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Channel: JOEは来ず・・・ (旧Mr.Bation)
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「もず」

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「渋谷実のおかしな世界 The Bizarre Warld of Minoru Shibuya」

「もず」1961年 松竹 監督:渋谷実 35mm

東京の小料理屋で住み込み女中をしている母を20年ぶりに尋ねてきた娘は、パトロンと逢う母の姿を目撃して・・・。因業女将の山田五十鈴、女中の乙羽信子を始め、母親の周囲のオバサン役で手練れの女優陣が勢ぞろい。原作・脚本の水木洋子のシニカルな視線が際立つ傑作。

シネマヴェーラの紹介文にある通り、母親すが子(淡島千景)の周囲のオバサン達の手練れ感はホントに凄い。
桜むつ子や、これはオバサンというには実際はチョット若いが既に充分にオバサンの乙羽信子らホステス仲間。桜むつ子の叔母にあたる?おせっかいをして皆から総攻撃をくらい不貞腐れる高橋トヨの滑稽さ。
すが子が移ったアパートの隣人、阿部ツネの清川虹子の有閑マダムっぷり。100円温泉。
すが子と折り合い悪い、因業女将・山田五十鈴のおっかない顔。

しかし、個人的に本作ではすが子の淡島千景の魅力的な演技にまいってしまった。大柄の和装での身のこなし一挙手一投足の見事な事ったら・・・これぞ、宝塚出身。

母親として娘を思いながらも、我儘で衝突をする事仕切り、次第に心身を病んでいく・・・
台詞にもあったが、非常にドライなところが取り柄でありながら、時折ウィットになり反省したりしている。
物語自体も前半の楽しいドライ感覚から後半の涙を誘う(ぜんぜん泣けるものではありませんけど)ウィット展開にちょっと面喰いうけれど・・・
どうやら渋谷実作品、前後半で趣がガラっと変わるのは特徴のようですね。

いや、そうそう淡島千景ですよ。2012年に亡くなった時点で5作品しか観てないではないの。
出演作品からの傾向で、苦手って事はないけれど微妙な範囲にあるように思えますが、今後は淡島千景の名を見つけたらチェックの上なるべく観るようにしようっと・・・

娘の有馬稲子の方ですが、この方もオバちゃんになってからの印象しかなく、好感度は低くかったから気に留めておらず、あまり若い頃の作品を見た事がありませんでした。案外、ふくよかな方なんですね。本作では田舎から結婚に失敗して上京してくる役で、わずかな訛りとぶっきらぼうな台詞回しが新鮮に感じられ。若尾文子なんかに代表されるように古い日本映画における若い女性の言葉の美しさって魅力があるだけに・・・

この親子、当初は杉村春子と岡田茉莉子って案があったってのを何処かで見たけれど、それでは随分イメージが違うだろうな。
淡島千景(当時37歳)、有馬稲子(当時29歳)の親子配役の「もず」がよろしい。
しかし、どうにも後半のお涙頂戴展開が・・・



シネマヴェーラ渋谷

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「生活の設計」

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「ルビッチ・タッチ!」

「生活の設計」1933年 米 監督:エルンスト・ルビッチ 35mm上映
Design for Living

売れない芸術家、劇作家志望のトムと画家志望のジョージ、そして広告デザイナーのジルダは、セックスなしの約束で共同生活を始める。果たして、彼らは紳士協定を守れるのか!?同じ女性を愛する二人の男と一人を選べない女性という三角関係を、ルビッチお得意の洗練されたセリフ回しや洒落た小道具使いで見事に演出。

今回の特集チラシの表紙を飾っているルビッチの傑作って事で鑑賞。
冒頭の列車客室での似顔絵を描く段から一気に意気投合した3人が途中駅で語らいながらストレッチの如く行進。発車ベルでまた列車に飛び乗るなんて楽しく洗練されたシーンに期待も高まり、評価のハードルも一気に上がっちゃったかな。
トム(フレドリック・マーチ)とジョージ(ゲイリー・クーパー)、男2人が同居しているむさくるしいアパートにジルダ(ミリアム・ホプキンス)が訪ねてくる。付け焼刃の掃除は椅子を動かせばゴミが現れ、ソファに倒れこむと猛烈なホコリ・・・、ホコリを気にもしないジルダが好感。



微妙な三角関係、ジルダは芸術の母としてトムとジョージを一人前にしてみせる辣腕マネージャーというかアゲマンか?
男特有の感情(2人の異性を同時に愛する)に芽生えたジルダのミリアム・ホプキンスは、美人というより可愛いタイプだけれど、どうにもお軽く、クルクルクルクル浮気性・・・
「極楽特急」にも出ていた方ですね。ケイ・フランシスの存在が無いだけに満足度が下がる。ごめんなさいよ。

ロンドンでの成功からトムが帰ってきて、古いタイプライターが最初のころは整備されていたが次第に怠られ錆付いてる。チンとベルを鳴らして、「ベルは鳴るは」からのお熱いラブ・シーン。
結局2人を振る形になってしまったジルダ。広告会社社長プランケットとの結婚前夜。トムとジョージが中国から送った小さな花鉢にジルダは、「バカにしてる」と蹴っ飛ばすも、気を取り直して崩れた花を元に戻す・・・・
寝室から不機嫌に出てきたプランケット氏が再び蹴散らす・・・。

このように洗練された好きなシーンは数多くあるのだけれどね。

紳士協定は守れず一人の男を選択することができなかったジルダ、結局ニ人の男と再紳士協定。この微妙な三角関係のバランスがもっとも三人に合ってるって事でしょうか。
しかし、約束の「セックスなし」はいったいどのあたりまで守られていたのか?未だに守り通しているのか?それによって随分印象が違ってくるよ。
古い映画のためその辺の描写は皆無ですのでご想像にお任せ?
そんな下衆な事を想像するのはルビッチ作品鑑賞の邪魔にこそなれ・・・、で・す・よ・ねぇ~。

ゲイリー・クーパーの若さに価値あり。



シネマヴェーラ渋谷

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「インサイド・ヘッド」吹替版

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「インサイド・ヘッド」吹替版 2015年 米 監督:ピート・ドクター
原題:INSIDE OUT

11歳の少女の頭の中を舞台に、喜び、怒り、嫌悪、恐れ、悲しみといった感情がそれぞれキャラクターとなり、物語を繰り広げるディズニー/ピクサーによるアニメ。田舎から都会への引っ越しで環境が変化した少女の頭の中で起こる、感情を表すキャラクターたちの混乱やぶつかり合いなどを描く。
田舎町に暮らす11歳の女の子ライリーは、父親の仕事の影響で都会のサンフランシスコに移り住むことになる。新しい生活に慣れようとするライリーの頭の中では、ヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカたちが、ライリーの幸せのためという強い気持ちが原因で衝突していて……。

ピクサー・アニメならそうそう外す事もなかろうという事で観て来ました。
レイトの時間帯なのに吹替版。今やトレンドで吹替版はお子様のためのものじゃないんですね。その件については後の方で・・・

ピクサー映画を全て観てるわけじゃないけど、いくつか観たピクサー作品の中で最もおっさんを泣かせましたな。
脳内のそれぞれの感情が擬人化され、ヨロコビとカナシミといった人間特有の高度な感情を中心とした脳内アドベンチャー。この設定を使って巧みに心理学や脳科学の事を解りやすく表現。もちろん、ちょっと苦しいところはあるんだろうけど、その面白さにスンナリ入れたし。
監督が冒頭に出てきて「これはあなたの物語です」と自信たっぷりに語るのだけれど、確かに誰しも持つ5つの感情、その他脳内登場人物たち。幼い頃の思い出や自分のキャラクター・人格がどのように形成されていったのか等々、観賞後に自然と自分の事を語りたくなる、そんな作品。
ですが・・・、自分はカミングアウトしませんよ。その手には乗らぬ。

大人も楽しめるアニメ作品という言葉があるけれど、これは子供も楽しめるアニメ作品と言いたくなる。
人格や感情、脳科学の事は子供には理解できないだろうから、観賞前後に解説をしてやる必要があるでしょう。でももっと小さなお友達なら、5人のキャラが想像力豊かな空間で不思議な大冒険をしているだけでキャッキャッと喜べるでしょう。


実際、こんなシーンが大好き。
「危険・立ち入り禁止」の駅への近道に入っていくと段階を追って肉体がキュビズムになりどんどん抽象化され、最後には一本の棒になってしまうなんて・・・。恥ずかしながらあれが脳科学的に何を意味するのかよく解らなかったのですけど、面白いですもん。


こちらはパパの脳内司令塔から見た食卓のママ。当然ママやパパの脳内にもヨロコビ、カナシミ、イカリ、ビビリ、ムカムカが居る。
嫁の話を聞いてなくて、送ってくるサインにやっと気づいて。パパの脳内キャラがうろたえるシーンも共感強い場面ですね。

幼い頃の想像の友達ビンボンの存在が泣かせるんですね。想像力で困難を突破!繰り返し繰り返し歌いながら挑戦するヨロコビを後押し。
しかし、幼い頃の想像の友達は、当然・・・・

各感情を擬人化しているので、ちょっとややこしい事になりますね。
人間は感情のバランスが良ければ良いほど人格的にも優れているわけで、ヨロコビ一辺倒、カナシミ一辺倒の人は、ある種かたわものです。
いつでも前向きで明るいヨロコビは常に司令塔での主役を張る立場だけれど、これが本当の人だったらかなりヤバイ。
果たしてヨロコビ自体の脳内はどうなっているのか?という入れ子構造に思いを馳せていると、ヨロコビがなんと泣きだしますね。ここは涙腺決壊第二弾です。

ヨロコビ一辺倒のある種傍迷惑な彼女、元はと言えばライリーの大事な場面(転校挨拶)で失敗はできないとカナシミをサークルの中に閉じ込めて「出てこないで」と命令する。カナシミを無理に押し込めた事によってライリーの感情はバランスを崩し、転校デビューに失敗。
そんなヨロコビが前向きに対応しながらもところどころでウザったがっているのが解るカナシミに対する態度。そんなヨロコビがカナシミの必要性に気づく。ライリーとともにヨロコビも成長したって事でしょうか。

五つの感情の中で扱い的にもちょっと難しいのがムカムカの存在。でもキャラの中で一番大人っぽい彼女が魅力的なんですよね。
ムカムカにウザったがれ罵られたい・・・。



吹替版での観賞。最初にドリカムの歌と日本人の子供たちのスチールが延々と流れ、なんだか嫌な予感。
やはり字幕版にするべきかと思ったもんです。字幕版でドリカムの扱いはどうなんでしょうか。
とにかく前座、前ふりがやたら長くて困ったもんです。

アニメの中に出てくる新聞やサイン表示も今の技術なら簡単に日本語に差し替えられる。画面に登場する立入禁止や思春期の文字がとても違和感を放ちますね。字幕の読めないお子様向けであればこのような文字情報の細工は必要ないのすが・・・「字幕読むのが面倒なのよね」という大人に対してのサービス?
吹替え版であっても、そこは英文のままにして字幕で日本語入れて欲しい。アニメに細工をしないで欲しいと思う自分はやっぱり字幕派なんでしょうね。



間違いなく本年度上位に入ってくる傑作でした。



MOVIX川口

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「インヒアレント・ヴァイス」

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「インヒアレント・ヴァイス」2014年 米 監督:ポール・トーマス・アンダーソン

ポール・トーマス・アンダーソン監督がアメリカの覆面作家トマス・ピンチョンの探偵小説を映画化。マリファナ中毒の私立探偵が元恋人の依頼を受けたことからさまざまな陰謀に翻弄される様子を、舞台となった1970年代のポップカルチャー描写を織り交ぜて描く。
1970年代初頭のロサンゼルス。ビーチを拠点に活動するマリファナ中毒のヒッピー探偵ドックを、以前付き合っていた女性が訪ねてくる。彼女の依頼を受け調査を進めるドックだったが、いつしか巨大な陰謀に巻き込まれていき……。



まったっく知識ないまま、どうしようかと思ったけれど「トゥルー・ロマンス」との2本立てなので、まぁ、観ておこうという事で・・・
PTAとか言われても保護者かいなと思ってしまうほど無知であります。ポール・トーマス・アンダーソンでPTAなんですと。これが天才監督と言われてるらしく、トマス・ピンチョンの映画化って事は期待半分、懸念半分・・・。興味あるのは間違いなし。
ところが、 「トゥルー・ロマンス」で精魂使い果たしたか、薬ばっかりやって、考えてばかりでなかなかアクションに至らないハードボイルドを必死に追いかけるんだけど、ついつい瞼が重くなりぬれて・・・
もう、覚悟を決めた。寝ちまおう。鼾はかいてないと思うけど・・・

と、言うことで全然内容が解りません。公開中にリベンジとも思いましたが、また眠っちゃいそうなのでやめておく事にして。
どうやら8月にレンタル解禁されるそうなので、新作のうちに借りてリベンジしようと思います。
DVDなら眠っても、元に戻れるからレンタル期間中に鑑賞できると思います。

退屈には違いないけど、後半目覚めてうつろに眺めていた感じでは、何か気になる作品です。サイケなポスターも妙に惹かれます。どうって事ないかもしれないけど。



早稲田松竹

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硝子坂

「気違い部落」

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「渋谷実のおかしな世界 The Bizarre Warld of Minoru Shibuya」

「気違い部落」1957年 松竹 監督:渋谷実 16mm

東京近郊の山間部のわずか14世帯の部落。本能丸出しの浅ましさ。馬鹿げた集落の掟ゆえ、周囲から「気違い部落」と呼ばれる集落で起こった大騒動を描く。日本=ムラ社会を徹底的にカリカチュアライズした渋谷実の手腕は見事!ソフト化・放送ともに困難なため劇場にてご覧ください。

そのタイトルから思い浮かべていた内容とはちょっと違った、これは秀逸な社会風刺ドラマでした。
部落の人々、名バイプレイヤーの三井弘次、藤原鎌足、信欣三のキャラが楽しい。
加えて伴淳三郎の駐在がイイ。これが部落から一歩引いた重要な役割なんですけど。
部落の中にあって掃き溜めに鶴状態の水野久美の美しさは若い娘なので良いとして、母親の淡島千景の美しさは部落には不釣り合いであり、名優淡島千景の演技を持ってしてもリアルに欠ける。役作りに徹しなかったのか、周囲が徹しさせなかったのか、綺麗すぎだよ。

コメディタッチの前半とシリアスドラマな後半の風味の違いが渋谷実ならではの事なんでしょうか。
いきなり解説者と称する森繁久弥が出てきて狂言回しを勤める設定は面白いが流石に後半では影を潜め、中途半端にも思える。でも観客の当方は一気にドラマの中に引き入れられていたので違和感に気付きはしなかったけれど。

事実上の村八分(村八分ではなく、親方が部落を抜けて皆がそれに追随しただけ)状態の鉄次一家。
娘が肺病にかかると、妙薬、ほととぎすの黒焼きを高値で売りにくる藤原鎌足。
娘の生死に医者を呼びに行くように懇願され二人乗りで医者を連れてくる三井弘次、かみさん連中に詰られてると駐在が「お前はいいことをしたんだぞ」と慰められる。
雨の中、一家だけの寂しい弔いに見かねて傘を差し出すかみさん連中や、長いものに巻かれろに居心地悪く憂さ晴らしに賭博を始める男たち。しかし、意地の張り合いもあって和解には通じない。
この辺りの描写がとても巧み。

「日本のどこに行っても同じ」という強烈な風刺にみえるやりきれない馬鹿馬鹿しさは、そのまま差別用語という概念のアホらしさに繋がって思えた。
現代において人がスクリーンから発せられる「気違い」という言葉に何やら後ろめたさを感じる不条理さ。差別用語と設定された時点から始まるわけで、当時はどうって事のない普通の言葉だったじゃないか。本作も別段差別的な要素が見られるわけでもなく、むしろ社会学教育的にも多くの人に観てもらうべき映画なのに。言葉によってソフト化不可能だなんて・・・

内容から「気違い」という言葉に拘る必要はなく、工夫すればタイトルを変えて、音声にも手を加えれば放送可能になりそうなもんだが、そんな事をするぐらいならという思いが、鉄二の「部落を脱け出す事こそ泣き寝入り、この部落で生まれ育ったからにはどんな事があってもここで生き抜いてやる」という強い思いに重なった。

思いがけずとてもいい映画でした。

シネマヴェーラ渋谷

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「風流滑稽譚 仙人部落」

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「夏休み特別企画 漫画から生まれた映画たち」

「風流滑稽譚 仙人部落」1961年 新東宝 監督:曲谷守平

日本酒メーカー「黄桜」の“河童”のキャラクターデザイナーとしても広く知られ、今年四月に逝去した漫画家・小島功の代表作を実写化。お色気とナンセンスユーモアが織り成す、仙人たちの摩訶不思議な世界が展開する。

先ごろ亡くなった小島功の代表作の映画化。

「あんみつ姫」に続いてまたまたチープな書割セットが楽しい。
ただ、これ小島功の漫画の映画化ということで観ると1961年という時代を割り引いても、お色気度合いの薄さは詐欺的であります。
そもそも大空真弓では多くを望めないか・・・
小島先生もちょこっと出てきます。

50年以上前に作られた「佐村河内問題」というか「ビッグ・アイズ」というか・・・
普遍的テーマって事で。

本作の値打ちは、大奮闘しているのシスターボーイ、若き日の三輪明宏(当時丸山明宏)であります。
主役・天兵さんの沼田曜一の兄弟弟子的存在の少毛だけれど師匠の名鏡仙人(左卜全)曰く「弟子は取らない主義」との事で兄さんではない。実は名鏡の孫。
丸山明宏の沼田曜一を凌駕する活躍ぶりが楽しい。仙人界に於いて主役は丸山明宏と言って過言ない。
時折、発声が裏返る感じに現在の三輪明宏が垣間見える。歌ってくれればなお良かったんだけれど。
人間界では洗濯屋の小僧ってのも良い。

人間界で天兵をゴーストとして使っているのが日本のクリスチャン・ディオール・大森の人見明。
このゲテでオネェな怪演ぶりが丸山明宏の美しさと好対照。

書割セットではアドバルーンの美術が面白かったですね。天井に描かれたバルーン部分から広告幕のみ実物で垂れ下がってる。

若き文太さんも出てますよ。

神保町シアター

訃報 小島功
一応、追悼にはなりました。

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Bossa n' Stones

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9年前、当ブログで取り上げたBossa n' Stones
それ以降、毎年夏になるとボサノバのストーンズを聴きたくなり、YOU TUBEで視聴しては、本物のミック・ジャガーの声への渇望が高まりストーンズのレコードを引っ張り出して聴きまくる。そんな夏の夕暮が1日や2日あったもんです。

そして、今年はとうとう中古CDをポチリと行き、9年越しに入手。
季節物とはいえ今さら感は拭えませんがね。何せ9年。

ハスキー・ウイスパーヴォイスに滅法弱い身。
ボサノバに身を委ねて渇望が熟した頃合いで聴くミック・ジャガーの歌は最高ですよ。



Bossa n' Stones

1. FOOL TO CRY  *SCUBBA feat. MOANA
2. LET'S SPEND NIGHT TOGETHER  *AMAZONICS
3. OUT OF TIME  *URBAN LOVE *ASTRUD C.
4. SYMPATHY FOR THE DEVIL  *FREEDOM DOB *(pleased remix)
5. UNDER MY THUMB  *ANAKELLY
6.(I CAN'T GET NO)SATISFACTION *MICHELLE SIMONAL
7. HARLEM SHUFFLE  *MARVIN meets BANDA DO SUL*(favela remix)
8. RUBY TUESDAY *DUAL SESSIONS*(the dubby mix)
9. ANGIE *SAO VICENTE feat. USCHI
10.MISS YOU *GROOVE DA PRAIA*(back 2 remixes)
11.START ME UP / BROWN SUGAR *CORCOVADO FREQUENCY*(remix)
12.WILD HORSES *KAREN SOUZA




Bossa n Stones - Out of Time

The Rolling Stones - Out Of Time




Bossa n Stones - Under My Thumb

The Rolling Stones - Under My Thumb (1966)




bossa n stones start me up

The Rolling Stones - Start Me Up (Sweet Summer Sun - Hyde Park)





「Bossa’N Stones」と「Bossa’N Marley」

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「バナナ」

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「渋谷実のおかしな世界 The Bizarre Warld of Minoru Shibuya」

「バナナ」1960年 松竹 監督:渋谷実 35mm

華僑の御曹司で大学生の竜馬と、バナナ仲介人の娘でシャンソン歌手志望のサキ子。恋人同士の二人は車欲しさにバナナ輸入の商売を始めるが・・・。竜馬のグルメ・パパ役の尾上松緑がいい味を出している。裕福でモダンな華僑家庭を背景に、とぼけたバナナ騒動を描く都会派コメディ。

美しきコメディエンヌ岡田茉莉子の1960年の作品。例によってサバサバした現代(当時の)娘。当時、こんなにも同じような役ばかりやっていたとは。
このお嬢さんシャンソン歌手になりたいとか、バナナ貿易で商魂たくましくしたり、とても自由で行動的。ちょっとわがまま。合理的な考えを持っているから損得勘定から恋愛は赤字で割に合わないわと一蹴するほど。

華僑の裕福な一家、パパ(尾上松緑)は悠々自適でグルメ道楽。ママ(杉村春子)はシャンソン歌手(仲谷昇)と危ういヨロメキ。オエェ~。息子(津川雅彦)はイカす自動車を手に入れたくてしょうがないボンボン。2つの中国の存在の中、政治的にアカの青年(小池朝雄)からしてみれば堕落しきった俗人たち。
やっぱり小池朝雄がいい味出してんですよね。
品があるんだか無いんだかの杉村春子の有閑マダムっぷり。どうもこの方は苦手。

息子竜馬の逮捕という危機に際して、現代感覚のサキ子がどうした事か恋心を抱いてしまったとの告白「あの人のためなら赤字になってもいいわ」に、今まで自分の道楽の事しか考えていなかったパパが立ち上がり息子を助けに行くというラストが肝だけれど、若い息子の身代わりになるってのはどうよ。どこまでいってもボンボンはいいね。嵌められたとはいえ、少しお灸を据えた方が良いんじゃないの。

後半、津川雅彦による空手大立ち回りアクションになったりするのが、いかにも妙な感じ。

岡田茉莉子がリサイタルで気もそぞろに歌い始める「青ぶくの歌」が聞けるのが貴重。
青ぶくとは青いうちに輸入して当地で熟成させるバナナの中で皮は青いが中身はぶくぶくの奴。
ちょと面白く聞き慣れない語彙なので、こっちを映画タイトルにしても良かったんじゃないかな。勝手に意味深な感じが生まれるし。



そろそろ岡田茉莉子にも飽きてきたかもしれない。今度は熟女の岡田さんに怖いもの見たさで行きたいと思う。

シネマヴェーラ渋谷

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さくら草公園

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夏の期間、早朝に課した体育は秋ヶ瀬橋を渡ってさくら草公園。
休憩ふくめ往復2時間コース。



桜の季節じゃないとどうって事ないさくら草公園。
今朝は人っ子一人居ません。
途中セブンイレブンで仕入れたコロッケパンが朝食。

夏の朝の涼しさを満喫するにはもう少し早く出てこないとね。
少なくとも8時前にはお家に戻っていたい。
野球も観たいしね。
8時をすぎると気温が急激に上昇。




「怒る西行 これでいーのかしら。(井の頭) 」

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「沖島勲監督の全七作品、七週に亘り、一挙公開!! 過激で、キュートな、ユートピア。」

「怒る西行 これでいーのかしら。(井の頭) 」2009年 YYKプロダクション 監督:沖島勲

新緑が美しい四月の或る日、玉川上水沿いに久我山方面から井の頭公園へ向かって、色々喋りながら、沖島と聞き役の女性が歩いて行く。モーリス・ド・ブラマンク、谷内六郎、西行、横尾忠則、つげ義春・・・話は多岐に渡り、自然と人間とのダイナミックな共生、両者の“秘密”の関係が示される。

これは、タイトルからしても、ラピュタの紹介文からしても、今回の特集の中では観んでいいやつとパスの予定だったのですが、監督の訃報が飛び込んできたし、その監督自ら出演して言いたいことをしゃべってるというのでお悔やみがてら観賞とあいなった。

風邪のひき始めで体調も最悪。どうにも作品の面白さがピンと来ず。そもそも他作品のようなユーモアに優れた面白い作品とは違うものではあるでしょうが、当初のパスという判断は間違いではなかったようで。
このまま観続けても面白くなりそうにないので、腹を括って眠る事に。
最近、劇場で眠る頻度が高くなってるのは年齢のせいもある。少し考えねば・・・

終盤やっと目覚めたら井の頭公園にたどりついていた。

まず「一万年、後・・・。」という作品のロケハンで・・・なんて聞くとあんな作品にもロケハンあったんかと苦笑。確かにスタジオセット以外のシーンもちゃんとあるにはあったが・・・

有名な井の頭公園の都市伝説的駄洒落。沖島監督にとっては知らない洒落で、かなり気に入ったのだかどうだか、映画のタイトルにまでしちゃうなんて・・・。

これもやっぱり本作に対する自虐なのかしら。映画は眠ってしまったけれど、この人のこういうシニカルなユーモアって嫌いじゃない。

ラピュタ阿佐ヶ谷

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STEVE HOWE

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爺ぃになったスティーブ・ハウもなかなか味があって良いなとは思っていましたがついにここまで来ちゃいましたか。

Steve Howe Anthology Tour 2015 'The Clap'


爺ぃハウのムード・フォー・ア・デイの良い奴を探してます。

Steve Howe - Clap + Mood for a day
これは今一つ・・・禿げ方もまだまだ足りんし。



STEVE HOWE - ACOUSTIC 2004
演奏中、時折、老眼鏡越しに正面を向くドヤ顔の感じがガーコンの川柳師匠っぽくて、とても気に入ってます。




Wikipedaによると
「ローリング・ストーンの選ぶ歴史上最も偉大な100人のギタリスト」において2003年は第69位だったが、2011年の改訂版では削除された。ってそりゃないよ。どんな権威のあるランキングだか知らないけどWikipediaでミュージシャン引くと必ず出てくるやつだもんね。

甲子園ベスト8 (第97回全国高校野球選手権大会)

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第97回全国高校野球選手権大会
ベスト8が出揃いました。

早稲田実(西東京)
九州国際大付(福岡)
花咲徳栄(埼玉)
東海大相模(神奈川)
秋田商(秋田)
仙台育英(宮城)
興南(沖縄)
関東一(東東京)


一押しの静岡高校が初戦で負けてしまいましたが、連日熱い戦いが続いています。
通常、本命指向ではないのですが、今年の東海大相模は頭一つ抜けている感じで、ここまで強さを発揮しています。
このまま圧倒的な強さで頂点まで駆け上がりますでしょうか。

どうも今年のトレンドは打高投低。強烈な打撃陣を、絶対的エースは居ないものの複数の一定水準投手を擁して打ち勝つという。
その代表が東西東京の2チーム。この両校は春の18-10という試合を観ているので、打つには打つけどなぁ。という不安を抱えていました。
ディフェンス面での不安があり大会前は軽視していましたが、戦いを続ける事により投手も安定してきたのでしょうか。
いづれも見事ベスト8進出。

埼玉の花咲徳栄と関東一は激しい打撃戦と最小得点を争う接戦という両極端なゲームをものにして勝ち上がりました。

強力な打撃陣と複数の投手陣。その複数の投手陣が超一級なのが東海大相模。もし優勝するなら56回の銚子商以上に圧倒的な危なげなさで頂点に立つような気がします。先制攻撃が出来なかった時にどうなるか。高校野球ですから何が起こるか解らない。死角はあるはずです。
また、2010年決勝で東海大相模をボコボコにした興南。2011年春に決勝で苦杯を舐めた九州国際大付が残ってるというのが興味深いですね。因縁の対決が実現しますでしょうか。

今後の一押し古豪はトレンドに反しますけれど秋田商ですね。一枚投手の成田翔のピッチングは魅力的。
毎年、東北への初大旗は是非古豪でと思っていますので。仙台育英は強豪名門ですが古豪ではありません。
秋田商、何処まで行きますでしょうか。あまりお釣りは残って無いようにも思いますけど・・・

8校予想で的中は東海大相模、仙台育英、関東一の3校。

あぁ、青春の甲子園
現在84Pで210人中199位
これは智弁和歌山、天理といった従来の強豪名門を過信した事が響いてますね。作新と中京がドボンでポイントを失うというのも意外な展開。

少ないTV観戦の中、敗れたチームの印象に残ったゲームとして、聖光学院VS東海大相模と本日11日目の3試合を挙げておきます。
点差はついても後半鍛えられた姿を見せた聖光学院。
流れは来ていたはずも勝利を逃した健大高崎。
上野投手の痛恨の1球、中京大中京。
次の1点を凌いで食らいつき粘った花巻東。

頂点まであと3つです。

「怪談昇り竜」

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「デビュー50周年記念 女優・梶芽衣子」

「怪談昇り竜」1970年 日活 監督:石井輝男 デジタル

女親分の明美が敵の組長の妹・藍子の眼を斬った後、次々に子分が怪死。これは藍子の飼い猫の呪いなのか!?フリルブラウスにヒゲ面の土方巽、盲目剣士・藍子役のホキ徳田など、怪しい奴らが大暴走。”ザ・キング・オブ・カルト”石井輝男による空前絶後の怪談・任侠ムービー!タランティーノも大驚愕!!

石井輝男監督1970年作品で、女親分の梶芽衣子はややふっくらのピチピチ親分。やはり、際立つ美しさ。



ケレンミたっぷりの台詞回し、刑務所で仁義を切る場面など観ているだけで嬉しくなる。惚れ惚れ。
女囚たちも惚れて組の門をたたく、しかも龍の刺青を頭から尾まで分担して入れてくる。
出入りの立ち回りでいちいち横一列に整列して龍を見せるという芝居がかりも最高。



石井輝音の本領発揮はまずは盲人剣士のホキ徳田の抜擢。盲人剣士となると綺麗どころを用意したくなるけれど、それでは梶芽衣子の美しさと被ってしまう。不細工と言っては失礼だがホキ徳田がなんとも言えないいい感じ。
そしてお話は見世物小屋が出てきたあたりから石井輝男ワールドが炸裂して妙な感じになる。
せむしの土方巽。俊敏に動くその足元は最初、白のハイソックスに見えてぶっ飛んだけれど、これは単に白の脚絆でした。



もうこうなってくると任侠ヤクザ映画か化け猫映画か解らなくなってくるけれど、どっちにしたって娯楽作品として秀逸だから良いじゃない。

梶芽衣子の親分さんはカッコ良い半面、ちょっと惚れてる客分・谷(佐藤允)と堅気になった三井(加藤嘉)の娘(高樹蓉子)が仲良くしてると一瞬嫉妬の表情を見せたりして可愛い。

組の若いものがどんなに痛い目に会っても、はやる舎弟を抑えてじっと我慢の明美組長。
最後の最後で漸く立ち上がり、悪人どもやっつけるあたりは高倉健の東映ヤクザ映画をしっかり踏襲?

盲人剣士藍子との決闘となりますが、これまた絵に描いたような美しい結末。
明美親分は容貌だけでなく心も綺麗でございます。

久しぶりに砂塚秀夫のトボケた演技も観れました。



シネマヴェーラ渋谷

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「わが友 イワン・ラプシン」

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「特集 アレクセイ・ゲルマン」

「わが友イワン・ラプシン」1984年 ソ 監督:アレクセイ・ゲルマン
МОЙ ДРУГ ИВАН ЛАПШИН

パラダイスを夢見た男たちが町に殺人鬼を追う―― 歴史の空白を埋める問題作。

1930年代半ば頃のロシアの貧しい地方都市ウンチャンスク。物語は当時、まだ小学生だった作家の回想で綴られてゆく。

この田舎町の官舎のぼろアパートに、作家は刑事の父と一緒に住んでいる。その同じアパートに、作家の父と同じ刑事捜査局の、穏やかで控えめな性格だが、精桿で悪には容赦しない刑事イワン・ラプシン、そして、ちょっとネクラの刑事オコーシキンが住んでいた。町ではその頃、ソロビヨフという殺人鬼が出没し、たびたび殺人事件を引き起こして人々を震え上がらせていた。ラプシンとその仲間は何とかして彼を捕らえようと必死だった。

そんな折、ラプシンは、この町の劇団の女優ナターシャと知り合った。彼女は、役作りのために本物の売春婦の話が聞きたいと言って署にラプシンを訪ねて来た。やがて、ラプシンはナターシャに魅かれるようになるが・・・。

ゲルマン監督の長編第三作で、監督の父で有名な作家ユーリー・ゲルマンの小説「ラプシン」他をモチーフに、舞台をレニングラードから架空の小さな地方都市に移して映画化。ある港町で殺人鬼を追う刑事とその仲間たちの愛と友情を描くと同時に、これまで光の当てられることのなかった、スターリンによる粛清が始まる直前の1930年代の実相をリアルに物語っている。

それまでソビエト映画は、1930年代といえば全てバラ色の時代、人々は皆、自信に溢れ、胸を張って社会主義建設にいそしんでいたかの様に描いてきたが、この映画はそうした偏見をくつがえすことになり、大きな反響を呼んだ。



早稲田松竹で2本立て。良い企画と思ったがチイト濃すぎる。
難解である事間違いなく、ちょっと持て余してますんで、早稲田松竹宣伝文全文掲載してみた。
これを読むとソ連版フィルムノアールや三角関係のストーリーにやや安心感と期待を抱くことになるが、とんでもない。
物語を追おうとすると迷宮に入りこむ。
例によって長回しを多様した映像のパワーの前にストーリーが吹っ飛んでしまうのだ。というか正直申し上げると当方が捉え損ねてしまったんですがね。
前半、わずかに眠ってしまっただけなのに乗り損ねは大きい。

あの時代のソ連の情勢とその後に起こる崩壊の歴史的背景に関してぼんやりした知識だけでは享受しにくいニュアンスもありそうです。





あと、カプリングの問題で本作と「フルスタリョフ、車を!」を組ませ、既観賞済みの「道中の点検」「戦争のない20日間」を組ませるのは当然であり賢明と思われるのだが、個人的には「イワン」と「道中」のように組み合わせてもらいたかった。
その方が全4作を観る動機づけがしやすいのです。既観賞済みの「道中」「戦争のない」行くか迷っちゃう。前回「戦争のない」は一部眠ってるしな。

既に「神々のたそがれ」における手法が垣間見える。
基本モノクロだけれども、時折カラーになったりモノクロもセピアっぽくなったりブルー味が濃くなったり、いろんな事やってます。

それと、これゲルマン監督、何気にギャグ小ネタをぶち込んで来てますよね。「あれ?今の小ネタギャグだよね?それとも大真面目?・・・」ギャグとして爆笑のレベルでは無いので、大真面目なのかどうなのか心配になる。この後見た「フルスタリョフ」でやはり計算の上にたったギャグなんだと確信。
やたら役者がズッコケてますよね。絶妙なギャグ基本動作でビートたけしが好んでやりそうなコケるネタ。

とにかく一度観ただけでは消化しきれないので、また観たい。今度はもう一度フィルムノアール側面を堪能する事を目標に。
2度観ても消化できるとは限らない。いっその事DVDソフト取り寄せようかしら。と、そこまで考える。
「神々のたそがれ」の時も劇場再観賞吝かでなしと言いながら結局、気力の持続が敵わず敬遠しちゃってるんでどうなるか解らんけどね。

早稲田松竹


わが友イワン・ラプシン アレクセイ・ゲルマン監督 [DVD]

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「フルスタリョフ、車を! 」

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「特集 アレクセイ・ゲルマン」

「フルスタリョフ 車を!」1988年 露 監督:アレクセイ・ゲルマン
ХРУСТАЛЕВ,МАШИНУ!

また早稲田松竹の宣伝文全文掲載

主人公はモスクワの病院の脳外科医にして赤軍の将軍、ユーリー・クレンスキー。大富豪の長でもある彼は、病院と、家庭と、愛人のところを行き来する日々を送っている。決してアルコールを手放すことはない。
時は1935年、反ユダヤ主義の色濃い時代、将軍はスターリンの指示のもとKGB(秘密警察)が企てたユダヤ人医師を迫害する計画に巻き込まれてしまうことになる。気配を察して彼は逃げようとするが、すぐに捕らえられ、強制収容所で拷問を受ける。ところが突然解放されて、スターリンの側近ベリヤに、ある要人を診ろと言われる・・・。
タイトルの「フルスタリョフ、車を!」というのは、ソビエトの独裁者スターリンが息を引き取る直前、側近を通して命じたという言葉。映画は、そのスターリンの死の1953年に始まり、約10年後で終わる。
実に多くの人物が登場し、交わされる台詞も膨大な量で、それらには一見、脈絡がない。説明を廃して、ひたすら画面に映し出される「出来事」だけが描かれ、次々と転換していく。そのスピードは常人にはついてゆくのがやっとで、マーティン・スコセッ シ監督が「何が何だかわからないが、すごいパワーだ」と評したというほど。
「知性でロシアを理解することはできない。メジャーで測ることもできない」とゲルマン監督は語っている。

まさにスコセッシの言う通りですね。
未完のまま逝き、後裔に完成が委ねられた「神々のたそがれ」も凄かったが、ここで描かれる世界はSFでなく、スターリンの死から10年間のソ連の姿。
ニノチカが言っていた住環境。ニノチカで描かれた環境の方が現実に近いのだろうが、あの家の中にやたらごちゃごちゃ人が居て、好き勝手な事をやりはじめる虚構的な世界がたまらなく好き。勿論、意味なんて解りようもないけれど、そんな事は問題ではない。

特にブランク後の作品は物語そのものよりも映像の圧倒的パワーをこちらにぶつけてくるタイプなのね。

主人公の脳外科医が個性的で特徴的な風貌でありながら、スキンヘッドに口髭というよくあるタイプなので、少し前に観た「ブロンソン」のトム・ハーディと重なってしまう(似てねーよ!)という困った弊害はあったけれど・・・



それにしても観ていると制作者の緻密な計算を想像してしまう。混沌としていながら絶妙な計算の上に成り立っているとしか思えない。
なんですか、あの傘の開くタイミング。2度までも使ってます。そこには確実にユーモアが伴う。
目だけやたら大きい姉妹に強チンまがいの辱めを受ける息子。頭にふりかかる粉までの流れるような場面の進行。
他にも、意味不明な人間がフレームインしてくるタイミングや喋り出すタイミング。特に婆ぁの威力!
家の中はカオス状態でありながら実は監督の中ではちゃんとコスモスが保たれているんじゃないのかと思わせる。



前衛的で意味の解らないものは一歩間違えると腹立たしく思える時があるのだけれどこれはそんな事が一切無い。何故だろう。
マスターベーションに終わらず、コチラをもちゃんと官能の中に連れて行ってもらえる。

例によって一度だけではとても受け入れきれない。堪能したという充足感ともっともっと深く味わいたいという欲求。

現在、コレYOU TUBEで全編観賞可能です。
少し観てみたけれど、字幕が無いのでますます混沌として来ますが映像という面では字幕を追う事に捉われず堪能する事ができます。
字幕入りソフト購入前に、何べんもコイツを観るのはいいかもしれない。
いい加減観続ければ、もうソフトの必要が無くなるか、それも良いし。記憶に残っていない台詞、何を言ってるんだか知りたくて、やっぱりソフトを買ってしまうのか、それもまた良し。





Хрусталев, машину! - фильм смотреть полную версию

早稲田松竹


フルスタリョフ、車を! [DVD]

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東海大相模、高校野球100年目の夏制し45年ぶり2度目V 

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【高校野球】東海大相模、高校野球100年目の夏制し45年ぶり2度目V 小笠原が劇的決勝弾

6-6の9回に一挙4得点、東北勢は春夏通じて11度目の決勝も勝てず

第97回全国高校野球選手権大会決勝が20日、甲子園球場で行われ、東海大相模(神奈川)が仙台育英(宮城)を破り、1970年大会以来、45年ぶり2度目の優勝を飾った。6-6で迎えた9回、先頭で打席に立ったエースの小笠原が右中間に勝ち越しソロ。勢いに乗った東海大相模はこの回4点を奪い、10-6で競り勝った。一方、東北勢は春夏通じて11度目の決勝も勝てず、悲願の初Vはならなかった。

6-6と緊迫した展開に決着をつけたのは東海大相模の小笠原だった。9回先頭で打席に立つと佐藤世の初球を捉え、右中間スタンドへ勝ち越しの本塁打を放った。その後も得点を重ねた東海大相模はこの回一気に4点を加え、粘る仙台育英を下した。

投打で他校を圧倒してきた東海大相模は高校野球100年目の夏に1970年以来、45年ぶりの優勝。春夏を合わせて通算4度目のVとなった。

Full-Count より

決勝戦は観れませんでしたけれども大熱戦の末、本命東海大相模が強さを見せました。
ネットで結果を見た時、思ったのは奇しくも45年前のPLとの決勝と同じスコアじゃんて事。
45年前の52回大会は初めて甲子園観戦した(準々決勝3試合、第4試合の東海大相模VS滝川戦は観てない)大会で懐かしいですね。
夏は5年前までずいぶんブランクがありましたが、ここ数年強豪復活で躍進目覚ましいですね。優勝が春夏で4回、準優勝も3回と立派な記録です。
その一方で45年前の準V、名門PL学園野球部の将来も気になるところ・・・、明暗を分けた高校野球100年って事ですか。

それにしても東北は大旗に嫌われますね。しかしもう当たり前のように決勝に勝ち上がってくる、すっかり野球所です。
佐々木順一朗監督の悔しさいっぱいのインタビュー記事。
私としては以前より東北地方の初大旗は東北球界をリードしてきた東北高校にと願っていますが。

これから熱闘甲子園、見ます。

あぁ、青春の甲子園
あぁ、惨憺たる甲子園です。

328Pで210人中182位でした。
エントリー無しの早稲田実業ドボン(完封負け)でちょっと順位上がりましたか。

「フルメタル・ジャケット」

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「ムービーマスターズ第1弾 スタンリー・キューブリック特集」

「フルメタル・ジャケット」1987年 米 監督:スタンリー・キューブリック

ベトナム戦争時、アメリカ海兵隊に志願した青年たちは、サウスカロライナ州パリス・アイランドの海兵隊訓練キャンプで厳しい教練を受ける。キャンプの鬼教官・ハートマン軍曹の指導のもとで行われる訓練は、徹底的な叱責と罵倒、殴る蹴るの体罰が加えられ続けるという、心身ともに過酷を極めるものだった。さらに連帯責任による懲罰、訓練生の間で行われるいじめなど閉鎖的な空間で受ける社会的ストレスが次々と描かれていく。
厳しい訓練を耐え抜き一人前の海兵隊員となった彼らは、ベトナムへ送られる。テト攻勢の第一撃を受けた後、前線での取材を命じられた報道部員のジョーカーは、訓練所での同期であったカウボーイと再会し、彼が属する小隊に同行することとなる。

初鑑賞です。
二部構成。連続性はあるもののまったく別作品のよう。
個人的評価としては前半120点、後半60点。



ハートマン軍曹のしごきシーンは断片的に見たことはあり、面白うそうと思ったもんだが、やはり劇場で本編丸ごと鑑賞するのではぜんぜん衝撃(笑撃?)度が半端じゃないです。映画登場キャラの中でも最高位群に入る事間違いなし。
でも見ていてどうしても果物から身を守る方法を教えてもらいたくなっちゃうのには困ったものでした。先の尖ったバナナとか・・・(



子供のころから運動神経や体力にコンプレックスを持ちながらも精神的には体育会系への憧憬が滅法強いので、こういうシゴキに実は憧れがあるんですよね。
従って太ちょ訓練生レナードへの感情移入が強くなる。人事ではない感じ。



感情移入しているので結末のシャイニングばりに狂気へ向かう経緯が、なんだか唐突に感じてしまうのが残念。

レナード君にはベトナム戦線の後半でも目一で戦友に迷惑をかけながら、唯一の特技で必殺スナイパーになって欲しかったな。

レナード君がゆっくり口にする被覆鋼弾(フルメタル・ジャケット)・・・
これをタイトルにするセンスが素晴らしいですよね。




後半、ベトナム映画をそのまま「戦争そのものを映画にしたい」と言うだけあって迫力はありますが・・・
前半のテンションがあまりにも良かったもんで・・・

戦闘シーンよりも2回ほどあるベトナム・ビッチが登場してくるシーン。金額交渉の拘りが妙に面白い。





あとは、
「逃げる奴は皆ベトコンだ、逃げない奴はよく訓練されたベトコンだ」輸送ヘリの男の台詞が良い。


ヘリからの掃射の他は基本、目には見えない敵(ベトコン)との銃撃戦がほとんど。ドンパチドンパチ戦ってます。



必殺スナイパーに次々と味方がやられていき、廃墟に侵入。スナイパーの正体にちょっと驚く。
志乃ちゃん似の小柄な女子戦士。
瀕死のスナイパーからとどめを刺してくれと懇願されるけれど、銃爪を引くのにかなり躊躇してますね。目の前の具体的な敵を至近距離で撃つのには抵抗があるんでしょうね。



いつもながら音楽の使い方が総じて良い。

楽しいミッキーマウス・マーチで終わっても良かったかな。
「ペイント・イット・ブラック」にはチト違和感あったけど、カッコ良い曲なのでOK。



渋谷 ユーロスペース

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HERB ELLIS AND FREDDIE GREEN 「RHYTHM WILLIE」

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前々からジャケットが気になっていたハーブ・エリスとフレディー・グリーンのアルバム
ダンシング・グロンボ人形が可愛いけれど、タイトルレタリングを含めちょっとジャズっぽくない。
ハーブ・エリスもちょっと地味かなと思っていたのですが、たまたまYOU TUBEで1曲見つけて聴いたら、これが良い。

これ、1年前CDが期間限定発売しておったのね。ちっとも知らなかった。
時既に遅し、今やネットで入手困難。
amazonでは1枚5,000円弱で出品されていますが、去年まで1,000円で入手できたものを5,000円使うのは癪だし、そもそもCDは3,000円居以内と自ら縛りを課してるので、行くに行けない。ヤフオクも見当たらず。
気長に待つしかないようです。

YOU TUBEの投稿者はアナログ・ビニル盤を持っていて、これ見よがしに自慢しておるじゃないですか。

Herb Ellis, Freddie Green - "Orange, Brown And Green" [Vinyl]

輸入盤はジャケットがぜんぜんイカさないのでパスですが、音は当面YOU TUBEで我慢。

忘れないためと腹いせに記事として上げとく。指名手配じゃ。


カウント・ベイシー楽団のリズム・セクションの要をつとめたギタリスト、フレディ・グリーンが、ベイシー・バンドを離れて吹き込んだ珍しい一枚。リーダー、ハーブ・エリスの好演とともに、生涯にわたってリズムマンに徹したフレディの秘芸を楽しむことのできる貴重な作品。 ※期間限定盤 (3か月)

 RHYTHM WILLIE 
HERB ELLIS AND FREDDIE GREEN

1. IT HAD TO BE YOU
2. RHYTHM WILLIE
3. 'GEE BABY, AIN'T I GOOD TO YOU'
4. A SMOOTH ONE
5. WHEN MY DREAM BOAT COMES HOME
6. CONVERSATIONS
7. I WANT A LITTLE GIRL
8. 'ORANGE, BROWN, AND GREEN'

Herb Ellis & Freddie Green - Rhythm Willie- FULL ALBUM

https://www.youtube.com/results?search_query=Herb+Ellis%2C+Freddie+Green+

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「三人の女 夜の蝶」

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「デビュー50周年 女優・梶芽衣子」

「三人の女 夜の蝶」1971年 ダイニチ 監督:斉藤光正 デジタル

レイプされて婚約者に捨てられたことをきっかけに、上京してクラブのホステスになった綾子。そんなある日、同僚のあけみが連れてきたやくざを見た綾子は・・・。青江三奈『昭和おんなブルース』をモチーフにした女の転落ドラマ。クラブのママ役の山本陽子、ホステスの松原智恵子と梶芽衣子という夜の蝶たちが美しい。



「さそり」や「修羅雪姫」のクールなイメージが魅力の梶芽衣子。美貌で勝負するなら「仁義なき戦い 広島死闘編」「宿無し」といったあたりか。
しかし、このクラブホステス映画での明るいキャラはちょっと辛いかも。
とある情報によると、「最近夜のバラエティでけっこうお話好きみたいで、昔のクールな印象が変わってしまいました。」との事なので、案外こちらの方が素に近いって事なのかもしれません。そんな梶芽衣子はやっぱり嫌だなぁ。

クラブにはショートヘアのウイッグで洋装ホステス。
流石にショートヘア・フェチの私も梶さんのショートヘアは感心しないなと思っていると後半は黒髪ロングで店に出てます。美容室でのシーンがちょといいです。

それよりも本作は松原智恵子。個人的には、お嬢様ぶりと小顔っぷり、あまりに整った容姿は、それ故に魅力を感じにくい物がある方なのですが、本作は良いです。
流石に当時の彼女の位置では藤竜也によるレイプシーンこそ、はぐらかされますけれど。
そこは観賞側が白ソックスの足を手掛かりに想像を逞しくしましょう。
和装のホステスとなって三面鏡の前で化粧落としたり、クリーム塗ったり。または、暴行されたヤクザな男と愛人関係になってしまい、着物を直しながら「今日、お店休んじゃおうかしら、休んでいいでしょ」なんて言ってる様子がとても良いです。

慎ましい幸せを目の前にして、悲劇の結末はよくありがちな話で、まぁ、良いのですが、梶芽衣子までもがあの結末というのは非情。
それもこれもみんな、あけみにご執心のバカ公務員・川地民雄のせいなんですよ。

山本陽子はママという立場だけに、松原さんや梶さんの同僚とは一線を画し、ちょっと目立たない。青江美奈より目立たないでどうする。
最後は二谷英明としっぽりやってたので良しとしますか。

佐山俊二の演技(意外と若々しい裸)を観る事が出来ただけでも良しだと思うし、悪くはないのだけれど梶芽衣子作品として見るとダメかな。



シネマヴェーラ渋谷

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