも母親(宮城千賀子)公認で、いまとなっては妹の方が坊主から離れられなくなっている。
桑山正一のいかにもすけべったらしい好色坊主。

途中で何度も山伏良巌坊の魚眼ショットが挿入され、これはトラウマとうか露子の性に対する原点。

滝のシーンでは、急にサスペンスタッチになって良巌坊が滝から落下して落命。

ごっついええ男を探し東京に出て行く露子・・・

清順テイストも随所に見られるけど、難解で変てこという程でなく娯楽映画として格好を保っていて良いですね。
野川由美子の代表作と言えるでしょう。こうなりゃ、清順とのコンビ、「春婦伝」も観ておかなくっちゃね。
「肉体の門」「春婦伝」「河内カルメン」は女一代三部作と言う事のようですから。

今東光の原作の方にもとても興味を抱いちゃうところですね。

神保町シアター

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